話し合い
ソフィアナは、嫌われるために態度を変えるにした。
だが、何にしても、一度きちんと、ベルンゲラと話し合いをしなければいけないと思った。
なぜなら、彼について、第一王子以外に、何も知らなかった事に気がついた。
風の噂レベルで、2人の王子が優秀で、優しく、見目麗しいのは知っていたし、あの奴隷商で、会った時の印象も、そうだった。
「確かドミニク王子は、だいぶ前に婚約していたはず…ルイターニュ家の方だったかしら?
そして、中々婚約しない、第一王子には、思い人がいるとか聞いた事がある。確か幼い王子を助けた命の恩人だとか…。なら、その人を婚約者にしたらいいのに…。」
ソフィアナは独り言をいいながら考える、
その人とは、会えない様な身分差があるのかもしれないと…。でも、だからと言って、ほぼ初対面の自分が選ばれた事がわからなかった。
『奴隷商で、会ったのが私だと、気が付かれた⁈
いやいや、違うな…。気付かれたとしても、命の恩人ではない。だって、奴隷商では、王子はおとりに使ったから…。恨まれても、感謝はされないだろう。あの時の命の恩人というなら、ハンスお兄様だ。』
と、ソフィアナは、思った。
『では、命の恩人とは、誰か…!これがわかれば、自分は、婚約破棄してもらえるかもしれない。
だから、まず、話し合いをして、私を選んだ理由と、彼自身を知らなきゃいけない。』
それが、ソフィアナの考えだ。
ソフィアナは、話し合いの為の時間を作ってもらえるように、ベルンゲラに頼んだ。
ベルンゲラから、指定された時間に、応接室で待っていれば、少し遅れて、ベルンゲラが入っきた。
「やあ、遅れてしまってすまない…。」
髪をかきあげながら、扉から歩いてくる姿は、一枚の絵の様だ。
「ご機嫌よう、ベルンゲラ第一王子様。お時間を頂きありがとうございます。」
ソフィアナは、座っていたソファーから、立ち上がると、ドレスをつまみながら、軽いが、敬意をはらった挨拶をした。
そんなよそよそしい態度を見たベルンゲラは、少しだけ眉を潜めた。
「まずは、腰掛けよう。君、飲み物を…」
ベルンゲラは、座るように促し、侍女に、紅茶の準備をさせた。
2人の前に、飲み物が置かれ、侍女が、壁際まで下がると、ベルンゲラは、ソフィアナに、声をかけた。
「話しがあると、聞いたが⁈」
「はっはい。お伺いしたい事が…。お聞きしても⁈」
「ああ。これから、婚約が済めば、結婚だ。夫婦になるなだから、聞きたい事は、なんでも聞いてくれていい。国家機密でない限り、なんでも、話すと約束するよ。」
「でっ、では…。なぜ、私を婚約者にお選びになったんですか?誰か、他に好きな方がおみえになったのではありませんか⁈」
ソフィアナは、ベルンゲラの表情に気をつけながら、そう質問した。
「婚約者にした、理由か…。ソフィアナ嬢…君を好きだからだよ。他に好きな人なんていない。
他に好きな人なら、居るのは君の方じゃないのかい⁈」
ベルンゲラは、微笑みながらそう口にした。
「え⁈えっと…。…………。
はっはい。私には、口約束ですが、結婚を約束した方が、居ます。身分も違い、今、彼がどこで何をしているのか、知りませんが、私は、彼を待っていたいのです。」
ソフィアナは、嫌われるなら、好きな人が居た方が、諦めて、嫌ってくれるかもと、素直に、好きな人について話した。
「まったく、妬けるね…。彼は、あなたの事、何と呼んでいたんだい⁈」
ベルンゲラは、眉を寄せ、表情を曇らせた。
「え⁈呼び名ですか⁈えっと…。ソフィアナ嬢と呼ばれていました。」
「私と、同じですか…なんとも腹立たしいですね。私達は婚約者です。愛称で呼び合う事にしましょう。
では…、私の事は、ベルン⁈ゲラ⁈どちらでもお好きな方を…。私は、誰も呼ばないものがいいな…。普段家族や、親しい者からは、何と呼ばれていますか⁈」
「えっ、はっはい。ソフィと…」
「なら、私は、アナと…。アナは、好きに呼んでと言いましたが、やはり、私をゲラと…。なんだかお揃いの様でいいですね。」
ベルンゲラは、嬉しそうにニッコリ微笑んだ。
「え⁈いえ、あの、そんな恐れおおい…」
「ああ、その態度も、夫婦になるのに堅苦しいですね…。人前では、仕方ありませんが、こうして、2人プライベートな時は、敬語もやめましょう。私も普通に話します。」
「そんな、それこそできかねま…」
そこまで言えば、ベルンゲラの、人差し指が、ソフィアナの唇をそっと押さえた。
「できるよ。普通にしてくれたらいいんだ、ね。アナ。」
『極上の微笑みとは、これかな⁈』と、明後日な事を考えながら、
『王子の前で、普通にできる…。王子の好みの逆の素を出しても、怪しまれない!許可じゃないか!?これ。チャーンス』
と、心の中で、拳を握りしめた。
「普通を許可した事、後悔しても、しりませんよ。今更、許可取り消しは、受付ませんからね。ゲラ様。」
「取り消しなんかしないから、いいよ。私も、素で、接するし、その方がお互い話やすいしね。」
「では、ゲラ様。
私…。あの時、婚約を了承したと、みなされましたけど、話を聞いていなくて…、あれ、間違いですから、まず、婚約白紙に戻して下さい。私、ゲラ様と、結婚する気は無いんです。」
「それは、できない相談だね。
間違いにしても、婚約は、成立している。
それに…。まだ君は、僕を知ろうともしてないない。僕、自身を見ても、嫌悪する程嫌だと言うなら、考えるが、僕は、君を気に入ってる。手放す気はないから、諦めた方が君のためだよ。」
そういいながら、どこか、切なそうに微笑んだ。
「魔力も封じ、自由も封じ、人と会う事も封じた状態で、私を好きとか…。誠意のかけらもない…。
私じゃ無くてもいいじゃないですか‼︎
封じられるのが好きなドMな令嬢をお探しになれば、いいじゃないですか⁈こんな生活を強いて、好きだのなんだの言われたって、信じられません。」
ソフィアナは、普通を許可されて、ついつい本音をさらけ出す。
「確かにね。
でも、アナは、魔力封じなったら逃げるだろ⁈
人と会うなら、君の従者や侍女または、ハンスあたりに会って、逃げるだろ⁈
まずは、君が逃げないと約束しない限りは、その条件は変えられないよ」
部屋の中が一瞬静まる…
「逃げないかい?」
ベルンゲラが、ソフィアナを覗き込めば…。
「逃げるわよ。悪い⁈嫌な事は嫌だ…もの。」
ソフィアナは、フィッと横を向きながら、そう答えた。
「魔力は封じてあるし、会いたい人にも会えなくても…。僕に逢いにくるのは自由だよ。」
ベルンゲラは、そういいながら、待っているといわんばかりに、にっこり微笑んだ。
「なっなっな…なんですかそれは!?逢いになんて行きません‼︎」
なぜか、その言葉と顔に、ソフィアナの顔は真っ赤になる。苦し紛れに、そう言い放てば…
「それは残念だ。」
と、ベルンゲラが、この世の終わりかの如く落ち込んだ顔をした。その顔は、ソフィアナに、小さな罪悪感を抱かせた。
だが、すぐに、落ち込んだ顔は、元の爽やかの塊のような、笑顔へ戻り、ソフィアナに、話題を変えて話かけてきた。
「ところで、明日、王妃主催のお茶会があるんだ。アナ、君も呼ばれているから、そのつもりでいて。
出席者は、家族だけだから、気軽なお茶会だ、そんなに改まる必要は、無いんだけどね。」
「行きたくありません。」
ソフィアナは元々、そういう人が集まる堅苦しい場は好きでは無い。そう即答すれば…。
「そう…。それは残念だ。このお茶会に、参加してくれるなら、アナには、専属侍女がいないから、君に慣れた優秀な、侍女を1人、お茶会の為に、公爵家から、よぼうと…」
「行きます!行かせて下さい。お茶会。行きたくて仕方ありません。」
ベルンゲラの言葉を途中で遮る勢いで、ソフィアナは、お茶会への出席を決めた。
「そうかい?じゃあ、公爵家には、使いを出しておくよ。そろそろ公務に戻る時間になったようたがら、失礼するね。」
ベルンゲラが、視線をずらしたので、ソフィアナも、その視線を追った、いつの間にか、扉には、ベルンゲラ付きの執事が、立っていた。
2人の視線を受け、仰々しくお辞儀をした。




