107話 集められた候補たち
「どうだ?腕輪はちゃんと腕にはまるか?」
とレアルは僕に聞いてきた。
「一応、はまるけど…」
「ならよかった。はまらなかったりしたら大変だからな」
そのとき、レアルはいきなり気絶してしまった。
「ん?どうしたレアル?」
と僕は聞いたがもちろん反応しなかった。
「おい!レアル!」
そのころ、レアルの精神は異空間に飛ばされていた。
「なんだ?ここは…」
とレアルは周りを見ながら言うと、ある声が聞こえた。
「魔神に選ばれし三悪魔の一人。呪われし小悪魔 レアル君だね?」
その声の正体はアルベラム大臣だった。
「あなたは…アルベラム大臣!」
「レアル君、君にお願いがあってここに呼んだのだよ」
「お願い…?」
「少し長い話になる。悪魔王候補の松田隼人君には言わないでおきたいのだが、よろしいかな?」
「……わかりました」
しばらくして、レアルは目覚めた。アルベラム大臣との話が終わったのだろう。そのことを知らない僕はレアルに言った。
「どうしたんだよ?大丈夫かレアル?」
「アルベラム大臣がアタシの精神だけを異空間に呼んだんだ。隼人、悪魔王選出試験の開会式は明日だぞ」
とレアルは返事を返した。アルベラム大臣によって精神だけが異空間に飛ばされたのは、レアルだけではなかった。ラーシとデリットも飛ばされていたのだ。こうして魔神に選ばれし三悪魔たちは審査員を任された。
そして、ついに開会式の日が来た。僕とレアルは黒い箱を使い、悪魔界に転送した。悪魔界はまだレティアによって破壊された跡が残っていたが、だいたいは修復作業で修復されていた。
「開会式はどこで行われるんだ?」
と僕はレアルに聞くと、レアルはスタジアムのような建物を指差して答えた。
「代々悪魔王選出試験を行うときの場所、このスタジアムの名はこう言う。地獄の戦場とな」
「怖っ‼普通にスタジアムでいいだろ…」
そう言いながら僕とレアルは地獄の戦場というスタジアムに入って行った。
スタジアムのフィールドには悪魔王候補のたくさんの悪魔がいた。
「みんな悪魔じゃん!やっぱ人間が悪魔王になるわけないよ!!」
「そんなことないぞ。ほらあそこにも人間がいるだろ」
とレアルは言うと、たくさんの悪魔の中にいるたった一人の人間に指差した。僕はその人間を見て驚いた。
「朱希羅!!おーい!!朱希羅ァ!!」
と僕は言い、朱希羅の方に走って行った。朱希羅も僕を見て驚いていた。
「隼人!?隼人じゃないか!!うわぁ!久しぶりだなぁ!!」
「もしかして朱希羅も悪魔王候補に!?」
「あぁ、悪魔王候補のことも悪魔王選出試験のことも全部ラーシから聞いたよ」
と言うと、朱希羅の背後からラーシが現れた。
「お前はラーシ!!朱希羅、信用していいのか!?確かに狩武と戦うときは協力してくれたが…」
と僕は聞くと、朱希羅は答えた。
「ラーシにとってどうやら僕は大事な存在らしいんだ。だからラーシは俺を殺したりはしない。保証はできないけど…でも、襲ってきたらぶっ殺せばいいんだ」
「結局信用してないじゃないか…。ハァ…」
とラーシは言い、ため息をついたとき、レアルがラーシに言った。
「朱希羅がお前にとって大切な存在ってことは、朱希羅がお前の呪憎裏の鍵となる者ということか?」
「勘がいいね。その通りさ」
「ラーシの呪憎裏ってことは…‘憎まれる,か…。だが朱希羅は憎まれたりはしないんじゃないのか?」
「君に朱希羅の何がわかるんだい?呪われし小悪魔 レアル。君こそ君の呪憎裏の鍵となる者は見つかったのかい?それともそこにいる松田隼人がそうか?」
「アタシは、アタシの呪憎裏は一生解かない。だから鍵となる者はいない」
とレアルは言うと、スタジアムの大画面のスクリーンにアルべラム大臣の姿が映った。
《今日は集まってくれて感謝するよ。悪魔王候補の諸君。では、これより第三回 悪魔王選出試験 開会式を始める》