隣国マハルニア 3 ソフィアナ編
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布の魔法陣から、マハルニアに連れてこられたソフィアナは、地下牢に入れられた。
「貴族の令嬢を入れるところではないわね…」
地下牢を見渡して、そう呟けば、
「お前は、秘毒を飲んだんだ。5日したら、死ぬんだから、そんな心配しなくていいんだ。せいぜい、ここで、怯えていろ!」
シメルは、そう言い残し、去って行った。
「あの、シメルって人、バカだわ。令嬢1人、人質にして、国になんの請求が、できるってのよ。
王子や王女、お妃様なら、まだしも、単なる第一王子の婚約者よ。しかも魔力なし。人質価値なし。助けもなし。
でも、さらってくれたのは、ありがたかったかなぁ〜。これで堂々と死んだ事にできる。
婚約者からも解放。
あとは、ここから、逃げ出すだけ。」
今後の予定をたてながら、投げ込まれたまま、石畳に座り込んでいたのを思い出し、スカートを叩きながら、ソフィアナは、立ち上がった。
「シメルが、バカなのは、同感よ。
元々は、平民…。何がどうしたのか、あれが、王子とされた事も驚きだったけどね。ただ、シメルを見つけて、陰で操っているのは、この国の宰相。国を乗っ取って、いまじゃ、王様気取りで、玉座にふんぞりかえっているけどね。」
ソフィアナの独り言に、返事をしたのは、ソフィアナと、年の頃が同じか、少し上に見える、ワイルドな女性だった。
ソフィアナが、放り込まれた、牢の奥の壁に腕を組んでもたれかかっていた。
「王子⁈バカ丸出しで…。王子がつとまるの⁈まあ、他国なんで、心配はしないけど〜。」
ワイルドな女性の説明に、ソフィアナは、ついつい本音を吐いてしまう。
「へー。あなたは、他国の人なの⁈どちらの⁈」
「ロゼスチャーよ。無理矢理連れてこられたの。でも、できるだけ早く出てくから、気にしないで。」
「ここ、牢よ。そんな、簡単には、出れないわ。それに、あなた、秘毒を飲まされたんでしょ⁈
なら、ここにいて、解毒剤をもらわなければ、死んでしまうわ。」
「あーー。それは大丈夫です。うん。」
「何が大丈夫なのよ。あれは、5日に一度、解毒剤を飲み続け無ければならない、毒なのよ。一回解毒剤を飲んだからと、治るわけではないの‼︎」
ワイルドな女性は、悔しそうに、下唇を噛みながら顔を伏せた。
「そうなんですか…。その様子から、察するに、あなたは、解毒剤を飲み続ける為にここにいると…?」
「そうよ。私は、天才錬金術師ドワの孫娘、ラワラ。祖父を働かせるために、私に毒を…。そして、人質にされ、祖父は、城で、仕方なく色々つくらされているわ…」
「ほう。天才錬金術師…ですか…。
すみません。大事な人の負担になり、毒に苦しんでいるのに、大丈夫だとか呑気に構えている態度、シャクに触りましたよね…。あ。嫌味じゃないです。心から、反省しつます。すみません。」
「……。」
「私は、ソフィアナと言います。一緒にドワさんを助けて、逃げだしませんか?」
やはりアレクの心配は、当たっていた…。
「あなた、えっと、ソフィアナさん?話を聞いてた?私には、解毒剤が必要なの…。」
「では、解毒剤を数日分確保して逃げて、解毒アイテムを天才と言われてる、ドワさんに作ってもらえば、解決です。」
「簡単に、言うけど、まず、解毒剤が、どこにあるか…。祖父の居場所も…。まず、どうやって、牢から出ると?」
「それは、今から考えます。まずは、1〜2日、牢の様子をみます。それから、最終手段を使うかを悩みます…。」
「解毒剤は、いつもこの時間に?」
ローブを着た怪し者が、解毒剤を牢に配っていた。2、3個離れた牢にも誰か居るようだ。
ソフィアナ達の居る牢は、奥の方で、隣も向かいも空っぽだった。
ローブの者が配るのを見ながら、そう聞けば、ラワラが答えた。
「ええ、だいたい決まっているわ。配りにくるのもあのローブの人。ローブがあるから、同じ人かわわからないけど…体格が、変わらないから、たぶん同じだと思う。」
ソフィアナ達の牢にきた、ローブの者に、ソフィアナは、ちゃっかり、手を出してみた。
「ソフィアナ嬢。お前の分はない。」
「ちぇっ、だまされないかぁ〜」
ソフィアナは、残念がるように呟いた。
ローブの者は、ラワラに渡すと、さっさと踵を返し出ていた。
「あなた…。人質なのに、解毒剤もらえないの?」
ラワラが気遣わしげに聞いてきた。
「あ。気にしず飲んでね。もらおうとしたのは、1つ確かめたかったから。だし、もしもらえたら、予備でラワラにあげれると…思っただけだから。
でも、あいつ、私の名前しってた…。余分に持ってもいなかった。」
『私の顔を知っていた?ラワラがわかるから、新参者には、ソフィアナで、渡さないように、指示されていた…どちらかしら…。あの、パーティーにいた?いえ、あのパーティーで、シメルは、私の名前を呼んでいない…。宰相の娘も、知ってはいたけど、名前では呼んでないわ…。ロゼスチャーに詳しい者…もしくは、裏切り者は、あいつかしら…』
そんなことを考えながら、ローブの者が去った先をみていた。
夜になり、完全に人が居なくなるのを待ち、周りが寝静まるのを確認してから、牢の南京鍵に手をかけた。
「解錠」
ソフィアナが、そう呟くと、鍵が、カシャンと音をたてた。
『まさか、お父様に、叱られてお仕置きで、閉じ込められたり、捕まったりした時の対策で、アンクレットにおまけでつけておいた機能が役立つなんて…。』
「備あれば憂いなしって、よく言ったものよね〜。」
と、呟きながら、牢を開けて出て行く。
「まっまって!どっどうやって…⁈いっいえ…私…。行けない…。まだ死にたくない…。」
「あ。シー。静かに。まだ逃げませんから、とりあえず、牢で寝て待って下さい。ちょっと様子見て帰ってきます。
もし、誰か来たら、トイレの水道の水を出して、あなたは寝たふりを…。それでも騙せなければ、寝ていて、知らない間に逃げたと。」
そう囁きながら、唯一仕切りがある方に目をやった。
「わかったわ。聞かれたら、知らないと。私は、疲れて寝ていたから…。
あの…。ソフィアナさん…気をつけて…」
ラワラは、小声で、そうかえした。
ソフィアナは、軽くうなずき、牢の外を見に行った。




