98話 正しい道へと導く者
「なるほど、少しは楽しめそうだ」
と狩武は言うと、僕たちに向かって両手の手のひらから光線を飛ばした。僕たちはその光線を避け、狩武に向かって攻撃を仕掛けた。僕と天真は気持ち悪いほど息ピッタリだった。
「「うおおおお!!」」
と僕と天真は怒鳴り、狩武に向かってラッシュした。
「邪魔だ!」
と狩武は言うと、片手で僕と天真を殴り飛ばした。狩武は殴り飛ばされた僕を追跡し、僕を地上に向かって蹴り飛ばした。そしてまた地上に落ちていく僕を追跡した。
「隼人!!」
と天真は言うと、体勢を立て直し、狩武を追跡した。僕は悪魔の邪眼の重力の能力を使い、自分を軽くして地面に安全に着地すると、上空から狩武が追跡していたことに気づいた。
「なっ!!」
と僕はとっさに狩武の攻撃を避けると、狩武のパンチは地面にめり込んでいた。
「大丈夫か隼人!!」
と天真も着地してきた。僕たちが着地したのはさっきまで皆が牙斐矢と戦っていた駐車場だった。そのため牙斐矢の頭と身体が転がっていた。
「ちぃ…牙斐矢め…使えない奴だ…」
と狩武は舌打ちして言った。すると天真は狩武に聞いた。
「なぜだ?なぜ世界征服なんて企むんだ!?」
「世界征服…?違うな、俺はただ間違った道を歩む人間たちを正しい道に導こうとしているだけだ」
「あんな風にか!?」
と僕は言うと、崩壊したホテルを指差した。すると狩武は答えた。
「人間には二種類の人間がいる。理解力が良い人間と悪い人間だ。理解力が無い人間はいずれ人間の進歩の妨げとなる邪魔者でしかない…。現に今の人間は進歩していない。つい最近まで戦争し続け命を奪い合い、殺し、傷つき、憎み、恨み、争いを続けてきた愚か者でしかない。そんな人間に正しい道を進もうとする人間が現れたとしても…結局その人間は他の間違った道を進む人間に敵視され、道を踏み外すのだ。なら、間違った道を進む人間を殺してしまえばいい。そうすれば、平和への邪魔者は消える…世界は永遠に安定するのだ。俺のやっていることは決して間違っていない。平和を乱す者への裁き。正義という名の鉄槌だ」
「そんなの…平和でもなんでもねぇ!!ただの殺しだ!!」
と僕は怒鳴った。すると、狩武は僕に言った。
「弟よ…なぜそう思う…。俺と同じ血を引いているのなら…俺の考えがわかるはずだ」
「あぁ…お前の考えはわかった。だがな、俺はそんなの平和なんて思わねぇ!!何が正義の鉄槌だ!?一番間違った道を進んでんのはお前じゃねぇか!!だったら弟である俺が…間違った道を進む兄に正義の鉄槌を下してやる!!!」
と僕は言い、狩武に指を指した。すると天真が狩武に言った。
「俺も隼人と同じだ。お前は平和に導こうとしていない。逆に世界を滅亡に導いている!!俺は隼人と出会うまで…ずっと間違った道を進んできた。努力せず…自分の能力に甘えて…強がって…他の皆を見下してきた…。だから友達に嫌われて…誰も友達なんていなくなった。だけど、隼人が俺を正しい道に導いてくれた!俺だけじゃない!聖弥やセレシア…それに康彦もだ!だから、俺たちは最後まで隼人を信じる!」
そう言うと、狩武は戦闘態勢になり僕たちに言った。
「お前達が正しい道から踏み外していることはよくわかった。ならば、俺はお前たちを人間の進歩の邪魔者と判断し、お前達を潰す…!!!」