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そんな告白最低だ!  作者: 3206
第二章 あいつには振り回されてばっかりかもしれない……。
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蘭はやっぱりいつも通り

蘭はあの後から急に元気になったのでレパートリーがなくなるまで歌っていた。だが、まだ店の方から時間になったという報告はない。なので、適当に時間をつぶすことにした。

「お前はまだ悩んでたのかよ……」

あたしは飽きれ気味に萱沼を見る。

「いや、だってナオだとさ……。ナオナオナオナオナオナオナオナオナオナオニャオナオナオ……今噛んだな。……あれ? でもニャオって、割といいんじゃ……」

「あたしは鳴き声じゃないからあたしじゃないよな?」

一応確認を取っておく。そんな猫の鳴き声が呼び名だなんて言うのは嫌だからな。

「……にゃあ。猫…………。ぬこ?」

「なるほどな、ぬこか。お前は意地でもそっちの方向性で考えると」

なんで猫になっちゃったんだ? 擬人化ならあたしも好きだけど……。人に猫とかのあだ名はどうかと……。

「……猫ねこネコ……。子猫ちゃん……」

ヒュンッ、と風を切る音が聞こえたのであたしは蘭の方へ顔を寄せる。

「痛ッ! なんかが飛んできた! しかも冷たい! なにこれ!?」

萱沼が一人で騒いでいるが、気にしないでおこう。

「ナオちゃんだよね!? 今なんか投げたよね!?」

あっ、ばれたのか。

「なに投げたの!? ほっぺのとこに思いっきり当たったんだけど! すごい痛かったよ!? なに投げたの!?」

なぜ二回言う。小説とかじゃないんだからそういうのは一回でいいだろ。とりあえず答えなきゃいけない気がしたので、答えておく。

「…………氷だ」

「氷!? なんでそんなもん投げちゃったの!? めちゃくちゃ固いじゃん!」

「いや、でも投げた氷がないじゃん。どこ行ったの?」

どこかに落ちてるとかするはずなんだが、どこにもない。証拠品がないぞ。っていうかなんでないんだ? 確かに投げたからその辺に転がってるはずなんだが……。

「萱沼…………食べたのか?」

「食べない食べない! それもはや芸だから! 日常でやる気ないなんてないから!」

まぁ、ないだろうな。お前は芸人にでもなるのか? ちなみに氷はドリンクの時の奴を投げた。心配はない。氷は萱沼のコップからとった。後で手、洗わなきゃな。

「……えーと、つまり嫌なんだよね?」

「何が? 主語がないからわからないんだけど?」

「だから、子猫ちゃん――」

――ヒュンッ!

「痛いって! しかも今の見た!? 氷が砕けてるじゃん! 威力すごいじゃん!?」

「ああ、あたしも驚いた。まさかこんなに簡単に砕けるとは…………。萱沼の皮膚は鉄かなんかでできてるのか?」

「ほんと、驚いた」

何故か蘭も話に加わってくる。

「砕けた氷がきらきら光って。そう、あれはまさしくダイヤモンドダスト! 規模は小さいけどダイヤモンドダストだよ!」

なんかよくわからないが、名前が付いた。氷を投げただけでダイヤモンドダストだそうだ。……バカだろ?

「読みはダイヤモンドダストでいいでしょ。あとは……よし! 周囲への妨害でダイヤモンドダスト!」

「ただの迷惑であって、戦闘時には使えなそうな技だ!」

ツッコミを入れたのはもちろんあたしだ。確かに飛び散った氷は迷惑だけどさ!

「俺のこと忘れてない?」

「別に忘れてないぞ。えーと、何だっけ? なんかを謝るんじゃなかったっけ?」

と、あたしは萱沼に聞く。

「だから、俺がナオちゃんのことを子――構えるの止めて! それ痛いんだから!」

「大丈夫だ。そこまでじゃない」

「いやいや! 氷が衝撃に耐えられなくて砕けてるじゃん! 強すぎるじゃん」

「猫パンチみたいなものだ」

「猫パンチも痛いけどさ! それ以上に痛いよそれ!」

――ヒュンッ!

「だから痛いって! しかも子猫ちゃんなんて言ってな――」

「いまだナオ!」

蘭の声がかかったので投げる! ちなみにさっきは猫という言葉に反応した。自分から猫パンチとか言ったんだけどね。

周囲への妨害ダイヤモンドダスト!」

ド中二病な技名を蘭が叫ぶ。氷投げただけなんだけどな。

だが、

「――何!? 避けただと!?」

と、言ったのはあたしじゃなくて蘭だ。ま、何回も同じことされれば避けれるよね。しかも今回は蘭が「いまだナオ!」って言ってるし。

「もういいから。とりあえず、その呼び方はしないでくれよ。絶対に」

「分かったって。氷投げられたんだからもう十分わかってるよ」

なんか本気で怖がってるそぶりを見せたのでもうやめる。結構楽しかったけどな。何回もやってたらつまらなくなる。

やっと電話がきて、退出することになった。飛び散った氷はしっかり回収してふき取りました。店員さん、お騒がせしました。


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