隣国マハルニア 4
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マハルニアまでは、普通馬車で行くのに、4〜5日はかかる場所だ。
7人は、それぞれ馬に乗り、ソフィアナが、攫われた数時間後の、早朝には、出発した。
馬に小休憩は取らせながらだが、2日で、その距離を走った。ほぼ走りぱなしの状態だ。
マハルニ国まで後少しとなった、2日目の夜。
救出を疲労困憊で、行うわけにも行かない。
ハンスは、野営とした。
野営の準備は、ハスとラスだ。
準備されて行く物に、ハンス以外は、目が点になっていた。
「どうせ秘密裏の作戦だ。ソフィアナの為になら、フル装備でいい。力も物もフルに使え。秘密裏の為、口止めも容易だ。」とは、ハンスからの指示だ。
準備された物は、人数分のテントに、布団。食事用の机にイス、携帯用だが調理器具。食材もきちんと揃えられていた。(騎士団の備蓄庫から必要な物は、ハンスの指示により、ラスの鞄に詰め込まれていた。もちろん、はじめて、鞄やアクセサリーについて教えられたハンスは、ピクピクしていたのだが…。復活したハンスは、自分ポッケにも、ささっと色々詰めていた。)
「おお。これは快適だな。」大した反応もなく、ニコライは、さっそく椅子に座り料理に手を伸ばした。
「ハンスさん…いくらなんでも、この量の荷物をあの2人が持ってきたのは、おかしいよ…。だって、僕たちと一緒に、馬走らせてるのに…。馬も同じ、軍馬だし…。」
とは、いまだ呆然としているイワンだ。
アレクは、イワンにうなずきながら、だが、すでに、椅子に座り、料理を楽しんでいる。
「これは、考えたら、負けなやつだ…。
まっ…快適ってことで、いいんじゃないか…⁈
願わくば、今後の軍事にも、あの2人が居てくれたら…」
と、ひきつった笑顔で、イワンの肩に手をおくのは、サムスンだ。
そんなイワンと、サムスンも、そそくさと、料理を食べ、テントに入って行った。
見張りは、片付けもあり、ハスとラスが、最初となっていた。
次が、イワンとサムスン、最後は、朝方のアレク、ニコライ、ハンスだ。
朝は、皆んなが起きてから、ラスがテントなど、昨日使った物をしまい、ハンスが、簡単な朝食の準備をし、みんなで、手早く済ませてから、最終の片付けをハスとラスで、行った。
馬は昨日から、動物好きなニコライが、世話をかって出て、全員分の世話をしていてくれた。馬の餌や水も充分ある…。
ハス、ラスの片付けを待つ間、朝の軽い運動に、ハンスと、アレクは、軽く剣で撃ち合いをしていた。
「ハンス……。あ。いや、…さん。アナ………。あ。いや、ソフィアナ嬢は、得体のしれない毒を飲まされもう2日過ぎています。大丈夫でしょうか?」
口調を、目線だけで、訂正されたアレクは、辿々しく、ハンスに、不安を口にしていた。
「ああ。毒については、心配いらない。
囚われているなら、酷いことをされていないかが、心配だが……。
あーいや…。余計なことをして、助けに行っても、居ないとか、そっちの方が心配かも知れないが…。」
ハンスは、毒については、直ぐに否定した。だが、心配は、心配らしい。色々な意味で…。
「毒については、心配いらないとは!?」
アレクは、ハンスに、詰め寄るように剣を打ち込む。
ハンスは、それを軽く受け止めて、力で、拮抗し、跳ね返し、一度剣を下ろした。
跳ね返された事で、ハンスと一歩以上間が開いたアレクは、ハンスの行動を真似るように、剣を下ろした。
ハンスは、右足首が見えるように、ズボンの裾をたくし上げた。
そこには、オスターの誕生日の為に作られた、アンクレットがあった。
オスターと、グロスターは、このアンクレットの意味を知らないが、ハンスだけは、知っていた。
「これ、解毒のアイテムなんだ。ドレスに隠れて見えなかっただろうが、あいつは、いつもこれを付けてる。なんせ、家族での、お揃いだからな。」
ハンスはニヤリとしながら、“お揃い”を強調しつつアレクに説明した。
「なら‼︎」
「ああ。解毒剤なんかいらない。ソフィを見つけて帰れば、今回の任務は、終了だ。
あいつが、大人しくしてればな…。
まあ、魔力は封じられてるから、大丈夫だろう。[居場所を探り救出する]が、今回の任務だ。解毒剤の捜索が無いのは楽だな。」
そう語るハンスだが…、
『魔力を封じられているくらいで、ソフィアナが、大人しくしてるだろうか…』
と、アレクの心に、不安が過った。
早朝、出発前に、ハンスとアレクの鍛錬が、ニコライにバレて、ハンスが、任務終了後に、ニコライの気が済むまで、訓練に付き合うという約束をさせられていたが、アレクは、聞かなかった事にして、そっとその場から離れた。
マハルニア国に入ると、街や、人に活気はなく、戦場の後かの様に、荒んでいた。
至る所に、死体があり、異臭を放ち、生きている人も活気なく、痩せ細り、皆座り込んでいる。
「どうなってる⁈」アレクの問いに答えたのは、サムスンだ。
「この国、もともと貧富の差が酷く荒んでいたんだが、最近クーデターが起きた後、さらに無残な事になったと、聞いたが、これは、想像した以上だ…。」
「王都でも、似たような物だとすれば、ソフィアナ嬢どんな扱いを受けてるか…」
イワンが、片手で、口元を覆いながら、顔をしかめた。他のソフィアナを知るメンバーも、苦虫を潰した様な顔になる。
「ま。さっさと、助けて、帰ったらいいんだ。ハンス鍛錬が待ってるぞ。はははは」
1人温度が違うのは、ニコライだ。
「………。ここからは、2班にわかれる。
ハス、ラス王都に先にむかえ。情報を集めて、ソフィの居場所を探れ。アレクも、一緒に行き、その集めた情報を元に、風魔法での、情報収集と、場所の確定を頼む。
私、イワン、サムスン、ニコライは、喋れそうな者の話を聞き、すぐに、迹を追う。その後の集合場所は、その時々で、最適な暗号方法で知らせよ。」
ハンスはニコライを無視して、指示を飛ばした。
アレク達を見送り、4人は、路地を1本奥に入った。
「ハンスさん、やっぱり。先程からの、暑い視線に気づいてたんですね…。こういう、悪い奴は、どこにでも、いるんですね…」
呆れたように、イワンがハンスに話しかける。
「こんな人数なら、4人で余裕だからな。ソフィの捜索時間が惜しい。あの3人なら、先に行かせても大丈夫だ。」
「ちょうど退屈だったからな。いい運動だ。」
ニコライは、やっぱり脳筋…。
「皆さん危機感なさ過ぎでは?こいつらは、ソフィアナ様絡みで、ここに居るのか…。たまたま、この辺を縄張りにすているのか…。ざっと7〜80人いますが、4人で、どうにかとなると、なかなか骨がおれる仕事かと…。」
弱気な発言は、サムスンだけだが、顔はウキウキしている。(隠れ脳筋か?)
「お前ら、ロゼスチャー国のやつか?来たら、書状の返事だけもらったら、殺すように言われてんだ。悪く思うなよ〜。」
ハンスたち4人の、周りを囲んだ、柄の悪い人たちの中のリーダーだろう1人がそう口にした。
「書状の返事は無い。ロゼスチャーとは、無関係だ!」
「はん。ロゼスチャーの騎士服着てよく言うぜ!ヤローども、やっちまえ!!!!!」
リーダーだろう男が、叫ぶと同時に、柄の悪い男達が、4人に襲いかかった。
「ほう。騎士服の見分けがつくとは…。こいつらは、軍事関係か…。」
ハンスは、そう呟きながら、迫りくる敵に、向かって行った。




