毀誉
薄汚くも儚いこの世界で貴方は死ぬか、それとも生きるか──、
趣味は何か。
そう聞かれて自分が答えるのは石英集めだ。
用も無いのに校庭に出ては、人の少ない運動場の隅で石英を探し集めていた。
チャイムが鳴ると同時に腰を上げ、持っていた石英を全て落として、また教室へと向かうのであった。
石英なんて少しの価値も無い。
それなのに集める意味とは何なのだろう。
教室へ戻る途中、真横を疾走して行く生徒の姿に呆れて睥睨しつつも、自分は如何してこんなにも憐憫なのだろうと落胆した。
まだ幼い頃、早く大人になりたいとばかり思っていて、いつかの七夕の短冊にそう書いた程だった。
然し、中学生になった今はそんな事が笑止の沙汰に思えてくる。
それは、身近な大人が社会という大きな檻の中に閉じ込められ、疲弊しても尚、働かされている現状を目の当たりにして幻滅したからである。
きっと、生まれながらにして人間は「自由」を失っているのだろう。
この世界は自己防衛と私欲の塊で形成されている人間に溢れていて、迎合しなければ棄てられてしまう。
自分の意思を持つことも許されず、理不尽だらけ。
それなのに、夢や希望は沢山転がっているから、人生を棄てようにも棄てられない。
どんなに怯懦な性格の持ち主でも、成功者はいる。そんな人生の先輩の背中を見て、自分にも好機が訪れるのではないか、と密かに冀望するのであった。
唯これは、寂寥感を紛らす為の考えに過ぎないのだろう。




