アレクは考える
ブックマークありがとうございます。
今回短目です。
マハルニア国から転送した帰り道。
ソフィアナを同じ馬に乗せ、歩いていれば、ソフィアナから、
「ねー…アレク…。あなたは、なぜ、あのブレスレットを外せたの⁈」
と、質問された。
牢では、
ブレスレットを外した、僕とブレスレットを交互にみたソフィアナに、
「これは、王族の直系しか、外せないはず…。アレクは王族の血が流れてるの?」
と、聞かれて、とりあえず、答えずに、にっこり微笑み。
「詳しくは、帰ってからにしよう。みんな助けるだろ?」
と、投げかけておいたが…
覚えていたか…。
なんと答えるべきか…。
正体を明かして、嘘つきだと、アレクも、ベルンゲラも嫌われるべきか…
このままごまかし、アレクとしては好かれ、ベルンゲラとしては嫌われているままか…。
思い起こされるのは、牢でのあの言葉…
薄ら涙が浮かぶ…。あの顔で、
「ゲラ様。大嫌い。自分勝手に、私の自由を奪うの…。なのに、自分は助けに来ない。わかってるわ。王族だもの。こられない事くらい…。でも、普段あれだけ、好きだの失いたくないだのなんだの言うなら、助けに来たらいいのよ。強いくせに…。あの口だけ男…。」
大っ嫌い………。
口だけ男………。
何度もこの言葉を思い起こしては、毎回、心をえぐる大ダメージだ…。
ベルンゲラとして、共に、この先いるのに、このままの評価でいいのか……。
ソフィアナからの評価は、マイナスからだから、あとは、プラスになるだけ!!と、考えればいいのか…。
これは、大いに悩む点だ…。
馬上で、しばしの沈黙が続く…。
不安になったのか、ソフィアナは、フードを脱いで振り向いてきた。
小さな顔にある、大きな綺麗な目は、しっかりと、僕を見ている。下から覗き込むように見上げ、馬上である為、振り返った、距離がやたらに近かった。
その瞳に、思わず見惚れる…。
「アレク…⁈」
「はっ、あっ、えーと。なんだったか…⁈」
「もー。だから、何で、アレクが、あのブレスレット外せたの⁈」
「それは…。」
「それは…⁈」
「秘密だ。前を向け!」
と、ソフィアナの右手首に、ガチャと、何かをはめた。
「!!!!!」
「アレク‼︎なんで!?」
右手首に、また、あの魔力封じのブレスレットがはめられている事に、目が見開き、僕に叫ぶ。
これで、アレクは、嫌われる。
これで、落ち込むソフィアナをベルンゲラとして、僕が慰めたらいいんだ。
隣のハンスさんからの、無言の圧力が半端ないけど…
サムスンや、イワンからの生温かい目が、気になるけど…
ハスやラスの心配そうな目が、居た堪れないけど、大丈夫。
ソフィアナに、真実を言い、嫌われる覚悟は、僕には、まだ無い…
もう一度あの、大っ嫌いを聞くくらいなら、あやふやにした方が、なんとかなるだろう…。
そう思い、ソフィアナを背後から見れば、俯き落ち込んでる様にみえる。
泣いているのか…⁈
不意に、罪悪感と、焦りが、こみ上げる。
「……めて…」
「なんだ?」
声が小さくて聞き取れず、聞き返せば、
「止めて!って言ったの!アレクのバカ!知らない!」
そう言うと、ソフィアナは、まだ動いている馬から降りようとした。
慌てて、馬を止め、ソフィアナが、降りやすいように、支えてやるが…離れがたい…。
そんな僕の心は、知らずに、ソフィアナは、さっさとハンスさんの所へ行き、乗せてもらっている。
これで、いいんだ。アレクは、嫌われ無ければ…。ベルンゲラの株を上げるには、アレクの株を下げる必要がかるんだ…。
落ち込みながら、そのまま馬を歩かせた。
王都に帰り、報告後処理は、優秀なハンスさんが、全て行ってくれた。
日常が戻り、久しぶりに、イワンからの報告(ソフィアナ日常情報)を受けていた。
なぜだ!
なぜなんだ!
なぜか、アレクの株が上がり、ベルンゲラの株が下がっている。
イワンからの報告では、
「『アレクは、ゲラ様に脅されていたのよ。私に会わないようにとか、何か条件を出されて…。
それでも、助けに来てくれたのよ。
ブレスレットは、何か秘密があり、アレクは、ゲラ様から聞いてた。だから、外せたけど、そのままでは、ゲラ様に、反感を買うのは私。
私が、逃げようと危険を犯す、危険性も考えたから、私に、ブレスレットを付けたのよ。
そうよ!わざと悪者になるように、私が、アレクを諦めやすいように…。きっと、きっと…そうよ…』
だ、そうですよ。
胸の前で、手を組んで、ウルウルしながら、力説してましたよ⁈
オレは、なんて、答えたらよかったんですかね…⁈頷くしかないじゃないですか?
あと、アレクへの伝言。あのぬいぐるみに付いて………。だってさ。」
そう報告する、イワンに、呆然としてしまう…。
なぜだ。なぜアレクは、そんなに、信用されているんだ‼︎
なぜ、なぜ、僕は、こうも彼女の中では、悪役なんだ…!
あああああああああああ…
思い通りに行かず、落ち込み、しばらく執務室の椅子から立ち上がれなかった…。




