仲良し⁈
「最近ドミニクと仲が良いようだね?妬けてしまうよ…」
優しく微笑みながら、ベルンゲラが、言った言葉に、ソフィアナの眉間にシワがよった。
「ゲラ様の目は、節穴ですか?
あれは、仲がいいとは、いいませんよ…。事あるごとに、睨んで来たり、嫌味を言うのは、まだいいです。普通、令嬢に、足をひっかけたりしますか⁈こちらは、ドレスですよ⁈
ああ言うのは、一方的に、敵視していると、いいますのよ。」
「ははは。あいつ、まだまだ子供っぽいな…。
アナに怪我はない⁈あまり酷いようなら、僕からも注意するから、言ってね。」
ベルンゲラは、可愛い弟の悪戯を微笑ましく、みているが、けして微笑ましいレベルではない。
ソフィアナも、あえて言わないが、体に良いからと、まずいお茶を贈られたり、ドレスが似合わないと色の濃い飲み物を裾にかけられたり、ダンスの練習に無理矢理駆り出され、足を踏まれたり…。後ろから髪を引っ張られた時は、殴りかかろうかと思った程だが、その前に、マリー様が、ドミニク様を止めてくれたので、睨み返して済ませたが…。
腕輪さえ無ければ、仕返しも、やり返す事もできるのに…と、ベルンゲラへ、冷たい視線を送る。
「ところで、こんど、隣国マハルニアから、使節団が、くるんだ。僕たちの婚約パーティーに、お祝いとしてだが…。
たぶんそれは口実で、何が目的があってくるんだ。普段は、滅多なことでは、マハルニアからは、使者すら来ない。だが、その目的は、わからないんだ。
最近マハルニアからの侵入者を数人捕まえているんだがね…。
ただ、証拠がない。捕まえても、なぜか直ぐに居なくなるんだ。内通者でもいるかもしれない…なんて思ってるところなんだが、使節団は、正式な申し込みが来ていて、断れない。必ず守ると誓うけど、気をつけて欲しいんだ。だから、不安にさせると分かっているけど、あえて、伝えておくよ…。」
ベルンゲラは、優しく微笑んでいた顔を真剣な物に変えて、ソフィアナに近づいた。
「で、これ、ネックレスなんだが、何があった時に、私の魔力で、防護できるように、お守り代わりに作らせたんだ。当日付けてくれないかな?」
「………。ありがとうございます。これを頂くより、こちらを外してくれたら、ほぼ無敵ですが⁈」
ソフィアナは、右手を顔の前にかざし、ベルンゲラに、腕輪を見せながら笑う。
「うん。…。それが一番なのはわかってるんだが…。外した瞬間君は逃げて行く、未来しか見えなくて…」
「まあ。ゲラ様は、未来視まで、おできに、なるなんて知りませんでしたわ〜。おーほほほほ。」
「未来視の力なんて無いよ…。
それに、パーティー会場は、王座の間なんだ、あそこは、魔力が封じられるから、魔道具じゃないと、守れないよ…。」
ソフィアナからの嫌味に、ベルンゲラは、肩を落としながら、呟いた…。
「そうですか……。なら、このネックレスのトップは、魔石ですか?」
「ああそうだよ。」
「これは、ありがたく頂きます。身に着けるかは、知りませんが、魔石は、使い方しだいですからね…」
「ああ。それで構わない。必ず持ってて…」
ソフィアナと、ベルンゲラの婚約パーティー当日。
盛大なパーティーは、この王国の繁栄を示しているかのように、豪華で、彩り鮮やかなドレスや料理、美術品に、煌びやかな部屋は、さらに豪華さを増していた。
ベルンゲラとソフィアナは、はじまってから、挨拶に追われていた。
パーティーも中盤を過ぎて、やっと、やっと、苦痛な挨拶から、解放されたと、ソフィアナは、壁際により、ソフトドリンクで、喉を潤していた。
ベルンゲラは、現在、陛下に呼ばれて、陛下の近くにいる。
近々行う遠征の、任命式も行うためだ。
一息つき、休んでいた、ソフィアナに、3人の令嬢が、近寄って来た。
「まあ。見苦しドレス、流行りもあった物ではないわね〜。どなたかと思ったら、魔力無しのブランバード家のご令嬢ですの?」
「まさか。違いますわよ。だって、ブランバード家の方は、魔力無しの分際で王子の婚約者なんですよ。相当な、美貌なんですわ…。ですがこの方、そんな美貌とは…。」
「それに、魔力無しで、婚約なんて、恥ずかしくて、私なら、パーティーなんて、出られないですわ。」
煌びやかなドレスを着た3人の令嬢は、口々に、ソフィアナに、嫌味をぶつけて来た。
『うん…。きっとこの子たちは、婚約者の座を狙っていた令嬢さん達なのね…。噂では、ゲラ様人気あるって聞いた事あるし…。あの見た目だしね…。憧れてる令嬢は、多いでしょうね…。
はああああ。代われる物なら、のし付けて代わってあげるのになぁ…。』
止まる事なく、次々に、浴びせかけられている嫌味は、右から左で、3人を観察しながら、そんな事を考えていれば、
「あなた方、ソフィアナ様に失礼ですよ…。わきまえなさって‼︎」
令嬢たちの斜め後ろから、凛とした声がした。
『この声は…マリー様からしら⁈』
声の方へソフィアナが、目線を送れば、予想通り、女神の様に美しい、マリー様が立っていた。
「まあ、これはこれは、体が弱い事で、ドミニク様を脅してみえるルイダーニュ家のマリー様。本日は、まだお倒れになりませんの⁈」
令嬢達はクスクス笑い合う。
令嬢達は、ソフィアナが言い返さない事をいい事に、調子に乗りはじめていた。
『これはダメね。大事になれば、この子達もただでは、すまない…』
「この流行りもあった物でないドレスを準備したのは、ベルンゲラ様ですの。殿下に、ドレスのセンスがない事、伝えておきますわね。
あと、魔力無しな、私が、選ばれたのに、魔力があっても選ばれなかった方々は、相当見た目が悪いのか、心が悪いのか…。私よりも何かが、著しく劣っておみえなんですね…。
お可哀想に…。私すら、こんな底辺ですのに、その方々は、どのような、底辺なんでしょうね…⁈」
ソフィアナは、さもわかりませんと言う顔で、令嬢達に問いかけながら、微笑んだ。
「まあ。そちらにみえるのは、ドミニク様⁈マリー様を心配なさって⁈今日も過保護ですのね…」
令嬢達の反対側の後ろに、見知った姿を見つけたソフィアナは、ドミニクを呼び寄せた。
マリーへの悪口をこれ以上言わせない為に…。
「ソフィアナ嬢、今日の主役がサボっているとはな…。それに、隙あらば、マリーに絡もうとするな‼︎」
ソフィアナの声に反応したドミニクは、マリーの隣へと優雅に早歩きという、器用な芸当で、近づいてきた。
それに、顔色を悪くしたのは、3人の令嬢だ。
ドミニクに、形だけの挨拶をしたかと思えば、そそくさと、逃げていった。
『逃げるくらいなら、はじめから、来なきゃいいのに…。ま、これで、大事には、ならないだろう。』
「マリー様、かばって頂いて、ありがとうございます。」
「ですが、庇う必要、無かったみたいですけどね…。」
と、マリーは、眉を下げて、苦笑いした。
「なんだ、ソフィアナ嬢、虐められていたのか⁈見たかったな‼︎しまった、遠巻きに、みていれば良かった。」
「いいえ、マリー様が、庇って下さったことで、マリー様が、標的にされそうでしたので、ドミニク様をお呼びしたんです。今は、マリー様のヒーローですわね。」
「な!?そうなのか⁈大丈夫かマリー?」
「大丈夫です。何か言われる前に、ソフィアナ様が、ドミニク様を見つけて下さいましたから。来て下さってありがとうございます。」
マリーに、お礼を言われながら微笑まれ、ドミニクは、一気に赤くなる。
「間に合ってよかった。」と、そっぽを向きながら呟くドミニク。
『ドミニク様…。間に合ってないけどな。嫌味言われたけどな。マリー様なら、言わないよな…。マリー様マジ天使。
ドミニク様って、マリー様に関してだけ、ポンコツだ…。あれ、マリー様関連だけだよね…⁈』
なんて考えていたら、いきなり、会場に爆発音が響いた。
ドミニクは、腹黒で、愛想なしですが、優秀です。マリーに関してだけ、ポンコツです。
マリーが、死んじゃったらどうするんですかね…。
マリーさん。ドミニクが使い物にならなくなるから、死なないでね…。




