王子の好み
だいぶ短めです。
「うぎ!!!!」
「うぎゃー!!!」
「いや!!!!」
「のあああああ!!!」
部屋に逃げ帰った、ソフィアナは、そのままベッドに倒れ込み、枕に顔を埋め大声で叫んだ。
近くで、頬に手を当てられ、見つめられながら、微笑みかけられ、
「あなたが汚いなんて……舐めましょうか⁈」
と、言う、ベルンゲラの姿が、脳裏から離れない。
ソフィアナは、思い出したくないのに、ずっとリピートされるその映像に、そのたびに、大声を出さずには、いられなかった…。
部屋の外で、護衛に付いているイワンは、ソフィアナの令嬢らしからぬ声に、苦笑いだ…。
「まあ、あれは、なかなかに、居た堪れないよなぁ…。相手は、あの麗しき王子様なわけだし……
それにしても、あいつ、何やってんだか…」
と、誰にも聞こえない独り言を呟いた。
先程の、事件から、復活するのに、3時間以上を費やしたソフィアナは、どっと疲れていた。
「テリーに、会いたい。エスター…ハス…ラス…。」イヤリングに、そっと触ってみるが、魔力を封じられているソフィアナには、言葉を伝える事ができない。
「セブァセスで、みんなでパン食べたい。アレク、強くなって、結婚申し込んでくれるって言ったじゃん。迎えに来て、助けてよ…。今が助け時よ!ヒーローは、今現れないと…いつ現れるんだよ…!」
寂しさと、悔しさと、恥ずかしさで、八つ当たりのように、できもしない事を言い望んでみる。
叶わない事だと、100も承知だが、言葉にする事で、自分を慰めていたのだった。
大失敗して、満身創痍になったソフィアナは、イワンが、ベルンゲラの好みを調べてくるまで、嫌われ大作戦を封印した。
失敗した時の傷が、想像以上だったからだ…。
イワンが好みを調べてきたら、その好みと反対の行動をしたらいい。それならば、簡単だし、傷も浅いだろう…。と考えからだ。
数日後、イワンの調べてきたベルンゲラの好みは、ソフィアナとは真逆の物だった。
“社交が上手く、人付き合いがよく、衝動や感情に左右されず慎重で、慎ましく、意見を言わず、行動把握が容易”
が、ベルンゲラの好みだそうだ…。
「これなら、普段の私の真逆よね⁈だったら、私は、私でいたら、嫌われるってことかしら⁈」
『いや…僕は嫌われるとは、思わないよ…。むしろ、わざわざ、ソフィアナ嬢の逆を言った気がするし…そんなうまくは、いかないと思うよ…』
と、こっそり思うイワンであった。
ソフィアナが、ダメージから、回復しつつある為、あえて、そこには触れず、曖昧に微笑み返してから、護衛に戻った。
『好みがわかったんだから、会ったら、素の私で、いればいいわ、ただ、急に態度を変えたら、頭の良い王子が、何か勘ずくかもしれない…。どうやって、態度を変えようかしら…』




