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7話 どうやら魔法使いになるしかないらしい


「魔法使いになるって…俺が?何故ですか?」


 それはあまりにも唐突な事だったので、蓮は動揺して加藍に聞き返した。


『私の魔法では、未来を視るだけでなく、視た未来を変える方法もわかります。3年後に殺される未来を回避するには、どうやら貴方が魔法使いになる必要があるようです』

「俺が魔法使いになると、どう未来が変わるのでしょうか?」

『詳しい事まではまだわかりません。今、私の魔法でわかるのは、来条さんが魔法使いになる事で未来が変わる、という事だけです』

「俺がこの姿になったのも、3年後に殺される事と何か関係があるのでしょうか」


 蓮が女の姿になった同じ日に、影から命を狙われた。この2つの出来事には関連性がない…とは考えにくい。3年後に殺される未来も含め、この全ての出来事は繋がっているのではないか―――蓮はそう考えていた。加藍も同じ考えのようで、頷くように答える。


『関係があると見て間違いないでしょう。元の姿に戻る方法も、魔法使いになれば見つかるはずです…ごめんなさい。今はここまでが、私の魔法の限界です』


 未来視の魔法は魔法使い達に重宝されているが、それでも魔法で視える未来には限界がある。加藍は申し訳なさそうな声で蓮に詫びる。


『来条さん、魔法使いになる覚悟はありますか?』

「…それしか道がないのなら、俺、魔法使いになります」


 蓮は覚悟を決めてそう答えた。色々不安はあるけれど、それでも前に進むしかない。殺されるなんて真っ平御免だ。


「ですが、そもそも俺なんかが魔法使いになれるんですか?」

『魔法使いは誰にでもなれますよ。ただ、なるには特別な修行が必要ですが』


 修行、という言葉で蓮は少し身構える。魔法使いになるというからには、相当厳しい修行なのだろう。そもそも、魔法使いになったら自分も魔法を使えるようになるのだろうか。全く想像がつかない。

 蓮がそんな事を考えていると、錐野が彼の肩を軽くぽんぽんと叩きながら、「大丈夫大丈夫!何とかなるさ!オレも協力するから!」と笑って言った。


 本当に大丈夫かなあ…と思いつつ、蓮は加藍から渡された綺麗に畳まれている2枚の衣服を広げる。黒を基調としたデザインで、1枚はケープコートのようになっている。そしてもう1枚は、丈が膝より少し上の、黒のレースが付いたスカートだった。


 スカートだった。


「あの、これスカート…」


 蓮の力の抜けた声で、呟くように言った。


『ごめんなさい、ズボンは今在庫がないって言われてしまいまして』

「在庫…」

『…無理して着なくていいですからね?その場合、少々お時間をいただく事になってしまいますが…』


加藍は申し訳なさそうに言った。蓮は何も言えなかった。




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