113話 死神の襲来
「ひぃ…!!な…なんだこいつら…!!?」
とスタジアムのフィールドにいた悪魔たちは死神を見て言った。
「我々の名は死神。敗者の魂を頂きにきた」
と一人の死神は言うと、首を斬った悪魔から魂のようなものを引きずり出した。
「く…来るなぁ!!!!」
と敗者となった悪魔は襲い掛かってくる死神たちに言ったが、死神は容赦なく敗者の首を真っ赤な鎌で斬り、魂を引きずり出していった。
やがてスタジアムには敗者となった悪魔たちの悲鳴が響いていた…。
死神の存在に気付いていない僕と朱希羅とゼルキルムはスタジアム内のベンチがある集会所のような場所で休憩していた。そのベンチは僕とゼルキルムの戦いの衝撃によってボロボロになってしまったが…。ラムクスも地面に座り込んで敗者となったことに落ち込んでいた。
「……放送が流れないな…。本選の出場者は決まったのか…?」
と朱希羅は言うと、ゼルキルムは言った。
「そろそろ放送が流れるはずだが…」
するとそのとき、通路の向こうから三人の黒いコートを着た者が歩いてきた。
「あいつらも悪魔王候補か?」
と僕は聞くと、ゼルキルムは真っ青な表情になり言った。
「あいつらは……悪魔王候補なんかじゃない!!死神だ!!」
「死神…?」
と僕は聞き返した。すると三体の死神たちは言った。
「我々の名は死神。敗者を殺しに来た」
「なにぃ!!?」
とラムクスは言い、起き上がり逃げ出した。すると一人の死神はすごい速さでラムクスに鎖を飛ばした。その鎖はラムクスの身体に巻きつき、ラムクスは動けなくなってしまった。
「さぁ、悪魔王候補の敗者よ。欲望に満ちた者よ。我らの鎌に首を預けるがいい」
と三人の死神たちは言いながら、血のような真っ赤な鎌を構えラムクスに巻きついている鎖を引っ張り始めた。
「くそぉ!!!引きずり込まれる…!!!!」
とラムクスはどんどん死神たちに引きずり込まれていった。
「隼人!」
と朱希羅は言い、戦闘態勢になった。
「あぁ!ラムクスを守るぞ!!」
と僕も言い、悪魔化した僕と朱希羅はラムクスを引っ張っている死神たちに攻撃を仕掛けた。ゼルキルムは僕と朱希羅を見て言った。
「やめろ…勝てるわけがない…。あいつらは…悪魔界最強の殺し屋なんだぞ…!?お前達にはわからないのか…!?死神には勝ち目がないことを…!?」
しかし、ゼルキルムの声は僕たちには聞こえず、悪魔化した僕は一人の死神にパンチを放った。しかし、僕はパンチを放った瞬間、僕の右腕に鎖が巻きついた。そして僕は通路の壁に投げ飛ばされてしまった。
「ぐあああああ!!!」
と僕は言い、地面に倒れ込んだ。
「勝者には用はない。失せろ」
と死神は言うと、朱希羅の両腕と両足に鎖を巻きつかせた。朱希羅は鎖を解こうとしながらラムクスに言った。
「逃げろ!!早く逃げるんだ!!」
しかし、ラムクスは自分に巻きついている鎖を解こうとするが、頑丈に巻きついているため解けなかった。ラムクスは朱希羅に聞いた。
「なぜ俺を守ろうとするんだ!?俺は敵だろ!!お前たちの敵だ!!」
「今はそんなの関係ない!!いいから逃げろ!!じゃないと殺されるぞ!!」
「とは言ってもよ…くそぉぉぉ!!!この鎖解けねぇ…!!!」
と必死に鎖を解こうとしているラムクスはいつの間にか死神の目の前まで引きずられていた。
「くそぉ!!!動けねぇ!!!」
と鎖に縛られている朱希羅は動けなかった。
「さぁ、その首もらうぞ」
と一人の死神はラムクスに言い、真っ赤な鎌を構えた。そのとき、死神に向かってゼルキルムが走り出した。
「邪魔だ」
とラムクスの首を斬ろうとしている死神以外の二人の死神がゼルキルムを衝撃波で壁に飛ばした。
「ガハッ!!!」
とゼルキルムは言い、そのまま倒れ込んでしまった。
「お前達も拘束しておこう」
と二人の死神は言うと、倒れている僕とゼルキルムに鎖を頑丈に巻きつかせた。
「安心しろ。お前たちには手は出さない。我々は敗者しか用が無い…」
と死神は僕たちに言い、鎖を解こうとしているラムクスに鎌を振り下ろした。
「くそがぁぁぁぁ!!!!!」
と鎖を解こうとしていたラムクスは叫びながら、首を切り落とされた。