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デビルバスター日記  作者: 黒雨みつき
第8話『スクール・パニック』
64/132

その6『前々日』


 ぶっちゃけてしまうと、彼女の仕事はとてもヒマである。

「ふんふんふふふ~~~~ん」

 まだ日が高いこの時間、手鏡片手に鼻歌を歌いながら、ほんのちょっとだけ高価な櫛でショートボブの髪をとかし、さらにのんびりと眼鏡の手入れまで済ませてしまったりしても、彼女の仕事にはなんら支障がなかった。

 なにしろ客らしい客が訪れることなんて日に数える程度しかない。来たところで適当に笑顔でも振りまきながら、それが顔見知りだったら軽口でも叩いて世間話をしていればそれでいいのである。

 そんな彼女――ネスティアスの受付嬢であるアレッタ=サプレス(24歳独身)の実家はかなり裕福で、ネービス公との太いパイプもあって、彼女がこうしてネスティアスの受付に収まっているのも半分いや9割以上がコネだった。

 ただし、彼女は元来愛想も良く頭も決して悪くはないため、受付嬢としての能力に不足があるわけではない。

 さて。

「あら?」

 そんな彼女が本日3人目の客を視認したのは、日が西に傾きかけてから2時間ほどが経過したころのこと。

 長身の割にひょろっとしていてどこか頼りない、やや童顔の青年がどこか遠慮がちに建物に入ってくるのが見えた。

「……」

 しばしの思考。

 そしてアレッタはポンと手を打つ。

「こんにちは」

 おずおずと挨拶してきた青年に対し、アレッタは仕事用と素の笑顔を半々に織り交ぜて、

「ティーサイトさん、だったっけ。レイから話は聞いてるわ。また、うちの候補生と練習試合がしたいのよね」

「あ、はい。よろしくお願いします」

 そう言ってティースは丁寧にペコリと頭を下げたのだった。


 ――この2時間前。

 ミューティレイク、ディバーナ・ナイトの詰め所。


「くっ……そぉぉぉぉぉッ!!」

 ティースの気合が訓練場にこだました。

 頭は冷静に。

 体は燃えるように熱く。

「……」

 対峙する少年、パーシヴァル=ラッセルの表情も真剣そのものだ。目には殺気に至る一歩手前の気配を漂わせ、両手にした柄の長いトンファーを構える。

 限りなく実戦に近い組み手。互いの手にした獲物も、彼らが本来使っている武器を模したものだ。

 距離が一気に詰まる。

 リーチは身長差もあってティースの方が勝っているが、2本のトンファーを使ったパーシヴァルの防御はいつも鉄壁だった。

 打ち合う。

 舞い散る剣戟。

「おぉぉぉぉぉぉッ!!」

 休む間を与えない連撃。わずかでも鈍れば即座に反撃が飛んでくるだろう。

 汗が飛び散り、衝撃に頬が歪む。奥歯を噛みしめ、体の中心に力を込めて足を踏み出していく。

「くっ……」

 先に崩れたのはパーシヴァルだった。ついにこらえきれなくなって距離を取ろうとする。

 その動きに、ティースはほぼ無意識に反応していた。

 きゅっ!

 かかとが鳴ってティースの体がパーシヴァルを追いかける。

「な……っ!」

 予想外の速さにパーシヴァルは絶句した。左手のトンファーを合わせていこうとするが、まるで間に合わない。

「くっ……」

「おぉぉぉぉぉ――ッ!!」

「そこまで!!」

「!」

 ピタリ、と、両者の動きが同時に停止した。乾いた音を立て、トンファーが床の上に転がる。

 荒い呼吸音。

 ピリピリと張り詰めた空気。

 ポタリ、と、パーシヴァルのこめかみから汗が落ちる。ティースの模造刀はその胸元まで迫っていた。

「3度目の正直だな」

 隊長であり審判役のレイがそんな2人に歩み寄っていく。

「ティース。お前の勝ちだ」

「勝っ……た……?」

 確認するようにティースは彼を見た。

 遅れて、喜びが体を駆け抜ける。

「よしっ!!」

 思わず飛び出たガッツポーズ。

「……」

 対するパーシヴァルは悔しそうに顔を歪め無言でティースから離れていくと、

「くそっ!!」

 手にしたタオルを頭からかぶって、どすんとその場に腰を落とした。

 ティースはそんな彼の後ろ姿を見送りながら、ゆっくりと天井を仰ぎ、

「ふぅぅぅ……」

 どっと体の力が抜けていった。

 レイが言ったように今日3度目の対戦だった。3度目の挑戦でようやくパーシヴァルに一矢報いることができたのだ。

(……って、ダメだよな、このぐらいで満足してちゃ)

 首を振って自戒する。

 もちろん成果は感じていた。ほんの少し前まで10回に1回勝てるかどうかだった相手に、3回に1回というレベルまで迫ったのだ。充分な成長だといえるだろう。

 だが、しかし。

 半月後に迫ったデビルバスター試験のことを考えると、そう浮かれてばかりもいられなかった。

(そうだ。できればパースと互角ぐらいにまで……)

「……ティースさん」

「ん?」

 パーシヴァルがタオルの奥からティースの方を見ていた。

「あとでもう1回。今度は負けないっすよ」

「あ……ああ、望むところだ。返り討ちだよ」

 自然と笑みが浮かんだ。

 パーシヴァルは本気で悔しがっている。それはつまり、彼が本気で戦って負けたという証でもあった。

 ティースは続けて、

「1回と言わず、2回でも3回でも頼むよ。今はやればやるだけ強くなってる実感があるんだ」

 だが、そこへレイが口を挟む。

「2人でやる気になってるところ悪いが、ティース。お前にはこの後、場所を変えてもらうことになってる」

「え?」

 なにも聞いてないティースが驚いた顔で見ると、

「お前、受付のアレッタには会ったことがあるだろ? もう話は通してあるからな」

「へ? アレッタ、さん?」

 聞き覚えのある名前だった。

 そして思い当たる。

「……ネスティアスの受付の人?」

「ああ、練習試合さ。やってみたいだろ?」

 ニヤリ、とレイは笑った。

「……」

 ティースは思わず黙り込む。

 ネービス公の抱えるエリートデビルバスター部隊ネスティアス。ティースは以前、そのデビルバスター候補生との練習試合に挑み、まるで歯が立たずコテンパンに打ちのめされたことがあった。

 あれから半年ほど経っただろうか。しかし、そのときの記憶はまだ彼の中で新しい。

 ブルッと体が震えた。

 もちろん恐怖ではない。

 緊張? ……確かに。半分以上は緊張だろう。

 だが、残りの半分は恐怖でも緊張でもない。

(ネスティアスの候補生と練習試合……か)

 それは興奮だ。

 彼はどちらかというと、事実よりも自身を過小評価するタイプだ。だが、そんな彼であっても、最近はある程度の手応えを感じている。

 なにより、あのころとは意識そのものが違う。

 当時は強くなることに強迫観念にも似た焦りを感じていた。その結果、必要以上に体を酷使し、冷静な判断すらもできなくなっていたのだ。

 だが、今は違う。

 リィナ、エルレーンという昔なじみとの再会の過程において、まだ漠然としながらも自身の成すべき事の輪郭がぼんやりと見えてきていた。今はそのための階段を1歩ずつ上っている段階だと、はっきり自覚できている。

(もう、一度――)

 仕返しなどという気持ちは微塵もない。ただ単純に、今の自分の力を確かめたい。

 あるいは再び打ちのめされるかもしれなくとも――


 そして、時と場所は戻って。

(ヤバイヤバイ。えっと……)

 アレッタは少々慌てながら手元の書類を漁っていた。

 レイから話は聞いている――なんて軽々しく口にはしたものの、実のところつい先ほど彼の姿を見るまではスポーンとそのことを忘れていたのである。

 とはいえ。もちろん今も奥の鍛錬場では何人ものデビルバスター候補生が戦闘訓練を行っているし、相手がいないというわけではない。ネスティアスとディバーナ・ロウは同じ街のデビルバスター部隊として関わりは深いし、お互いを高めるための練習試合というのもたびたび行っている。これにはなんの問題もない。

 だが、しかし。

 だからといってちょこっと鍛錬場におもむき、誰でもいいから相手してやって――と、そんな風に簡単にはいかない事情もあった。

 というのも――

(ルーは確かさっき出てったばっかだっけ。カレルさんも今日は出てるはず――……つか、ラドフォードの野郎、こんなときにのんびり休暇なんて取ってんじゃねーよ!)

 アレッタ個人の認識で言えば、ネスティアスとディバーナ・ロウのつながりは、どっちかといえば面倒事のイメージの方が強い。

 ネスティアスは縦割りの組織だ。実行部隊のトップを占める10人のデビルバスター『ディグリーズ』がそれぞれに部隊を持っており、それを1単位として行動する。正規の隊員から訓練生までほぼ全員がどこかの部隊に所属しているため、練習試合の相手を選ぶにしてもトップであるディグリーズかそれに近い立場の者の承諾が必要となる。

 ただ、それも決して誰でも良いというわけではなく――

「……あの?」

「あ、あぁー、ちょっと待っててね。どうぞ、そっちにお掛けになってお待ちください」

 怪訝そうなティースの問いかけに、アレッタは顔を上げずに備え付けのベンチを指し示す。

「あ、はい」

 不思議そうにしながらも素直に従うティース。

 その後ろ姿をチラッと横目で見やると、

(まいったなぁ。よりにもよって面倒なとこしか残ってないや……)

 アレッタは気付かれないようにため息を吐いた。

 派閥、である。

 このネスティアスには、大きく分けて3つの派閥が存在し、そのうち2つは色々な方面で意見を対立させ、色々な場面において様々なことを争っている。

 その様々の中のひとつ、ディバーナ・ロウへの接し方という点で言うと、単純に『親』と『反』、そして『中立』の3つに分けることができた。

 壱部隊、ラドフォード=マティス。

 肆部隊、カレル=ストレンジ。

 伍部隊、ルーベン=バンクロフト。

 玖部隊、リゼット=ガントレット。

 この4部隊がいわゆる『親』ディバーナ・ロウ派だ。そして残る6部隊中の4部隊は『反』であり、2部隊は中立および無関心。

 当然、面倒事を避けるという意味では『親』派閥から相手を選ぶのがいいのだが、あいにく、その4部隊のトップはいずれも不在だった。

 ならばせめて中立の2部隊から、と思ったのだが、

(ジャマール爺もいないし、ってことはナイジェル……うわぁ、それはないなぁ……)

 片方はやはり不在。そしてもう片方は人間性的にオススメできない人物だった。

「??」

 思い悩むアレッタに、ティースはますます不思議そうだ。

(さて、どーっすかなぁ)

 と、そんな彼女のもとへ。

「アレッタ? どうした? その男は何者だ?」

「え?」

 奥から姿を見せた人影があった。

「あ……」

 一見してわかる、他とは違う漆黒の制服はネスティアスのトップ10――つまりディグリーズの一員であることの証。

 顔を上げたティースの顔に明らかな緊張が走る。

 それとは対称的に、アレッタはホッと安堵の息を吐いていた。

「なんだクインシーじゃない。ちょっと。驚かさないでよね」

「なんだ? 君が勝手に驚いただけじゃないか。失礼な」

 クインシーと呼ばれたその男は前髪を軽く掻き上げながらそう言った。

 歳は20歳を少し過ぎたぐらい。背は高くティースほどではないにせよ180センチ前後はあるだろうか。どこか気品のある顔立ちで物腰も柔らかい。前髪は少々奇抜で全体を横に流したような形だった。

「あ、でもそっか。あんたならまだマシだな……」

 アレッタはピンと閃いたようだ。

「? なんの話だ?」

「いやね。実はこの子……」

 アレッタはティースの方を指して、

「ウチの候補生との練習試合を希望してるの。今年のデビルバスター試験を受けるらしくてね。……あ、素性はしっかりしてるから。あたしの知り合いの頼みでね」

「ほう」

 クインシーは少々興味深げにティースを見ると、ゆっくりと彼に歩み寄った。

 ティースは慌てて立ち上がる。

「ディグリーズの参、クインシー=フォーチュンだ」

 差し出される右手。

(参……ってことは、トップに近い人だ……)

 ディグリーズの参『聖天使』クインシー=フォーチュン。その名前はティースも何度か聞いたことがあった。

 慌ててズボンで手を拭き握手に応えると、

「あ、ええっと、俺はティーサイト=アマルナといいます。よろしくお願いします」

「ティーサイトくん、か。歳は?」

「19歳です」

「なるほど。いい目をしているな」

 ふっ、と、クインシーの目尻が一瞬だけ緩んだ。

 振り返ると、

「わかった、アレッタ。私が引き受けよう」

 アレッタはホッと安堵の息を吐いて、

「お願いね、クインシー」

「ああ。では来たまえ、ティーサイトくん」

「あ、はい」

 歩き出したクインシーに付いていこうとするティース。

 すれ違いざま、アレッタが耳打ちしてきた。

「……自分がディバーナ・ロウだってこと、できれば言わない方がいいよ」

「え?」

 問い返す間もなく。

 ティースは首をかしげながらクインシーの後についていったのだった。




 ちょうどそのころ、ミューティレイクの屋敷では――


「よぅ、ルーベン。最近よく会うじゃないか」

「レイさん。どうも」

 応客室のソファに天然の白髪の少年が座っていた。

 ディグリーズのひとり『白の御子』ことルーベン=バンクロフトである。

「ウチのボスはもう少し時間がかかるそうだ」

「待ちますよ。子供の使いじゃないですから」

「――失礼します」

 ノックの音で入ってきたのは、本来接客を担当するパーラー・メイドではなく、ハウス・メイドの制服を着た少女だった。

 少女はレイがいることに少し戸惑ったような顔を見せたが、

「ああ、俺のことは気にしなくていい」

 レイのその言葉にうなずき、

「紅茶です。どうぞ。……失礼します」

 と、ルーベンの前に紅茶を置いて出ていった。

「……」

「リィナ=クライスト。ちょっと前に来た新しい子でな。本来は見てのとおりのハウス・メイドなんだが、最近は接客の仕事も覚えたがって、ときおり手伝っているらしい」

「?」

 ルーベンが怪訝そうに顔を上げると、

「今、目で追ってただろ? だから紹介してやったんだ」

「名前なら、もう知ってます」

「ほぅ。手が早いじゃないか」

「それはもう。講師が優秀だったもので」

「なるほど。ディグリーズにはよほど軟派者が多いと見える」

「……」

 ルーベンはレイをチラッと見て、それから苦笑した。

「どうせわかってるんでしょ。ちょっと知ってた子に似てると思ったんですよ」

「だろうな」

 レイはそれ以上追求せず、ルーベンの向かい――ファナの座る場所に腰を下ろし、頭の後ろで手を組んだ。

「ところで今日、ウチの見習いをそっちにやったんだ。てっきりお前に世話になるものと思ってたんだが、アレッタのヤツから聞いてなかったか?」

 ルーベンはちょっと視線を上に向けた。

 特徴的な白い髪がパラパラと後ろに流れる。

「ああ……思いっきし初耳です」

「……だと思ったよ」

 と、レイは苦笑する。

「今日はカレルさんもライオン頭もいないはずですよ」

「リゼットは?」

「所用でどっかに出てたと思いますけど、今ごろはもう帰ってるかな。帰ってたらいいですね」

「なるほど」

 レイはおかしそうにつぶやいた。

「戻ってなかったら『事故』か」

「いやあ、どうでしょう。半々ぐらいかと。チンピラブラザーズなら事故でしょうけど、他なら、まぁ、他流試合ぐらいはなにごともなく終わってくれるんじゃないでしょうか」

「他ってのは誰のことだ?」

「ナイジェル=ローゼンとクインシー=フォーチュンですよ。知ってのとおりどっちも変人……って、まぁ、ライオン頭とか両刀使いとか、こっちもまともな人間の方が少ないですけど」

 レイは鼻で笑って、

「ま、いいさ。仮に門前払いでも喰らったならまた後にすればいい。アレッタのヤツにひとつ、貸しもできるしな」

 ルーベンは少し考えて、

「見習いってのは、ティーサイト=アマルナさんのことですか?」

「知ってたのか?」

「ええ。以前ネアンスフィアの事件のときに少し。直接話してはいませんけどね」

「ああ、お前らに世話になったんだったか」

 レイは思い出した顔をして、

「そういや誰かが言ってた。ティースのヤツを見てると、お前のことを思い出す、ってな」

「……」

 ルーベンは少し視線を泳がせてから、

「なら今ごろ、ネスティアスの訓練生をそれはもうコテンパンにしてるに違いない。ええ、そうに違いない」

 レイは笑った。

 冗談に対する笑いではなく。

 もっと意味ありげに。

「賭けでもするか?」

「……」

 ルーベンはかすかに眉を動かした。

 ……言うまでもないことだが、ネスティアスの訓練生は大陸各地にいる同じデビルバスター候補生の中でも明らかにレベルが高い。当然だ。ネービス公の援助のもと、毎日高いレベルの指導を受け、デビルバスターとして必要な要素のすべてを叩き込まれるのだから。

 ディバーナ・ロウのそれと比べても、はるかに上。

 しかし、それはあくまで平均点の話だ。ネスティアスの候補生が全員、ディバーナ・ロウの候補生より強いというわけではもちろんない。

 それはルーベンもよくわかっていて、 

「やめときます。あなたのはほとんど詐欺ですから。結果、わかって言ってるんでしょ?」

 そう答えた。

 ティースは以前、ネスティアスの訓練生に同じように挑み、そして目も当てられない惨敗を喫した。

 今回はそれ以来、2度目の挑戦。

 時期は、デビルバスター試験を間近に控えたこの時。

 そんな大事なときに、このレイが、練習試合とはいえ勝ち目のない人間を送り出すとはとても思えなかった。

「そうか」

 レイは薄く笑った。

「たいしたことはないさ。パースのヤツと10回に3回勝てる程度だからな」

「パース? パーシヴァル=ラッセルに10回中3回?」

 ルーベンは呆れてため息を吐いた。

「いよいよひどい人だ、あなたは。ウチの訓練生があいつとやって何回勝てるか――」

 そのときカチャッとドアが開き、ルーベンは言葉を切ってすぐに腰を上げた。

 入ってきたのは屋敷の主人であるファナと、執事兼ボディガードのアオイである。

 そしてルーベンを見た瞬間、ファナの表情がほころんだ。

「ルゥさん。ようこそいらっしゃいました」

 対し、ルーベンは深々と頭を下げて、

「ご無沙汰してます、ファナさん。御健勝のようでなによりです」

「あら。またその言葉遣いですの?」

「……」

 ルーベンは頭を下げたまま動かなかった。

「姫」

「ええ」

 アオイに促され、ファナはうなずいて彼の向かい――レイはとっくに席を空けていた――へ腰を下ろす。

「じゃ、俺は退散するとしようか」

「いえ、レイさん。レイさんもそちらへ」

 レイは怪訝な顔をして、

「なにかあるのか?」

「今日のお話はレイさんにも関係のあることですわ。ルゥさん。お願いします」

「はい」

 ルーベンは腰を下ろし、レイを見て、ファナを見た。

「最近、タナトスに少々不審な動きが見られる……そんな情報がウチに入ってきているようです」

「不審な動き?」

「ええ。……みなさんもご存じの、学園群で起きた麻薬事件。アレ、どうもタナトスが1枚噛んでいたようで」

「……」

 レイは無言で腰を下ろした。




(この、青年――)

 その光景に、クインシー=フォーチュンは目を見張った。

「そ、それまで!」

 訓練場に響く審判役の声。

 クインシーの目の前にはうなだれるネスティアスの若い訓練生と、どこか驚いたような顔で立ち尽くすティースがいた。

 勝敗が決したのは誰の目にも明らかだ。誰もが一瞬静まり返ったのは、その結果が予想の真逆だったことと、そしてそこに至る経緯があまりにも鮮やかすぎたせいだろう。

「あ、えっと……」

 ぽかんとするティースの顔に、勝利の喜びらしきものは少しもない。それほどにその勝負はアッサリしすぎていた。

 もっと言うならば――『勝負』にすらなっていなかった。

「……」

 結果がその逆であればクインシーもそうは驚かなかっただろう。ネスティアスの訓練生は個々の違いこそあれトータルでいえば非常にレベルが高いといえるし、今回相手に選んだ青年も、トップクラスにはほど遠いとはいえ、それなりに見どころのある訓練生のひとりだ。

 クインシーは認識を改めた。

 そこにいるティースという青年が、どうやらネスティアスの訓練生でいえばトップクラスの実力の持ち主らしい、と。

「見事だ、ティーサイトくん」

 手を2度、3度と叩きながら歩み寄っていく。

「あ、はい……」

 なんとも頼りない反応。

 クインシーは興味深い目をしながら横に流した前髪を右手で軽く掻き上げ、敗北した訓練生をチラッと横目に見るとティースに尋ねた。

「ティーサイトくん。彼の剣はどうだった?」

「え? えっと……」

 少し考えて、ティースは正直に答えた。

「そ、そうですね。どことなく荒いっていうか、無駄が多いっていうか……あ、いや! でも太刀筋は鋭かったし、さばき方も――」

「なるほど、ありがとう」

 クインシーは口元を緩めると、もう一度、訓練生の方を見て言い放った。

「慢心するから、そうなる。貴様は基礎クラスから出直しだ」

「……」

 訓練生はガックリとうなだれた。だが、自分の不甲斐なさを自覚しているのか反論する気配はない。

 クインシーはティースに向き直ると、

「ところで聞いてなかったな。……いや、正直言うと今の戦い振りを見て興味が沸いてきた。君は一体どこの者だ? 誰に師事している?」

「え……」

 ティースはドキッとした。

『ディバーナ・ロウであることは言わない方がいい』

 アレッタに言われたその言葉が脳裏を過ぎる。……彼はネスティアスとディバーナ・ロウの関係などなにも知らなかった。いや、知らないというより、同じ街の同じデビルバスター部隊同士、当然仲間であり、掛け値無しの友好関係にあると思っていたのである。

 だからほんの少しだけ迷った後、正直に答えた。

「ディバーナ・ロウです。今は主にレインハルト=シュナイダーさんに教わっています」

 その途端、辺りがざわつく。

(……え?)

 それはもちろんティースにも伝わった。

 理由はわからない。

 だが、

「ディバーナ・ロウ……?」

 直後、わずかにこわばったクインシーの表情から、ティースはアレッタの言葉の意味を少し肌で感じることができていた。

 だが、それでも。その変化の意味まではわかるはずもなく、

「クインシーさん?」

 クインシーの瞳の奥で困惑のようなものが交錯していた。

 やがて、

「なるほど。アレッタめ。言い忘れたわけではなかったか」

「え?」

 クインシーはティースに視線を合わせ、一歩近づいた。

「っ……!」

 その瞬間、先ほどまでなごやかだったクインシーに、ほとばしるほどの威圧感を覚える。

「しかし正直に答えたということは、なにも知らないということだろうな。……ならば」

 そしてクインシーは目を細め、驚くべき言葉を口にした。

「ウチに来ないか、ティーサイトくん」

「……え?」

 ティースは目を丸くする。

 クインシーは気にせず続けた。

「ディバーナ・ロウを抜けて、ウチに来ないかと言ったのだ。君には見どころがある。素質が感じられる」

「……」

「私に付いてくれば、必ず君をデビルバスターとして大成させてみせよう。必ずだ」

 ティースは驚いてクインシーを見つめ返した。

 なにを言っているのか瞬時には理解できなかった。

(ウチ? ウチって……? 付いてこいって、まさか――)

 その脳裏に『引き抜き』という単語が過ぎったのは、たっぷり10秒以上の時間が経ってからである。

 だが、それも仕方がない。そもそもこのティースという男、基本的に自分を過小評価する傾向にある。そんな彼がいきなり、ネスティアスのトップ10に君臨する男から部隊に誘われたというのだから、戸惑うのも当たり前のことだ。

 しかし、クインシーの顔は明らかに冗談ではない。彼は本気でティースの素質を評価し、本気で勧誘しているようだ。

 そのぐらいのことはティースにも感じ取ることができた。

「君のような人材をディバーナ・ロウに埋もれさせるのは惜しい」

 ティースが返す言葉を探しているうちに、クインシーは立て続けに言った。

「そもそも君は、あのディバーナ・ロウの本当の目的をまだ知らないようだ。ならばなおさら、ウチに来るべきだ」

「え? ……本当の目的?」

 なんのことかティースにはわからなかった。

 クインシーは続けた。

 表向きは冷静に、だがその内には確かな熱を秘めて。

「今のうちだ、ティーサイトくん。私のところへ来い。その方がいい。今のうちにディバーナ・ロウを抜けなければ、きっと取り返しのつかないことに――」

 と。

「クインシー」

「!」

 彼の言葉をさえぎるように、少しハスキーな声が訓練場に響き渡った。

 コツ、コツと軽快な足音が響く。

 クインシーの振り返った先――ティースの視線の先には、見覚えのある人物が立っていた。

「イケないなァ。そうやって言葉たくみにウブな若者をたぶらかそうとしちゃ」

 黒い制服――ディグリーズの証。その肩には『玖』の文字。

 リゼット=ガントレット。

 『月神』の異名を持つディグリーズの一員で、ティースは以前に少しだけ言葉を交わしたことがあった。

「リゼット……」

 クインシーのつぶやきにリゼットは微笑を浮かべる。

 その笑みがどこか倒錯的に感じるのは、彼の装い、仕草、声……その他諸々が男装の麗人、あるいは女形のような雰囲気をまとっているからだろう。

 ネービスの国教であるミーカール教において月の神は両性具有とされており、そう考えるとなるほど『月神』とは彼にピッタリの称号だと思えた。

「どうせたぶらかすなら女の子の方がいいんじゃないかな。いくらそうやって配下を増やしたところで、彼らは誰も君を気持ち良くしてはくれないよ?」

「たぶらかすなどと人聞きの悪い。私は彼に正しい道を示そうとしたまでだ」

「正しい道、ね」

 リゼットはクスッと笑って言った。

「そんなヘンな髪型の人に言われても説得力ないな、なんか」

「……」

 クインシーはとっさに髪――真横に流した前髪に手を触れると反論した。

「なにを言う、リゼット。よく見ろ、風もないのになびくこの髪を。これが今後のトレンドだとなぜ気付かん」

 リゼットはため息を吐くと、

「君のセンスの悪さは薄々気付いてたけど、ここまでとは思ってなかったよ」

「……」

 なにやら妙なことになってきたぞ、と、ティースは少々困惑してそんな2人のやり取りを眺めていた。……訓練生たちの姿がいつの間にか消えていたことには気付かないまま。

 クインシーはリゼットの頭を指して、

「貴様こそなんだ、その髪型は」

「え、僕の髪は普通じゃない。ねぇ、ティースくん?」

「へ?」

 いきなり話を振られて固まってしまった。

 リゼットはどうやら以前一度会っただけのティースをよく覚えていたらしい。

 ティースは少々たじろぎながらも、

「ふ、普通だと、思いますけど……」

 そう答える。

 実際、リゼットの髪は耳が半分隠れる程度の金髪を自然に後ろに流したもので、特別おしゃれというわけではないが、クインシーほど奇抜でもなかった。

「ありがと、ティースくん。……ちゅっ」

 ウインクと同時に投げキッスが飛んでくる。一瞬ドキッとしてしまったティースだが、彼がもし男だったらと考えると今度は寒気がした。

 それからクインシーに向き直って、

「ほらね。ティースくんも君の髪型がヘンだって」

「え!? 言ってな――」

「……貴様」

 地から響くような声にティースはドキッとしたが、幸いその言葉が向けられた先は彼ではなくリゼットだった。

「貴様には言われたくない。いまだ、他人の背中を追いかけることしか能のない貴様には、な」

「……」

 空気が変わった。

 リゼットの言葉も少しだけ低くなる。

「別にそういうつもりはないよ。髪型が似ちゃったのもただの偶然。でも……君はもう、追いついたつもりなんだ?」

「追いついたのではない。追い越したのだ、リゼット。とっくの昔にな」

 そこで交わされたのは、ティースには理解のできない内容の会話。

 だが、異変にはすぐに気付いた。

 空気が沈み込む。

 重く、重く。

 危険だ。

 ――なにが?

 いや。

(っ……!?)

 気付く前に、体が勝手に後ずさっていた。

 その場に満ちる、得体の知れない威圧感に気圧されて。

「じゃあ……せっかくだし、久々に見せてもらおうかな」

 リゼットの頬に微笑が浮かぶ。

 先ほどのものとは明らかに質の違う、挑発的な笑み。

「僕が審査してあげるよ。君が本当に、言うほど強いのかどうか」

「……」

 リゼットの挑発に、クインシーはかすかにためらいを見せた――ようにティースの目には映った。

 だが、次の瞬間にはゆっくりと腰の獲物に手をかける。

 ……訓練用のものではない。おそらく彼がいつも使っている武器だ。

「いいだろう。リゼット。そうすれば貴様も認めざるを得まい。私の言葉を」

「ふふ……」

 リゼットはチラリとティースを見た。

「いい子だから下がっててね、ティースくん。あとでアメ玉あげるから」

「え? ちょっと――」

 忘れ去られていなかったのは彼にとって幸いで、その場の空気はすでにアメ玉に突っ込みをいれる余裕もないほどに張り詰めていた。

 先に武器を抜いたのはクインシーの方だ。鞘から抜いたのはオーソドックスな中サイズの両刃剣。つばが二重の輪になっている以外はごく普通だが、刀身がほんの少し発光しているように見えた。

(あれは、アルファさんのと似た光……)

 ディグリーズであれば当然というべきか、おそらく普通の破魔具ではない。光属性の魔力を秘めた神具だろう。

 対するリゼットはクインシーのものと比べると幅も長さもひと回り大きい、やはり両刃の剣だった。細身の彼には少々身に余っているようにティースには思えたが、持ち主のレベルを考えれば大した問題ではないのかもしれない。

 ――動く。

「!」

 1、2、7、10撃――

(速い……!!)

 ひとつひとつを数えることが不可能なほどの打ち合いが瞬時に繰り広げられ、ティースは身の危険を感じてさらに後ずさった。

「!」

 すぐに背が壁にぶつかる。

(……すごい)

 迫り来る竜巻を眼前にしたかのような、そんな圧迫感。

 目の前で繰り広げられる、常人をはるかに超えた競り合いに、じわじわと胸に恐怖心が湧き起こってきた。

 ……大丈夫。彼らはティースの存在を忘れているわけではないから危害が及ぶことは考えられない。だから大丈夫。

 理性ではそう感じていながら、恐怖は消えない。

 そして、同時にその奥底で。

 かすかに湧きたつ、マグマのような熱情。

(なんだ、これ……)

 ……ざっ!

 数え切れないほど打ち合った後、2人の間合いが開いた。

 空気が張り詰める。

 リゼットは手にした剣でくるっと円を描くと、言い放った。

「廻って巡れ――『玉兎たまうさぎ』」

「!」

 きぃぃ……ん、と甲高い音がして、リゼットの持つ剣の刀身が少しずつ黒ずんでいく。

「残影『十六夜』の型――」

 リゼットが床を蹴った。

 クインシーの視線が鋭さを増して。

 再び、打ち合う。

「……?」

 一見、先ほどまでとなにも変わっていない。

 いや、

(クインシーさんが少し押されてる……?)

 さっきまで余裕のあった(少なくともティースにはそう見えていた)クインシーの反応が、明らかに先ほどまでと変わっていた。

 鈍くなっている。……いや鈍くなっているというより、迷いが生まれていると言った方がより正確だろうか。

 なぜ、と、考えて、ティースは目を見張った。

(あれは……?)

 リゼットの剣がおかしい。

(2本……? いや――)

 目をこらすと、刀身が2本に見えた。だが、手にしている剣は確かに1本。速すぎて残像が見えているのかとも思ったが、ほぼ同じ速さで動くクインシーの剣は普通に見える。

(さっきの力……あれがなにか――?)

 正体はわからない。だが、間違いないだろう。なにかしらの『能力』なのだ。

「っ……!」

 たまらずクインシーが間合いを広げた。

 リゼットは追いかけない。追いかけず、再びくるっと円を描いた。

「当たると大怪我するよ、クインシー」

「!」

「――飛閃『三日月』の型」

 リゼットはそう発し、その場で一太刀振るった。

 どう見ても届いていない。

 だが、

「!?」

 ティースは目を見張った。

 振るった剣の軌跡が宙で型を成し、空気を切り裂きながら飛んだのだ。……それも1撃だけではない。2撃、3撃――リゼットの斬撃に合わせ、近距離にいるのと大差のない鋭く速い斬撃がクインシーを目掛け飛んでいく。

「ち……」

 クインシーは足を止め、それらを打ち払っていく。

(これじゃ近付くこともできない……)

 ごくりとのどが鳴った。

 手が汗ばむ。

 左手はいつの間にか、腰の細波を震えるほど力強く握っていた。

(どうするんだ……?)

 クインシーがこのままで終わるとは思えなかった。その漆黒の制服に刻まれた数はリゼットよりも格上。であれば、ここまで一方的に打ち負けるはずがない。

 必ず反撃するだろう。

 ……見たい。

 そのときティースの心の中に、確かにそんな欲求が生まれていた。

 はるか雲の上にいる、彼らの実力をその目で見届けたい、と。

「リゼット……」

 瞬間。

 背中を戦慄が駆け抜ける。

 クインシーが本気になった。――ティースは漠然とそう感じた。

「!」

 振るった剣で、飛ぶ斬撃が四散する。

 そのまま、切っ先をリゼットへ向けた。

「貴様こそヘマをするなよ。……死ぬぞ」

「――」

 リゼットの斬撃が止まった。その気配を感じたのか、かすかに表情をこわばらせ、再びその手の剣『玉兎』をくるっと回転させる。

 クインシーの視線がリゼットを射抜いた。そっと左手を刀身に添える。

「裁きの光……ほとばしれ『天輪』――」

「奥義――『望月』の型――」

 そして衝撃が、訓練場に満ちた。





 

「……どうした、ティース? 自分の剣をジッと見つめて」

 その日の夜。

 屋敷1階のホールでひとり考え込んでいたティースの元に、麦酒の杯を手にしたレイがやってきた。

「あ、レイさん。いや、ちょっと……」

「リゼットとクインシーの戦いに当てられたか?」

「そんなとこです」

 ティースは正直にそう答えた。

 レイが正面に腰を下ろす。

 この時間、使用人たちはほぼ仕事を終え、自宅、あるいは寮の方へと帰っている。今この建物にいるのは一部の使用人とティースたち客人扱いの者のみだ。

 ティースは顔を上げて質問した。

「レイさんも確か……『夜叉』でしたっけ。不思議な力の武器を持ってるんですよね」

「ん? ああ」

 腰にぶら下げた2本の曲刀を軽く手で撫でる。それからニヤッとティースを見ると、

「考えなくていい」

「え?」

「結論から言うと、可能だが……なんだ? 要するに、そういう不思議な技が自分にもできないものかと考えてたんだろ?」

「え……あ、ええ。その通りです」

 あっさりと見抜かれていたようだ。

 レイは麦酒を一気に半分ほど飲んで、続けた。

「魔の連中が使うヤツと違って、こいつらの力ってのはあくまで補助的だ。制約が多くて見た目ほど使い勝手のいいもんじゃない」

「制約?」

「いずれわかるさ。でも、まずはそんなものナシで戦えるようになることだな」

「はあ……」

 ティースはテーブルの上に視線を落とす。

 見とれるほど美しい『細波』の刀身が照明を反射して輝いていた。

「ところで」

 レイが話題を変えた。

「お前、試験の同行者のことはもう聞いたか?」

「え? 同行者?」

「ああ。試験会場の帝都ヴォルテストまでは結構な長旅だから、コンディション維持と安全確保のサポート役として同行者が付いていく。今年はお前とパーシヴァルの他に4人ついてく予定だ」

「へ? コンディション維持と安全確保ったって……馬車に乗って行くだけですよね?」

 このネービスからデビルバスター試験会場のあるヴォルテスト領の帝都までは5つの領土を横断し、アクシデントがない限りはおよそ20日間の行程だ。デビルバスター試験の受付締切は5月の末日で、ティースたちはその25日前……あさってに発つことになっている。

 レイは笑って、

「過保護だとは思うが、その程度で少しでもリスクを減らせるなら安いってことさ。ウチにとっちゃお前もパースも貴重な人材だからな」

「へぇ」

 いたれり尽くせりだなぁ、などと、なかば他人事のようにティースは感じていた。

 もちろんその時点で、なんでもないはずの行程にアクシデントが生じることなど推測できたはずもなく。


 そしていよいよデビルバスター試験、出発の前日を迎えるのだった。


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