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そんな告白最低だ!  作者: 3206
第三章 イベントは行事じゃない
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蘭からの最後

あたしは電話をかけていた。理由は簡単だった。

「……もしもし、蘭」

「もしも~し。早速お電話ですね、ナオさん。と言っても前の電話から二週間くらいかな?」

そう、あたしが蘭に電話するのは遅そうで、結構速かった。

でも、蘭は自分からかけてくることはなかった。今はいつもと同じ陽気な声だけど、ずっと気を使ってくれたたんだと思う。

「うん、蘭に頼みたいことがあるんだ。いいかな?」

「うん、いいよ。けど、女口調のままだね、もうちょっと男っぽくてもいいのに」

「ううん、これくらいがいいの。で、用件なんだけど――」


――優人と合わせてほしいの。


「……本気? それ」

蘭の口調が変わる。大丈夫だ、蘭なら協力してくれる。

「本気。あたしは優人と会いたい」

「……でもそれなら学校で――」

「優人が、あたしのことを避けてる。だから、蘭にお願いすることにしたの」

「……そっ、優人もバカなことしてくれるねー」

あの日からずっと、優人はあたしを避けてる。中庭にはいないし、すれ違ってもまるで何もないみたいに通り過ぎるだけ。前から挨拶をしたりする中じゃなかったかもしれないけど、明らかにあれはおかしい。不自然だもん。

「だから、優人に合わせてほしいの。場所は中庭って言っといてくれる?」

「ナオが直接連絡した方が……優人だからダメか」

蘭がそう思うならそうだろう。それにあたしは優人の電話番号もメールアドレスも知らない。

「……方法は蘭に任せるから。強制はしないでね」

「分かった、誘うだけだね。失敗しても怒んないでよ~」

「怒んないって。じゃ、よろしくね」

と言って電話を切る。一方的な電話なのに蘭は嫌だなんて言わなかった。

ごめんね、蘭。ありがとう。

心の中でそういった。

しばらくしてから、蘭かメールが送られてきた。

『ミッションクリア! 時間は明後日の五時半! これがあたしの協力する最後のチャンスだからね。大切にしなよ!!』

…………最後のチャンス。そうだ、その通りだ。

ここでまた失敗したら、本当にチャンスなんてもうない。あたしの考えたことが外れてたら、もう一度泣いてしまうだろう。

だから、これが失敗したらもう自分からは告白なんかしない。

もう、これで終わりにする。


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