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16th Stage

 俺たち3人は、住処であるこのマンションの居間に集まっていた。居間のテーブルでは、自分たちの公式チャンネルでの共同生活企画の反省会を兼ねて話し合っている。


「なあ、風野のほうはどうだったの?」

「風野はねえ……」


 青田と黄島から今回の件で聞かれるたびに、俺は何度もため息をついてしまう。


「野村のほうは特に問題はなかったのか?」

「別にそんなことはないけど。それよりも、野村がつき合っている女性が同居していてなあ」


 他のメンバーは、俺の前で野村との共同生活を自慢げに話し続けている。彼らが4人揃って食事を味わう様子に少し複雑な心境を抱いている。


「延々と反省会で愚痴をまき散らしても……」

「ああ、分かった。反省会はこれで終わり!」


 反省会を唐突に終わらせると、俺はテーブルの上にノートパソコンを出した。これから、俺が撮影した分と他のメンバーが撮影した分の中から配信に適した画像を編集する作業をするところだ。


「とりあえず、俺のほうはこのくらいかな」

「赤井が晩ご飯を作るシーンが秀逸だなあ」

「青田と黄島はどのシーンがいいのか言ってごらん」


 共同生活の間、俺たちが小型カメラで撮影した時間はそれぞれ4時間弱に上る。今回の企画は、1時間程度に編集して配信する予定だ。


 最終的な編集は映像スタッフの峰渕が行うが、その前にこちらのほうで編集しておくことでスタッフの負担を軽減させることができる。


「笑ジャックも登場したオープニングの後は、風野の自宅と野村の自宅でそれぞれ行われた共同生活の様子を交互に映し出すということで……」


 動画編集を行うと、共同生活での様子がこれほどまでに対照的であることに気づいた。とりわけ、風野のルーズなところは仕事のみならずプライベートでも見受けられることが映像からでも分かる。


「お互いの共同生活に切り替えるときに、2秒程度のアイキャッチと効果音を挿入して……」


 俺が編集作業を行う間、青田と黄島は個人的なことを話しながらスマホの画面を開いている。その画面に表示されたのは、あるニュースに関する1つの記事だ。


「赤井、ちょっとこっちへ」

「どうしたんだ」

「この記事だけど、芸人Xってだれのことだろうか」


 青田が言うその記事を見ようと、俺は自分のポケットからスマホを取り出した。すると、昨日のニュースに関連した記事がスマホに現れた。


「摘発された『にゃん2フェチ』への出品で芸人Xを事情聴取か」


 その記事の見出しに、俺はギョッとせずにはいられなかった。


 芸人Xが誰なのかは、俺も全く分からない。だが、『下着部屋』の存在を知ってしまった以上、芸人Xが風野ではないと言い切ることへの疑問符が沸いてきそうだ。

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