やりたいこと。
ブックマークありがとうございます。
連絡をして、ベルンゲラが、ソフィアナの部屋を訪れたのは、2日後だった。
待ちにまった、ベルゲランの訪問に、ソフィアナが、ソワソワしながら、部屋に招き入れた。
いつもなら、『別に来なくてもいいのに…』の心がにじみ出る態度であるソフィアナが、部屋の中では、笑顔を輝かせて、ベルンゲラを待っていた。
そして、お願いポーズで、ベルンゲラへ迫っていく。
「ゲラ様、2つお願いが、あります。
私に、この部屋の中だけで、いいので、私1人の時のみ、錬金魔法だけの使用を許可して下さい。
あと、もう一つ。
あの騎士達が、訓練で使っている洞窟に、1回でいいです。イワンさんと、魔石を取りに行きたいんです。」
『アナの言葉の語尾は、「許可を下さい。」と言い切り、許可がもらえないとは、思っていないんじゃないか⁈普通、問うのならば、「許可を頂けますか?」じゃないか⁈』
そんな思いが、ベルンゲラの心の中を過ぎていったが、いつもより可愛い態度でいる事で、間違いなく…。ベルンゲラは、動揺している…。
「……。う〜ん…。錬金については、作った物は、見せる。説明する。これが、守れるなら、許可しよう。ただし、あまりにも、おかしな物は作らないこと。
これが、守れるならだ。
ただし、洞窟へは…、イワンと行く事の、許可は………ださない。」
「え⁈…そんな…」
ベルンゲラの返事に、ソフィアナは、ガッカリする。
『錬金術を許可されただけ、よしとしなきゃかな…』
そんな事を思って肩を落としていた、ソフィアナの耳に、ベルンゲラの声が、ゆっくり聞こえてくる。
「た だ ぁー し、
僕と、行くのなら、許可しよう。」
「え⁈」
「なぜいつも、頼るのは、イワンやハンスなのだ…。僕だって…」と、ベルンゲラは、小声で呟いているが、ソフィアナは、聞いていない。
「ゲラ様ありがとう。」と、ベルンゲラに近づき、その勢いで、ベルンゲラの手を握り、幸せいっぱいとでも言うような笑顔で、ブンブン手を振っている。
そんな顔を返されたベルンゲラは、たじろいでいる。
「いつ?いつ?いつ?」
手をブンブン振りながら、催促してくるソフィアナは、今まで、ベルンゲラを遠ざけていた態度とは、違い、ハンスや、アレクに向けるものに似ていた。
ついつい、頬が緩むのを必死で隠しながら、
「頑張って時間を作るから、もう少しまって…」
振っていた手が、緩やかにとまり、
「そうですか…。わかりました。できるだけ、はやくお願いしますね。」
と、顔にガッカリっと、書いてある文字が読み取れるほど肩を落とし、後ろを向き、すんなり離れていく。
ベルンゲラは、わけのわからない罪悪感と、名残惜しさに、「今すぐ行こう」と、言いそうになる己を叱咤する。
それからベルンゲラは、数日間、公務を大急ぎで、片付けるべく仕事に励んだ。
その間、ソフィアナは、部屋での錬金の許可を得ているため、錬金することにした。
「しばらく、私、お部屋にひきこもります。」
アマニに、そう宣言して、部屋に一人となった。
必要なものは…、クローゼットに、いけはだいたいある。魔法陣の本は、こないだ、こっそりマリー様から借りていた。
最近は、魔力封じの場所でも使えるように、魔石を使用して作るようにしていたが、ソフィアナは、基本何んでも、思うままなのだ。
必要なのは、想像力と明確なイメージくらいだろ。
そんなソフィアナが、今作りたいのは…。
なにより、したい事は…。
腕輪を外し、イアリングに触れた。
「みんな…。元気⁈」
ソフィアナが、やりたい事は、
懐かしいみんなに、連絡を取ることだった。
「かわった事は、無い?
困ったことは?
私、自分の部屋にいる時は、魔力封じを取って、錬金術を使えるように、許可をもらったから…
、今後は、連絡つきやすくなるわ。
じゃあ、今後、やってほしいこと、やりたい事を、今から言っとおくわね。
まずは、お兄様に、私への差し入れに紛れ込ませて、魔石をいくつか渡しておいて。あと、いつもの魔法陣の本も、ドレスか小物に紛れ込ませて預けて、お兄様に届けてもらって…。
あと、セブァセスのお店の方も…。
あとは……。」
ソフィアナは、公爵家の皆んなから、家の様子、店の様子を聞き、たわいな話しや、今までの事、ハスとラスには、救出に来てくれたお礼を話し、今後の指示を出す。みんなが、元気な事に、安堵し、話をするうちに、やっぱり、会いたくなる。
会いたくなり、考えて、はたと、気がついた。
そう。ソフィアナは、いい事に気が付いてしまった…。
『自分が、押し込まれ、ひきこもってる部屋は、毎回同じ。
結婚すれば、変わるにしても、結婚は、まだまだ先だろう。
それなら、この部屋は、今後も自分の生活の拠点なわけだ。
マハルニアのように、命の危険はない。
ただ、王子様と結婚と言う、危険性だけだ。
今や、この婚約回避は、“逃げない”と約束してしまった為、王子に嫌われる方向しか、回避手段は、残っていないが…。
それに、なぜか以前いたころ程の、孤独は感じない。
アマニやイワンが、居るからか⁈お兄様に会えたからか⁈
マハルニアから、帰った後から、なぜか、ベルンゲラの態度が、柔和したからか…⁈
実は、私を心配していた事や、私の事を考えての、魔力封じだったことがわかったからか…⁈
自分の心は、はっきりしないが、なにより、部屋で、錬金術の許可もくれた。
あとは、周りにみんながいないこと、出掛ける自由が無いこと、自由に魔法が使えないことが、公爵家とは違うが、まあ、それは、自分の為には、仕方ない事だ。
お妃教育がある事、以外、今までの、公爵家での生活と、あまり変わらないのでは無いかと、思えてきた。
ハンスが、魔法陣の本を持ってきたら、この部屋の可動できる家具に、自分のあのクローゼットに続く、魔法陣を付与して、行き来、出来る様にしよう』と、どんどん、虫かごに裂け目を見つけて、そこをこじ開け脱出しようとする虫のように、ソフィアナは、自身の身動きのとりやすい様に、解釈し、行動していく…
そう。錬金術の許可を得た、だけなのに、もうソフィアナは、自分は、自由じゃないと思いつつ、自由な気分にまで、なっていた。
プラス思考と、ちょっと忘れん坊…
都合の良い解釈をするところは、誰に似たのか…。
令嬢には、似つかわしくない、巧真しい、思考回路のソフィアナ…。
やりたい事は、無意識に、やれる環境にして行く…。
そんなソフィアナを悪く思えないのは、彼女は、やりたいことの思考の根本が、興味と基本、他人の為だから…。
『さあ。まずは周りを幸せにしなきゃね。』




