表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そんな告白最低だ!  作者: 3206
第一章 もう一度あいつと会うことになるとは
4/38

気に入った場所

自己紹介が終わった後、俺はなぜか人気者だった。

「ねぇ、本当に女の子? すっごいイケメンに見えるんだけど」

「それはさっき先生が言ってただろ」

そう、ちゃんと先生の口から証拠が出てきたのだ。


――彼女の言ってることは冗談じゃないぞ。私も始めてみたときはビックリしたがな。


俺はその言葉に対してちょっと疑問を抱いたのだが、すぐに気にならなくなった。

で、相変わらず俺の周りには女子が集まってきている。なんで女子だって分かってんのに近づいてくんだよ。

相手をするのがめんどくさくなって俺は走って教室を出た。

今日来た学校なのであんまり何処に何があるのかとかは分からなかったけど、一個だけ覚えている場所があった。見学に来たとき気に入った場所だ。

学校の校門とは逆の校舎側にある場所で、簡単に言うとそこでカップルになったら永遠に幸せになれる、みたいな言い伝えがありそうな木が一本だけ植わっている場所だ。生徒のほとんどは立ち寄らないらしく、草も伸び放題だ。

なんで俺がそんな場所を気に入ったかというと、

「あれ? なんでここに人がいんの?」

急に何処からか声がして俺がキョロキョロしていると頭上から「こっちこっち」と呼ぶ声が聞こえてきた。

声のほうを見上げると、そこには俺と同じくらいの年だろうか、俺よりもちょっと身長の高い男子生徒が表情を無にして手をあげていた。

てか、この年にもなって木登りとかするのかよ。

「あっ、お前」

初対面の人間に対してお前とか、礼儀のなってない奴だな。

「一年四組、白文和桜しらふみなお、でしょ?」

なんで俺のクラスと名前を知ってるんだ?

俺がそう思っていると勝手に喋りだした。

「俺、お前と同じ一年四組の生徒、自己紹介聞いてたよね? って、聞いてるわけないか、ずっと何か考えてたみたいだしね」

そう言うと、ようやく木の枝から飛び降りた。そこまで高さがないので簡単に飛び降りた。

飛び降りるとその男子生徒は俺の横を通り過ぎて校舎に向かっていった。

「お前何処いくんだよ」

「教室」

ぴたりと止まって、首だけ俺のほうに向けて言う。

俺はそいつに向かって命令した。

「自己紹介聞いてなかったの知ってるんだったらここでしろ」

その男は「はぁ」とため息をついて喋りだした。

「俺のこと、憶えてないわけ?」

「だから聞いてなかったんだって」

そいつはしばらく何も言わなかったが俺が睨んでいたら観念したらしく自己紹介をした。

「お前と同学年の四組、柴原優人しばはらゆうと。これでいいだろ」

その柴原はそれだけ言うととっとと教室に向かって歩き出してしまった。

柴原優人、どこかで聞いたことのあるような名前だ。

もしかしてあれが運命の人とか?……ないない、俺の教室に戻ろ。

どこか引っかかる柴原優人という名前を頭の隅っこに置いて、気持ちを切り替えることにした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ