小鬼成敗!
本日2つ目です。ご注意下さい。
村を丸く囲っている小鬼をこの村に、元々ある結界(ソフィアナにより強化された)を利用して討伐する事にした。
勇者達が、爆破した一角から、左右に分かれて反対側で落ち合う作戦だ。
ドーナツのように考えて、丸い場所なら、同じ場所から、反対側に進めば、お互いにいつか、正面に出会う。
左へは、勇者一行が、右へは、ハンスとベルンゲラが、行く事となった。
「王子様は、無理なさらず、無理なら、さっさと、逃げてくださって、大丈夫ですよ。あとは、我々がやりますから…。」
余裕の笑みを浮かべながら、勇者は、そうベルンゲラに、声をかけた。
許可も無く話しかけ、さらには、馬鹿にしたような言い回し…。不敬罪になっても仕方ないような態度だが、そんな事をいちいちかまうベルンゲラではない。
「心配ありがとう。お言葉に甘えて、無理ならすぐに、引くことにするよ。では、健闘を祈る。」
ベルンゲラは、キレイな笑顔でそう返し、勇者一行とわかれた。
勇者達は、村に、来た時同様に、バンバン爆破を起こし、小鬼らを吹き飛ばしていく…。
ハンスと、ベルンゲラは、かかってくる小鬼を剣で、一匹づつ切り捨てている。
振り返った勇者は、
「ふん、口ほどにもねーな。
あんなんじゃあ、いつまでもつやら…。
はぁー。ありゃーあてになんねーぞ。さっさと、すませるぞ。」
と、仲間に言いながら、前を向き、どんどん進んでいった…。
ハンス、ベルンゲラは、勇者達の様子を横目で、見ながら戦い、彼らが見えなくなると…。
ハンスは、鞘を叩いた。
ブハァ!!!!!
っと、煙の様に鞘飾りが、獅子に、変幻する。
「誰か助けて。敵は小鬼。」
ベルンゲラは、持っていた、鞄に向かいそう呟いた。
「……このセリフは、なんともプライドが傷つく…。変えてくれないかな…」とは、ベルンゲラの小さな独り言だ。
ベルンゲラの鞄からは、ウサギのぬいぐるみが飛び出した。
そして、その合言葉に、ハンスの鞄からも、熊のぬいぐるみが、飛び出した。
ハンスは慌てて、熊のぬいぐるみの足を掴むと、逆さに吊るしたまま、
「敵は、小鬼‼︎」
と、叫んだ。
はい。右側、戦力過多です!
ハンスと、ベルンゲラ、やる事なしです。
ここに、イワンがいるなら、
「人形や、鞘飾りなくても、魔法と剣だけで、2人なら充分余裕で行けましたよね…!?」な状況…。
ハンスもベルンゲラも、不敬罪にまでは、しないが、どうやら、勇者の一言に、思う所は、あったようだ…。
やる事ないので、2人ど小さな魔石をチマチマ拾います。
誰かさんが、喜ぶから…。
チマチマしすぎてイライラした、ベルンゲラ、風魔法を使い、魔石を拾いだした。
ハンスは、さらに、やる事なし!
ドーナツで言うなれば、半分を過ぎた辺りで、2人は、獅子と、ウサギと熊を元に戻して、普通に戦いだした。
そろそろ向こう側から進んでいる、勇者一行と、出会う頃だと、推測したからだ。
『手柄は全て、勇者たちに丸投げして、王妃の仕事の旅を進めて、終わらせさっさと帰らねばならない。』
『ソフィアナと、奴らを関わらせてはならない。』
ベルンゲラとハンスの考えは、ほぼ同じだった。
半分よりさらに、2/6ほど進んだが、まだ勇者一行は、来ない…。
さらに、プラス1/6ほど行ったところで、ヘロヘロ、ボロボロな2人を連れ、全身傷だらけ泥だらけの、勇者が、見えた。
そんなボロボロだが、流石と言うべきか、3人は、きっちり小鬼を狩っている。
あとは、勇者たちと、ハンス、ベルンゲラの間にいる小鬼を片付ければ、終わりだ…。
ざっとみて、3〜400匹程度だ。
ハンスと、ベルンゲラは、サクサク片付けていく…。
剣に魔法を纏わせている、ハンスは、一振りで、10〜15匹片付けている。
ベルンゲラは、風の魔法を使いながら、剣と共に辺りを切り裂いていた。
今まで、何もしてないから、体力も有り余っている。
余裕で戦う2人を見た、勇者一行は、目を見開き、驚いている。
それに気がついた、ハンスが…
「いや〜。向こう側は、余り小鬼がいませんでしたね。ここに来て急に増えて来ました。
小鬼達も、戦力のある方に偏っていたんですかね!?」
と、わざとらしく棒読みで、ベルンゲラに投げかけた。
「そうだな。我々には、助かったかぎりだな。
その証拠に、魔石もあまり落ちっいない…。」
その言葉に、足元から、ハンス、ベルンゲラが戦っていた方を見た勇者一行は、確かに、魔石が、ほとんど無いことを目の端で確認する。
勇者は、敵が、少なかった説に納得したのか、
「私の放つ、爆破に巻き込まれないでくださいね!」
といいながら、ボロボロになりながらも、小鬼を蹴散らしていった。
ハンスや、ベルンゲラの戦い方は、あまりみていないようだ。
勇者達が見ていないのをいい事に、
ベルンゲラは、風魔法で、結界をはりながら、水魔法で、左手に氷の刃をつくり、右手は、自身の剣を持ち戦う。
ハンスは、剣に、軽く炎を纏わせて、戦う。
「その、剣に魔法を纏わせる機能いいな…。アナ、僕にもやってくれないかな…」
「アレクになら、やってくれるかもしれませんね…」
ハンスが、ニヤっと嫌味に笑いながら、そう答えた。
「それでは、アナを守る時には、使えないじゃないか!?」
余裕で、雑談をしながら戦う2人とは、対照的に、勇者一行は、息も切れ切れだった…。
「ハンス、あれなら、さほど警戒の必要性はないか?」
「そうですね。我々だけでも、あの3人なら、倒せますね。」
「まあ、だが、危険は、増やさない方がいい。アナの事は、内密に…」
「御意」
2人は、勇者たちの戦い方をみながら、そんな話し合いまでできる余裕があった。
勇者が、最後の一匹の小鬼を魔石に変えた。
これで、小鬼の討伐は、終わった。
治療と、休憩を兼ねて、村の宿屋に戻った。
ソフィアナではない、王妃の侍女2人が、勇者達3人の世話をした。
ほとんど何もしていない、ハンスとベルンゲラは、ソフィアナが、侍女として世話をする。
世話をされる、ベルンゲラが幸せそうなのは、言うまでもない。
それをみた、ハンスが、ベルンゲラの世話を買って出たため、ベルンゲラの機嫌は急降下だ。
ハンスは、幼い頃からのベルンゲラの近衛だ。
身の回りの世話ぐらいできるのだ。
それも、ソフィアナより上手い具合に…。
何となく、2人を邪魔できた、ハンスの機嫌は、ベルンゲラとは逆に、急上昇だった。
勇者達3人の治療と、着替えが済み、彼らは、ベルンゲラの元を訪れた。
約束の報酬を受け取り、村を守った英雄だと、褒め称えられた、勇者は、ご機嫌だ。
今日は、村の飲み屋で好きなだけ飲み食いし、宿屋に泊まるところまで、ベルンゲラの指示で、王妃の近衛が手配ずみだ。
中年ねカクヤが、お礼を述べながら、一つベルンゲラに、質問した。
「おそれながら…。王子のお体に、鳥の様なアザなどは、ございますでしょうか⁈」
「ない。が、あったなら、なんだ!?」
「あっ、いえ、たいした事では、ありません…。
水と風の属性を使い、体に鳥のアザを持つ、もう1人の勇者も探しておりまして…。もしやと思ったのですが、とんだ勘違いを…。お許しください。」
「な…。もう1人の勇者だと…」
ベルンゲラは、絶句した…。
ハンスは、ベルンゲラを見つめる。
先程、ベルンゲラは、体にアザはない。
と言ったが、幼い頃から世話をしているハンスは、知っていた。
ベルンゲラの背中、右の肩甲骨の下あたりに、鳥が羽を広げているように見える、5センチ程度のアザがあるのだ…。
ベルンゲラ本人も、アザがある事は知って居るが、背中であるため形までは、分からないのだろう…。
ベルンゲラが、ソフィアナを害するとは、ないと思いたいが……。
ハンスの眉間に、シワがよった…。




