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10th Stage

 月曜日の午後、俺はフリーアナウンサーの江村佐織と向かう合うようにパーソナリティ席に座っている。


 この日は、青田と黄島の2人がゲストとしてやってきたということもあって、ここだけの内輪ネタやコントライブでのエピソードを江村との掛け合いを交えながら話していた。


「それでは、今度の日曜日に開催のお笑いライブを楽しみにしています」

「俺たち3人の単独ライブ『シンゴーキの一方通行』に関する詳しい情報は、ホームページと各種SNSにてご確認ください。 CeroTubeのシンゴーキチャンネルでも、単独ライブに関するコンテンツを配信していますのでチェックしてください!」




「ありがとうございました!」

「いえいえ、こちらこそ」


 ラジオ局で初めての昼ワイドは、俺にとっていろいろな意味で刺激を受けることになった。若者のリスナーが多い深夜番組と違って、リスナーの年齢層が比較的高い『オラジ通り』の出演はシンゴーキのファンを広げる絶好の機会と言えよう。


 もちろん、今回はサブパーソナリティの代理で1回限りの出演なので、スタッフから再び声がかかるかはリスナーからの反応次第だ。


 マネージャーとともに自宅マンションへ帰ると、一足先に戻った青田や黄島と明日以降のスケジュールをスマホ画面で確認することにした。


「明日の午前中は、ひな壇ゲストとして出演するトークバラエティ番組の収録。午後は浅草で『昼バラライブ』の街歩きロケ……」


 レギュラー番組のほか、ゲスト出演やお笑いライブへの出演、さらにはイベント等の地方での営業を抱えているだけに、スケジュールの確認は常に目を通さなければならない。


「笑ジャックとの企画のオープニングは?」

「部屋の中ならいいけど、場所がはっきり分かっているとまずいなあ」

「とりあえず、番組収録スタジオで俺たちと笑ジャックの2人が集まるということで」

「ここなら、『青田と風野のツーショット』の収録場所なので問題はないなあ。シンゴーキチャンネルにもこの番組のスタッフが参加するし」


 CeroTubeチャンネルの新企画は、台本も筋書きもない予測不可能なハプニングが満載で面白くなりそうだ。




 収録を迎えたその日、俺たちはマンションから外へ出ると配信に必要なカメラやドローンなどの機材を女性マネージャーのワゴン車の後ろに乗せている。


「配信スタジオのあるビルでは、放送作家の坂塚と映像スタッフの峰渕の2人と顔を合わせるから……」


 俺たちはマネージャーからの指示事項を確認すると、すぐに車内に乗り込んで深呼吸しながらリラックスしている。やがて、マネージャーの運転する車は目的地へ向かって走り出した。


 新企画がうまくいくか否かは、相手芸人の相性にかかっていると言えよう。


 確かに、風野の芸風は俺の芸風に似ている部分が少なくない。けれども、これまでの共演で性格や素振りなどで俺と異なることを認識している。


 いい意味での化学反応となるのか、それとも劇薬になってしまうのか、それは定かではない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 推理物ジャンルやあらすじから不穏な予感が漂っていますが、冒頭から読んでいてお笑い芸人を題材にした小説として十分に面白いと思いました。 シンゴーキの仕事内容にCeroTubeへの挑戦が絡んで…
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