いろんなことをやりすぎだと思う
「で、なんでゲーセン行くことになったんだ?」
「だってこのまま解散するのはどうかな~、と思ったからだよ~」
カラオケから出た後、なぜかゲーセンに行くことになったのだが、わざわざゲーセンに行かなくてもよかったと思う。だってカラオケの近くにはゲーセンなんてものはないから結構移動しなきゃいけないんだよ。電車で移動して隣の駅まで来たし。
今はまだ五時だからゲーセン入れるけど、そんなにやる時間ないんじゃないのか?
「まぁ、蘭は一回決めたら絶対やるからね。しょうがないでしょ」
そう言ってあたしの横を歩いているのは萱沼だ。なんかあの一件(氷をぶつけた)おかげで少し打ち解けることができたらしい。あのやり取りで打ち解けられるものなのか?
「あたしもそれはよくわかってるんだが、たまには周りの意見も聞いてほしいんだよ」
「分かる気がするけど、蘭はあれで人のこと考えてるんだぞ」
「お前は蘭の兄弟か何かか? それとも恋人か?」
俺がこいつのすべてを理解してるんだ! みたいなやつか? うん、リア充死ね!
「……なんで俺はナオちゃんにそんな殺気を送られなきゃいけないの?」
「心配するな、ちょっとした妬みだ。リア充」
「俺にリア充って言ってるならそれは大きな間違いだとおもうよ」
「そういうやつに限ってほんとはリア充何だろ?」
「ナオちゃん目が怖い! それはあくまでナオちゃんの妄想! 俺はそう言うのじゃないから!」
まぁ、ボケはこれくらいにしておこうかな。
「……ねぇ、ナオちゃん。俺ナオちゃんに嫌われるようなことした?」
「ん? したんじゃない?」
テキトーに相づちを打っておく。
「ごめん、なんか怒ってるよね。ごめん」
「別に謝んなくていいよ、全部ボケだし」
なぜあたしがこんな愉快なことになってしまったかというと、これまた蘭のせいだ。っていうか、あたしの嫌な影響はすべて蘭の影響だと思う。
と、なんか目の前にゲーセンが現れた。結構ボケに集中してたのによく引かれなかったなあたし。
蘭がゲーセンの中にはいて行ったので、あたしたちも続けて入っていく。
「……で、まずはじゃんけんだね」
蘭があたしたちに背を向け歩きながらそういう。
「なんでじゃんけんなんだ?」
と、真っ先に質問するのはあたし。まぁ、お決まりかな。
「今からこれを順番に撮ろうと思って」
と、蘭はある場所の前で立ち止まった。同じような箱のような部屋がいくつか並んでいる。まぁ、これは言うまでもなくプリクラだろう。
「二人ずつやろうよ。じゃんけんで決めてさ。グーかチョキかパーで三つのグループに分かれるのが一番手っ取り早いよね。いいでしょ?」
……蘭の自分勝手な行動は簡単にとめられるものじゃない。あきらめよう。
こういうのはうざいと思う人もいるかもしれないが、慣れると結構なじめるぞ。あたしはまだ反発するけどな、ある程度は。
ここにいるみんなが全員――だるそうに興味を示さない奴を除いて――がそう思っただろう。
「はい、じゃあ。じゃんけん――」