ハンス達と合流
ハンス、イワン、サムスン、ニコライが合流した。
フードをかぶっている、ソフィアナは、ハンスを見つけると、そのまま、ハンスに飛びつくように抱きついた。
「お兄様。来て下さってありがとう。大好きです。」
「当たり前じゃないか…。私の可愛いソフぶぶぶ…」
ソフィアナの名前を呼ぼうとした、ハンスの口をアレクが、塞いだ。
「あちらにいるのは、この国の皇太子です。
今、お嬢様は、魔力を封じていません。正体は、明かさない方が、賢明かと…」
アレクは、ハンスの耳元で、そう囁いた。
ハンスは、それに頷き、周りを見渡した。
ハンス達は、アレクが残した道標と、暗号を頼りに、合流した。
しかし、現在の中庭の状態に、疑問が、浮かぶ…。
そんなハンス達に、アレクが、簡潔明瞭に、現在の状況を説明した。
「皇太子様、ご挨拶が遅れました。
私は、ハンスと申します。こちらから、ニコライ、サムスン、イワンです。
救出に来た、主人の命で、微力ながら、助太刀させて頂きます。
では、さっそくですが、その金色の玉はどこにあるんですか⁈」
「王族が、普段過ごす為の、王宮の庭にあります。」
「庭⁈外って事か⁈」
イワンが、ビックリして、呟く。
「意外な所の方が見つからないものですよ。」
その声を拾い、トーイは、振り向きながら、微笑んだ。
「そちらに向かう途中に、魔力が使えない場所は、ありますか?」
ソフィアナは、魔力が使えない場所を確認する。
「王宮内は、基本賊の進入防止と、魔封じがされています。」
「なるほど……玉璽は…⁈」
「玉璽は、玉座の間に有りますので、王宮内にあります。」
「金色の玉は、このまま結界を張り、取りにいきましょう。玉座迄は、実力行使で…。
その後は、メシルから魔法陣をもらい、貿易の契約をして、帰りましょう。」
「お嬢…ずいぶんあっさりいいますが、なかなかに、骨の折れる仕事ですよ…」
「え。大丈夫です。私の騎士様達は、強いんです。」
と、自信まんまんに、微笑まれ、その場で、否定出来る騎士は一人も、居なかった…。
王宮の、王族が住う場所の中庭には、すぐに着いた。
トーイは、庭にある噴水に近づく。
噴水の縁の模様の上にたち、トウエイから借りた、小刀で、少しだけ、指先を切る。
滲んだ血を、噴水の女神の像の唇に押し当てれば、女神が持っている、噴水へと水を注いでいた、瓶が、開いた。中には、片手で持てる程の宝石箱が、あった。
トーイが、箱を取り出せば、女神の像は、元に戻った。
「うわ。そんなとこにあっては、みつからない…」
イワンの呟きに、誰もが頷いた。
箱の中には、金色と言われるだけある、ピカピカした玉が入っていた。
魔法が使える庭を迂回し、この庭まで来たが、結界を張っているから、こんな大人数で移動しても、バレないが、玉座に行くには、魔封じがしてある、王宮中だ、結界を張りながら行くわけに行かない。
ソフィアナは、考える。
「玉座は、4階にあるんですよね?」
「ええ…」
ソフィアナは、トウエイに小声で話かけた。
「4階に、あまり、使われなさそうな部屋は、ありませんか?」
「あまり使われない部屋ですか…?え……っと…」
考えあぐねている、トウエイに代わり返信をしたのはトーイだった。
「それなら、謁見室がいいと思う。
4階は、だいたいが、玉座の間だ、あとは、おおまかにだが、執務室、執務資料室、その隣に、仮眠室、謁見の大広間に、個人的な、謁見室が、3個あり、給仕達が、使う給仕室が、3個ある。あとは、宝物庫だな。
その中で、使われていない可能性が、低いと、考えるなら、個人的な小さい謁見室だろう。中でも、一番端の謁見室は、元々が、ちょっとした、物置になっている。」
「では、そこに、窓から、行きましょう。」
「⁈」
「窓⁈4階だぞ⁈しかも、ベランダや、足場になるような物も無い場所だ!」
トウエイの目が見開く。
「ソ…お嬢様…一緒に、飛べる人数限られてますよね⁈」
ハスは小声で、心配そうに呟く。
「ハス心配しないで…。ラス、魔法陣の本と、ロープ頂戴。」
ソフィアナは、ラスから本とロープをもらう。
千里眼で、トーイが示した、謁見室の窓を覗く。
トーイが、言ったとうり、誰も居ない。
鍵は、魔力封じがあり、魔法では、開けれなかったが、フック状の物だ。薄い板か、木を隙間に入れたら外れるだろう。
ラスにさらに、木の板を出すように、頼み、手で持てる薄い板をかんざしのように、魔法で作る。
手袋をしている騎士達の左手の甲に、魔法陣を付与する。
「私が、室内に、ハスと入ります。ハスに、ロープを固定してもらうので、魔法陣のある手袋を裏向きにはめて、ロープを握って下さい。アレクは、トウエイさんを、ハンスお兄様は、トーイ様を、サムスン様は、ヤタカさんをニコライ様は、ラスを…イワンさんは、
最後に来て、ロープを回収して下さい。
では、行きますよ。」
『まて、なぜハスなんだ⁈僕が一緒にいく…方が……。…ダメか…。トウエイを片手で、支えるのは、ハスでは無理だな…。手袋をしているのも、騎士達だけだ…。』
ソフィアナから、離れたくない、アレクは、自分が、ソフィアナと、登りたかったが、渋々、考え直す…。
ソフィアナ達は、結界を張りながら、謁見室の窓の下に移動した。
ソフィアナは、宣言通り、ハスと一緒に浮き上がる。少し悔しげに、見つめているのはアレクだ。
窓の中へは、ハスが先程作った、木の棒で、鍵を開け入る。
ロープを中の柱に固定し、下に垂らすと、手を振り、合図をした。
アレクは、言われた通り、トウエイを右手に支えて、ロープをつかめば、手袋が勝手にロープを滑り上がる。ソフィアナが、イメージしたのは、エレベーターの様に上がれる物だ…。
その光景を見た、下で待機していた者は、目が点になって、あわわ…と、驚いていたが、今は、それどころでは無いと、お互いに気合を入れた。
ハンス、サムスン、イワンの順に、窓にあがり、ロープを回収する。
イワンの頭の中には、騎士訓練で、岩山をロープで上がる涙ぐましい状況が、思い出されていたが、イワンは、それを口に出さなかった。
目的の部屋に入ると、部屋の隅の柱に、先程のロープで、ヤタカを縛った。周りに物を置き、見つかりにくくする。
アレクやハンスから、ソフィアナも、ハス、ラスとこの部屋に残る様言われたが、それなら、時間がもったいないから宝物庫に行くと、言い出したソフィアナをハス、ラスだけに預けられないと、判断したハンス。
アレクは自分が残ると、言いかけたが、国の政権を奪いにいく場所に、重鎮もいる。アレクが、把握しておく事は、今後を考えれば、重要な事だと、ハンスに、「ダメだ。」の一言で、諭され、サムスンとイワンが、ソフィアナと共に残った。
「では、トーイ様、トウエイさん。政権を取り戻して下さい。
ラワラとドワ様の事よろしくお願いします。アレク、お兄様気を付けて…。」
「この礼は、きちんとする。諸君、ありがとう。」
「お礼なんて…いらないですと、言いたい所ですが、家畜の餌を今後、貿易で、輸出して下さい。あとは、今回のお礼に、シメルの魔法陣を貸して下さいね。宝物庫にあれば、それだけお借りして、行きますから、よろしくお願いします。あと、私達の事を黙ってて頂けたら、他は、お気になさらないで下さい。」
「お嬢様が、こう言っていますし、我々の事もお気になさらず…。必要なら、お嬢様から特別な物を頂きます。」
とは、ハンスだ…。
『え…私から…⁈お兄様何を作らせる気⁈言われたら、つくるけど…』
「我々は、お嬢様さえ戻れば、何もいりません。」
ハス、ラスは、そう言い頷いている。
ハンス、アレク、ニコライ、トーイ、トウエイは、政権を取り戻すべく、玉座の間に…。
ソフィアナ、ハス、ラス、サムスン、イワンは、宝物庫へと、二手に分かれてむかった。




