こんな世界です
学内の隅の方、ひと気の少ない場所で2人の男子が向かい合っていた。
「おい」と1人が口を開く。
「お前…最近、素っ気ないよな。」
そう言うと、もう1人は「はぁ⁉︎」と食ってかかるように言葉を返す。
「お前だって…最近なんかよく1人でいたがるじゃん。」
そう言われた方は「あ、」と少し慌てた風に、両手を前に出して左右にヒラヒラさせる。
「あー待って待って!別に責めてるわけじゃなくてさ…。ていうか、そういう反応するってことはまさか…やっぱお前も?」
そう言うと、少し探りと期待の合わさったような眼差しで相手を見つめた。
「え…。お前もそうなの…?」
相手もそう言うと、2人は軽く周囲に視線を走らせ、少しの間を置いて「せーの!」と声を合わせてお互い自身の手を差し出した。すると、片方の男の手からは炎が揺らめき、もう片方の男の手からは氷が煌めいていた。
「なんだよー。お互い目覚めちゃってんのかよー。」「しかも同じタイミングっていうね。」2人はそう言って笑い合う。
偶然にもその様子は、食堂の端のある地点からなら見聞きできる位置であった。そしてちょうどそこに座っていたジョナスは、たまたまそのやりとりをぼんやりと眺めており、能力の目覚めた2人に羨望の眼差しを向けていた。
超能力にはいろいろな種類があり、どんな能力が備わるかの規則性はまだあまり分かっていないらしいが、親子間・隔世での遺伝は多少あるようだ。基本的に産まれてからだいたい20歳前後くらいまでに目覚めるらしいことも知られている。もしそれまでに能力が発現しなかった場合、その人物はほぼ超能力を持たないという確率が高い。現在の能力者人口は少ないので、能力者についてまだ研究段階ってやつらしいが…。
あの2人の男子は当たりだったんだな、とジョナスは考えた。彼にとって超能力を持つ者は眩しく、そして羨ましい存在である。
そんなジョナスの元に1人、女子がやって来た。
彼女はちょくちょくジョナスの元にやってくる。今回も愚痴を言いにやってきたようだ。
「ジョナスぅ聞いてよぉ。さっき彼氏と言い合いになっちゃってさぁー!」
そう言いながらジョナスの向かいにトスン、と座った。
「ねぇ私が悪いのかなぁ?ちょっと気をつけてくれれば直せることだからさぁ、やめてって言うとね、すぐ怒ってさー…。だからね…」
彼女はそう話し始め、一頻り愚痴をこぼすと、
「あースッキリ!ありがとうね。やっぱジョナスと話すとさ、なんか落ち着くよねぇ…お陰で冷静になれたよー。ちょっと彼氏と話し合ってみる。」
そう言って席を立ち、携帯端末をチラチラと操作しながら笑顔で手を振って去って行った。彼女が見えなくなるとジョナスはふぅ、とため息をついた。ジョナスはよく、話すと落ち着くキャラだと言われる。彼は、そんな人間性よりも、あの学内の隅にいた2人のように超能力が発現してくれればいいのにと考えた。
そんなジョナスの元にまた、人が訪ねてくる。




