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そんな告白最低だ!  作者: 3206
第二章 あいつには振り回されてばっかりかもしれない……。
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何も起こらないいつもの日常だな。

で結局、四時間ほど歌い続けた蘭だが(ほかの人が歌ってる時も必ず参加していたため)燃え尽きたっぽい。まぁ、四時間ぶっ通しはきついのでは?

「まだ歌ってない曲がある。ここで死ねない……!」

何か蘭の目から見たここはすでに戦場らしい。お前はいったいなんでそうなってるんだ?

「いったん休憩しないか?」

と、あたしが提案したんだが蘭はもちろん「却下!」だそうだ。執念燃やしすぎだお前。

とりあえず、このままだと蘭の声がやばそうなので蘭は取り押さえてもらった。取り押さえたのは絢香だが、蘭も女なのでそこまで力が強いわけじゃない。…………あれ? ってことはあたしは絢香よりも力が弱いってことになるのかな? 蘭にやられてた時逃げられなかったし。

そんで今は男子が歌ているところだ。あたしはあの後みんなと一緒に七曲ほど歌って、あとはテキトーに聞いていた。

あたしはココアを一口飲む……とコップが空になってしまった。仕方ないので飲み物を取りに行くことにする。ちなみに、これで飲み物を取りに行くのは六回目になる。

「誰か飲み物のいる人いる?」

一応みんなに聞いてから行くことにする。何人もぞろぞろ行くより、一人がまとめていった方がいいからな。

「あっ、俺も行くよ」

と、萱沼が言う。いやいや、二人分くらいならひとりで行けるぞ?

と、言おうとしたんだが。いい機会だ、さっき言えなかったことをまとめて行っておこう。

「じゃ、萱沼も来てくれ」

あたしがそう言うと萱沼は立ち上がってあたしの方に来た。あたしは萱沼がこっちに向かい始めると同時にドアを開けて外に出たので、萱沼もすぐに出てきた。

「……そういえば、さっきなんか言ってたよね?」

「え? あー、あたしにちゃん付けはするな、って言ったんだ」

いきなり向こうから切り出してきたので一瞬何のことだか分らなかった。自分からさっき聞こえてなかったみたいだから言おうと思ってたのに、先に言われちゃうと反応が遅れちゃうらしい。

「なんでちゃん付けイヤなの?」

「んー。イヤっていうか、なんて言うか……。イヤなんだけどそれが一番じゃなくて……。ほら、あたしってどこからどう見ても『ちゃん』っていう感じじゃないじゃん? 前は一人称『俺』だったんだし。なんか違うじゃん?」

自分でそう思っただけなので、萱沼に対して聞くように言う。

でも、改めてなんでイヤなのかって聞かれると、少し考えちゃうな。今言ったことは嘘じゃないけど……。そんなに意識してたわけじゃなかったしな。ただ、ちゃん付けされるのが嫌だっただけで……。あれ? 結局イヤなんじゃないか?

と、あたしは氷をプラスしたコップにメロンソーダを注ぎ終わったので横にずれた。

「それじゃあさ、どういう風に呼べばいいの? いきなり呼び捨てっていうのはどうかと思うし…………苗字で呼んだ方がいいかな?」

と、萱沼はコーラを注ぎながら悩むそぶりを見せた。そこまで悩むことじゃないと思うけど。

「いや、べつに呼び捨てでいいよ」

と、あっさりした返事をする。

萱沼も注ぎ終わったのだが、その場で止まっている。

「……ナオ……。なんか、しっくりこないんだよな」

萱沼はあたしの名前を呼んだが、何か違うらしい。まぁ、人それぞれ呼びやすい呼び方があるからな。

「とりあえず、そこ、邪魔になってるぞ」

「え? あ、すみません」

萱沼は後ろを振り返って、後ろに人がいることを確認すると頭を下げた。

あたしは遅い足取りで指定の部屋に戻り始めた。萱沼もあたしの隣にを歩く。

「まぁ、べつに強制ではないからさ、好きな呼び方でいいよ」

とにかく、あたしにちゃん付けをするのは不自然だし、似合わないと思う。というあたしの気持ちを言いたかっただけだから。


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