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そんな告白最低だ!  作者: 3206
第三章 イベントは行事じゃない
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高校初めての学校イベント

五月も中旬――上旬の終わりになると体育祭の話や練習が始まる。体育祭なんてこんな早い時期にやんなくてもいいと思う。体育祭をやる六月の初めになるとだんだん気温も上がってきて暑いし、梅雨だから湿気がすごいし、最悪の時期だと思う。

「……ということで、今日の放課後部活がない人は練習するので集まってください」

学級委員が号令をかけて終わりになる。

体育祭はこういう練習を大まじめにやるから嫌なんだ。あたしは自己紹介の時に言った通り、景色を見たりする、静かなことが好きだから体を動かすのはあまり好きになれない。

とは言っても、なにも部活をやっていないあたしは強制参加。まじめにやらなければいけない。

「絢香、部活はあるの?」

「ううん、今日はないよ。さすがにあたしがいないと話す相手もいなくて退屈、とか思った?」

「その通り。あんまり話せる人いないし」

「そんなことないじゃん、あんなに人気者だったのに」

絢香の言葉で自己紹介のあの空気を思い出した。あたしが女だといった瞬間のあの空気を。

なんであんなに間違える人がいるのか不思議だ。

「気軽に話せる人がいないって意味だ」

という話をLHR中にやっているのだが、担任が学級委員にまかせっきりで職員室に戻っちまったから、こうなるのも当たり前だろう。

「っていうか、この話し合いの時間を練習に回した方がいい気がするけどなぁ」

「だったら提案すればいいんだよ」

「めんどくさいからヤダ」

そうしたらここでダラダラしてる時間がなくなるじゃん。

「めんどくさいなら優人君のところに行って来れば?」

「今授業中だろ」

「授業中じゃなかったら行くの?」

「そういう意味じゃない。あたしはあいつが嫌いなんだ」

「好きと嫌いは――」

「そのネタは禁止。そんなこと起こらないんだから」

それは昨日あたしの脳内でやったばっかりだ。自分の頭に浮かんだ言葉を自分で打ち消す。よくあることだ。

「それじゃあ、リレーの人はなるべく早く集まってください」

と、また学級委員が連絡する。あたしはリレーじゃないから問題ない。

ちなみにあたしが出る種目は。大縄跳び、百メートル走だけだ。二種目だから少ない方だと思う。

「では、あとは自由時間にします。トランプの続きやろうぜ!」

学級委員なんてそんなもんね。やることやればほかの生徒と何一つ変わらないんだ。

放課後までの授業もめんどくさいし、練習もめんどくさいなぁ。

授業もめんどくさいんじゃ何のために高校に入ったのかわからないなぁ。


放課後の練習も、まじめにやる人やらない人が見事に分かれた。あたしはどっちかというと後者だ。ちなみに絢香はあたしとの会話に付き合いながらもしっかりと練習をしている。えらいなぁ。

ほかのクラスも練習をしてるみたいだ。なんでみんなやる気なんだ? なんて言う疑問はあたしでも抱かない。普通なら頑張るんだろうが、あたしがずれてるだけなんだ。

まぁ、あたしはさっき信じられない光景を目にしたから少し冷静になってる。

さっきここに来る途中、教室に一人でいたあたしは校庭に向かうべく席を立ったのだが、廊下から声が聞こえたのだ。もうほとんどの生徒が体育祭の練習か部活に向かっているはずなのにまだ人が残ってたのか、としか思わなかったが。……え? あたし? あたしは別にいいんだよ。さぼりじゃなくて遅れるだけなんだし。リレーじゃないから多少はオッケーなはずだ。

『なぁ、体育祭のリレー一位取ろうな!』

おぉ、やる気に満ち溢れたセリフだ。でも聞いたことがあるぞ、この声。そう、つい最近一緒にカラオケに行ったじゃないか。

「……萱沼か」

すごいなそのやる気。もう一人は誰だよ。

『ああ、なるべく頑張るけど、抜かれたらゴメンな』

あ、こっちもそれなりにやる気のあるセリフ、かすかにやる気が感じられる。

でもさ、この声って。優人じゃね? いやでも優人がこんなこと言うのか? いつも何もかもに対してダルそうなあいつが?

と、二人組があたしのいる教室の前を通るのが見えた。

…………うん、間違いない。優人だ。なんかいつもと感じが違うけど……なんかあったのか?

ということがあったのを覚えている。

「ナオー、大縄やるって~」

絢香からの召集がかかったのであたしは大縄が準備されている場所に向かう。

何だろう、妙に優人のあれが気になる。今まであたしが見てきた優人と全然違った。

あれは、何だったんだ? あたしの見間違いだったのか?


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