「黒電話は三回鳴る」
ナレーション
ちゃぶ台の上の黒電話は、今日も仕事熱心だった。
ジリリリリ……
ディコ・ピンゾロ:
「……はい」
ギルド職員:
「緊急です!
街の西で上位モンスターの群れが――!」
ディコ・ピンゾロ:
「……明日やる」
ガチャ。
ナレーション
一回目は、いつも通りだった。
ジリリリリ……
ディコ・ピンゾロ:
「……はい」
ギルド職員:
「追加情報です!
数が想定以上で――!」
ディコ・ピンゾロ:
「明日」
ガチャ。
ナレーション
二回目も、特に問題はなかった。
ジリリリリ……
ディコ・ピンゾロ:
「……はい」
ギルド職員:
「……すみません。
確認なんですが、“明日”とは具体的に――」
ディコ・ピンゾロ:
「……今日は違う」
ガチャ。
ナレーション
三回目で、黒電話は静かになった。
夜。
ナレーション
家の前が、やけに騒がしい。
上位モンスターたちが、
綺麗に三列で並んでいた。
上位モンスター:
「明日まで待てないので来ました」
ディコ・ピンゾロ:
「……聞いてた」
彼はスーツのポケットから、
干し芋を取り出す。
ディコ・ピンゾロ:
「一列ずつ」
ナレーション
指が動いた。
カツン。
カツン。
カツン。
音は三回。
ナレーション
三列分、問題は解決した。
翌朝。
ジリリリリ……
ディコ・ピンゾロ:
「……はい」
ギルド職員:
「街の西、異常なしです……」
ディコ・ピンゾロ:
「そう」
ガチャ。
ナレーション
ディコ・ピンゾロは、干し芋を食べた。
今日も、何もしていない。




