隣国マハルニア 2
本日2つ目です。至る所で、邪魔が入り、なかなか進まなかった…。
マハルニアの使節団で、声を上げたのは、ソフィアナとの挨拶で、シメルと名乗った、使節団の責任者だった。
剣を突きつけられているのは、ソフィアナに嫌味を言った令嬢だ。
「マハルニアの要望とは、なんだ。この所業は、正式に国へ抗議させて頂く。剣を納めて、大人しく捕縛されよ。」
と、怒りを滲ませた口調は、このロゼスチャー国の宰相である、ネーデル・ドストックだ。
「宰相さんよ、なんで、大人しく、捕縛されなきゃいけないんだ?この状況なら、有利なのは、こちらだ。
娘を、助けて下さいじゃないのか⁈」
ははは。と馬鹿にしたように、笑い、シメルは、口角をニヤリとあげて、「なあ?」と、剣を突きつけている令嬢を覗き込んだ。
『娘⁈あの、人質になってる、私に、嫌味を言った子…宰相の娘だったんだ〜。へ〜。
って、感心しててどうすんだよ。って事は、この国に、めったに来ないはずの、マハルニアの人が、この国の引きこもりな私より、情報を知ってるってことね…。でも、私が知らなさ過ぎってことも…。』
「さて、話がそれたな、要求だ。要求。そちらが、最近捕えた、こちらの者と、以前から捕らえられている、顔に傷のある者の2人を引き渡して頂く。それから、こちらの、書状に貿易の同意をもらうことかな。」
と、シメルは、懐から、書状を出した。
「おい、そこの、黄色ドレス。そーお前だよ。これ、あそこの、宰相さんに渡してこい。」
シメルは、近くに居た人質令嬢に、書状を渡した。
渡された令嬢は、それを受け取ると、逃げるチャンスとばかりに駆け出した。
『ここに居る人質は、国の有力な貴族の人質になるってことかしら⁈でも、1人は、すぐに書状を渡すのに使ったから、そうでもないのかしら⁈
誰が誰かわからないから、予測もできないわね…』
ソフィアナは、まるで他人ごとの様に周りをみていた。
令嬢から渡された、書状を宰相は、広げて国王の元に持って行った。
『書状には、いい事は書いてないみたいね…。陛下の顔が、怒りに燃えてる…。それに、一緒に書状を覗きこんでる宰相の顔色も、真っ青だものね…。ひどい、要求なのかしら⁈人質を取ってまでする交渉が、平和なはずないか…』
「こんな要求は、飲めぬ‼︎」
国王から、断言される。
その言葉と共に、人質の令嬢達と、その家族だろうものの顔色が、さっと真っ青に変わる。
『ある意味、死刑勧告だものね…。』
呑気に構えて、本人忘れているかもしれないが、ソフィアナも、人質の1人だ…。
王座の、右端から、ずっと心配そうに、歯を食い縛りソフィアナを見ているのは、ベルンゲラだ。
その隣で、隙あらば、走り出そうとしているのは、ハンスとオスターとグロスターだった…。
『お父様、グロスターお兄様…いつの間に…。』
ドミニクと、マリーは既に姿は無く、医務室にでも行ったのだろ。マリーを案じながら、ソフィアナは、周りを見渡した。
『この状況どうにかしないとね…』
「まずは、こちらの国に捕まっている、うちの者を連れて来い。」シメルは、そう言い放った。
『ゲラ様は、捕まった者は、内通者でも居るのか、皆、居なくなる言ってたけど…まだ、牢にいるのかしら?』
「……よかろう、まずは、連れてこい。」
国王が、静かに、そう言えば、1番出口に近い兵が、4人出ていった。
しばらくすると、1人は、兵と共に、自力で歩き、1人は、意識が無いのか、兵士に担がれて来た。
「わかっていると思うが、この2人は、人質と、交換だ。」宰相は、捕らえて居た者と、令嬢との交換を条件にした。
「まあ、いいだろう。」
と、シメルが、あごをしゃくれば、シメルの部下が、端にいた2人の令嬢を連れて、王座と、使節団がいる位置の、丁度、真ん中に出て行った。
今、残っている人質は、ソフィアナと、宰相の娘と、もう1人ピンク色のドレスの令嬢だ。交換に、選ばれなかった2人は、絶望したように、泣いている。
そして、交換されたマハルニアの間者達は、使節団の後ろに連れて行かれた。
後ろでは、何やら大きな布を広げていた。
広げられた布には、真ん中に、大きな魔石が、錬金された魔法陣が、描かれている。
『あ…この魔法陣は…。
私が、使えるのは、ポケットにある、ゲラ様からもらった魔石と、アレクの扇、でも、扇は使いたくないから…。あるのは、ゲラ様からの魔石。ゲラ様の属性は、風と水…。
…人質を助けるチャンスは、あの魔法陣を見る限りり、魔法陣が発動する前…。
ただ、この魔石で、人間2人分もの体重を支えられるかしら…。』
ソフィアナは、タイミングを狙いながら、テレッサ達と、洞窟に行ったあと、魔石の性能実験をしていた事を思い出し、計算する。
布の準備が終われば、使節団が、皆、魔法陣の上へと、後ずさるように、移動して行く。
令嬢に、突き付けられていた、剣が、外され、令嬢達に立つ様に、覆面の男がそれぞれ、手をかけている。
ソフィアナは、タイミングを見計らい…
使節団と、王座までの床を大量の水で濡らし、強風で、令嬢2人を背後から滑らせるように押した。
突然の事に、使節団は、対応が遅れ、ソフィアナの思惑通り、2人の令嬢は、王座を囲む騎士たちめがけ、滑るように飛んで行った。ついでに、2人の覆面も一緒に滑って飛んだが、多勢に無勢だ。
『ふー。上手いこと、人質の安全だけは、確保できた。』
と、満足気に、額を拭うが、自分の事を忘れている…。
「チッ‼︎」
シメルが、盛大な舌打ちをしながら、ソフィアナを睨んでいた。ソフィアナの手には、灰色に変わった、ネックレスが、あった。
「おい!そこの女…。へんな魔道具持ってやがったな!?
まあ、いい‼︎お前は、一番苦しめてやるからな!こっちへ連れてこい‼︎」
ソフィアナは、覆面達に、両脇から捕まえられ、魔法陣の布の上に放りだされた。
遠くで、「アナ」「「「ソフィ」」」と言った、心配そうな声が、聞こえていたが、今はそれどころではない。
ソフィアナは、俯き、わからないように、すかさず、指の先を強く噛んだ。
「さて、こちらにあるのは、我が国の秘毒だ。国王よ、そちらにも考える、時間が必要だろう。
これをこの令嬢達に飲ませる。安心していい。5日は死なない。だが、それまでに、解毒薬を飲まなければ、地獄のような苦しみで、死ぬ事になる。
ははは、さぞ怖いだろう⁈
ははははは。謝りたくなったか⁈だが、許さんからな。」
シメルは、毒薬の小さな瓶を見せびらかす様に、顔の高さで、チラつかせた。
前半は、国王を向き、後半の脅しはソフィアナを覗きこむように…。
「………。」
だが、ソフィアナは、無表情だった…。
3つ目は今日中には、無理です。すみません。




