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そんな告白最低だ!  作者: 3206
第三章 イベントは行事じゃない
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事実は小説よりも……

怖い。蘭がこんな声を出したところ初めて見た、初めて聞いた。

「なんでそんなに逃げるの? 六年前もそうでしょ。逃げたのは優人だけじゃない、ナオも逃げた」

「何言ってるんだ……?」

「小三のとき、優人はナオに告白して、逃げた。でも、ナオだって逃げた。返事をする前にたぶらかされて、本当の返事ができなかった。優人に――」

「何言ってんだよ!! あたしはあの時断ろうとしてた! それを寸前で言わなくてもよくなった! ただそれだかだろ!」

「じゃあなんで次の日から『俺』なんて言い出したの?」

「そんなのあたしの勝手だろ!」

「うんそうだよ。だから理由を聞いてるの」

「それに蘭は知らない! あの日もあたしが一人称に『俺』を使ってたのを!」

「嘘だよ。あの日ナオは『あたし』って言ってた」

「なんでわかるんだよ!!」

「だって…………」


――あたしはナオと小学校も一緒だから。


「…………え?」

何言ってるんだ? あたしが蘭とあったのは中学の時のはず……。小学校の名簿にも『松川蘭』なんていう生徒はいなかった。

「でも、あたしは小学三年生の十月。運動会の翌日に転校したんだよ」

確かにそれなら卒業アルバムには名前が載ってないかもしれない。けど、中学で再開すればわかるはずだ。

「その時、両親が離婚したから、苗字が変わったの。それでお母さんが再婚して『松川』になった。お金持ちなのは二人目のお父さんなんだよ」

え? でも、だとしても蘭なんて言う名前の友達は知らない。

「ちなみにあたしとナオは小学校の時にしゃべったこともないよ」

「だったらなんであたしのこと――」

「聞いたから」

聞いた? 誰に? と質問する前に蘭がしゃべり始めてしまう。

「弟から聞いたんだよ。それであたしもナオに憧れた。すごく明るくて、あたしとは大違いだなって」

「蘭の方が――」

「小学校のころのあたしは読書ばっかりして、人と話さない子だったの。弟と似て」

わかんない、どういうことだ? 頭がこんがらがる。弟がどうしたんだ? 弟がいたからって、年下なんて付き合いがなかったはずだ。

「簡単に言ってあげる。それでわかるはずだよ。あたしのもともとの名字は……」


――柴原。柴原蘭。


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