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20th Stage

 配信専用スタジオでは、新装開店となった『シンゴーキのスリーショット』の収録を終えた俺たちがスタッフと囲みながら反省会を行っていた。


「新番組を予告した動画を配信したCeroTube のコメント欄にはいろんな意見があったけど」

「3人の息が合ったところを見たいとか、地上波では言えないことを見たいとか」

「ただ、大まかなクレームをつける人はいなかったようだな」


 この番組の配信が開始されるのは来月からなので、今回収録分はまだ誰も視聴しているわけではない。ただ、新番組の予告は配信していることもあり、視聴者からのコメントが数多く書き込まれているのは俺たちもすでに知っていた。


 反省会を済ませると、俺たち3人はスタッフと連絡事項を交わしてからスタジオを後にすることにした。


「どうもありがとうございました!」

「来月収録予定の企画会議は、前回と同じくそちらのマンションで行うので」


 スタッフとの信頼醸成は、番組を継続するためにも、俺たちと共同作業を行うためにも重要な鍵だ。


 ここで、放送作家の坂塚が自らのカバンから例の雑誌を俺に手渡した。その雑誌は、この番組の打ち合わせの時に見たのと同じだ。


「あの記事に興味があるだろ。ほれ、もう1冊買ったぞ」

「そんなに気を遣わなくても……。すぐお金を出すから」

「お金を出さなくていいって! コントのネタにも役に立つから」


 坂塚は、シンゴーキチャンネルにも参加していることもあり、俺たちにとっても仕事上のパートナーとして信頼のおける人物と言っていいだろう。自分が買った雑誌の記事をこちらにしつこく勧めてくるのがたまにきずだが……。


 3人揃ってマンションに戻ると、俺は風野との共同生活企画の時にこの目で見たことをメンバーに伝えようと口を開いた。


「実は、この前の共同生活企画で気になったことがあったので……」

「風野の家で何があったの?」

「いろいろとあってなあ……」


 ノートパソコンを開くと、配信でカットした映像ファイルの数々がディスプレイ上に表示されている。その中の1つのファイルを開くと、あまりにも衝撃的な映像が俺たちの目に飛び込んできた。


「えっ?」

「ここは、風野の家の中ですよね?」


 ディスプレイには、俺がドローンカメラで撮影した『下着部屋』の中がはっきりと映っている。その部屋にある下着は、少なく見積もっても数十枚は下らないだろう。


「部屋にこんなものがあるなんて……」


 俺がこの部屋を見たのはもちろん初めてだったし、青田と黄島に至っては風野の家に出入りしたことはこれまで一度もない。


 もちろん、風野がコンビやピンで女子高生のネタを行うために使用するということも考えられるだろう。けれども、『下着部屋』にあるパンツの数々は明らかに尋常な量とは思えない。


 こういうのを男が堂々と購入するのは、本人からしても後ろめたいものがあるはずだ。そう考えると、ネットで購入して中身が気づかれないような梱包を受け取るのか、それとも……。


「まさか、あれらが盗品だとしたら……」


 いよいよ風雲急を告げる気配が漂うこの一件だが、俺の周辺でそれを知る人は1人を除いて誰もいない。

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