神はいると思う?
なんか駄作なのに更新します。これ以外のアイデアが浮かびませんでした。
なぁ、この世にはやっぱり俺の味方になってくれる神がいるんだよ。
今回王様になったのはなんともっともやる気のなさそうな……。
「命令とか、ないんだけど……」
柴原優人! よくやったぞ神! ペーパーじゃなくてゴット!
「……いいや、四番の奴に王様の権限渡す」
「あっ、いいの? やったね!」
元気よく『4』と書かれた割りばしを前に突き出す蘭。
……………………………………………………神よ。お前はすこし間違っちまったんだよな? 断じて俺の敵になったわけじゃないよな?
「…………そうだな~。あたしもまだキツイ命令をする場面じゃないと思うから……次全員番号提示でいいや」
ほらな。神は間違えたことはすぐに修正してくれるんだ。さすがが神だ。
で、今度は蘭が割りばしを集める。そしてまた女子が先に引いていく。
さて、今回王様は…………。
「あ~。またあたしか」
蘭、またしても間違ってしまった神。いいんだよ、仏の顔も三度までっていうことわざがあるんだ。まだ二回目じゃないか。
全員番号を見せる。俺は二番、絢香が五番、優人が四番、萱沼が二番、井口が一番。
「……じゃあ。二番、一人称の変更でいいや。変更すれば何でもいいよ~。『オラ』でも『わっち』でも」
やっぱりな。軽い罰ゲームだ。これくらいはやろう。
「それは俺だけど、期間は? 一時間? 二時間?」
「え? 今日一日だよ」
……………………………………………別に問題ないよな。
「じゃあ今からあたしにしてみるよ」
いい機会かもな。一人称『俺』じゃなくなればもう女子がべたべたすることもないはずだ。
それに小学三年生まではあたしだったんだ。すっかり忘れてたけど。
そしてもう一回割りばしを引く。これはすぐに飽きそうだな。
「で、また俺なのかよ……」
優人、またしてもだるそうな表情。
「一番に権限渡す」
もうそれしか言わないんじゃないだろうか。まぁいいか。
「俺一番だから命令するよ。…………二番は着替える。適当にこの家にあるもの」
俺はそう命令した。番号提示の時に蘭にやってやりたかったんだけど……。可能性はゼロじゃない! さぁ! 神よ! 今こそ正しい選択を!
「はーい。あたしですよ~」
キタ! よくやったぞ神! 蘭がキタ。
「いっそのこと着替えるのもの指定してくれればいいんだけど……」
おっ? マジでか? じゃあこの家に確実にあるものにしよう。
「メイド服」
昔俺が着せられたやつだ。あんの忌々しい記憶がよみがえってくる。蘭の奴、写真撮ってアルバム作りやがったし。後で俺が燃やしたけど。
「お~。そう来たか。じゃあ次からあたしもやろ。…………っと」
蘭はクローゼットの中から白いエプロンに黒い生地のメイド服を取り出した。メイドカチューシャまである。これを使う機会は日常ではないはずだが……。
「じゃっ、二、三分待ってて」
そういうと蘭はメイド服を持って部屋を出ていく。
二、三分とか言ってたがそんなにかからずに戻ってきた。着替えるのとかって大変じゃなかったっけ、メイド服って。手馴れてるのか? なぜに?
「さて、時間はどうするのかな? あたしは今日一日でもいいけど」
「自分の好きな時に着替えてくれ」
効果なし。なんでだ? 恥ずかしいだろあんなかっこう! なんで普通でいられるんだよ!
そしてまた引き終わる。
「今度はあたしだよ~。ってことで……。ナオ何番?」
「言わないって」
「一番?」
「言わない」
「二番?」
「違う」
「三番?」
「言わないって言ってるだろ?」
「四番」
「…………違う」
うん。明らかに何か変だったよな、俺の答え。問題ない、あいつが気付くはずない。
「五番?」
「言わない」
「…………」
これにて会話終了。そして出した答えは……の前に。
「優人君は何番?」
「三番」
ずいぶんとあっさり認めるな~、じゃなくて。蘭は絶対に俺……あたしと優人で何かやらすきだ。
「……二番が三番に告白。さっ、ナオ。さっさと告っちゃいな~」
…………………………なんでわかったんだ? 疑うなら四番だろ。おい神。どうしたんだ? こんなに間違っちまうなんて。ははは~。
だが、蘭の前で悪あがきしても意味がないことはわかってる。なのでてっとり早くやる。
………………………………加害者と傍観者は丁寧にあたしらだけのスペースを作ってくれる。
「ナオ~、顔見てね~」
いらん注文しやがって。…………とりあえず深呼吸。すぅー……はぁー……。
そしてまっすぐ優人の顔を見る。それで告白するんだ。マジじゃなくて演技だ。
……なんか、恥ずかしいんだけど…………。特に顔を見ながらっていうのが……。
「…………」
「………なに?」
ッ……………………なんでこんな緊張すんだよ~……。やらせじゃねぇか。別に問題ない。
「…………優人…………あたしと……付き合ってくれる……?」
「…………喜んで」
バ、バカッ! そういう返しはいいんだよ! と心の中で叫んだ。
ッ~~~~~~~! 顔逸らしちゃったし、やり直し食らうかも。と思いながら蘭の方を見る。
「……ッ。さすがナオ…………。破壊力がすごい………………」
どこかの戦場で腹でも撃たれてきたらしく、腹を押さえながら壁にもたれかかっていた。
何かわからないけど、再チャレンジしなくてもいいみたいだ。助かっ……いや、告った時点で助かってないよ。…………はぁ…………。