君を捕まえたい
引きこもりで、街のエスターの家に入り浸っていたソフィアナに、
屋敷に居たハスから、イヤリングへ連絡があった。
国王からの呼び出しの、命令書がブランバード家に届き、その呼び出しに、ソフィアナの名前もあったと言うものだ。
流石に、国王からの命令は無視できない。
ソフィアナは、無視しても、痛くも痒くも無いが、家族に迷惑がかかるのは、頂けない。
よって、国王命令に呼び出されたソフィアナに、断れる理由は無い。
仕方なく、侍女たちにされるがままに着飾られ、父オスターに付き添われ、王宮にやってきたソフィアナは、国王と、第一王子ベルンゲラの前に跪いていた。
そして、言われた言葉に、硬直していた。
オスターは、「おお!」と、歓喜の声を上げた。
だが、ソフィアナは、絶望の淵にいた…。
『ここから、帰ったら、即、死んだ事に…。
トマスさん…いえ、ニジルさんに頼んで、娘にしてもらいましょう。ゼファセスのお店の方は、順調だから、私一人くらい、贅沢しなきゃ、養えるはず…』
ソフィアナな頭の中は、逃亡計画でいっぱいで、話しなんて聞いていなかった。
父オスターが、「いやしかし…」とか、「それは、まだ…」とか、「本人次第で…」とか話していたのに…
不意に、目の前に影ができ、顔を上げれば、ベルンゲラが、綺麗な金髪を後ろで一つに縛り、前に垂れた後れ毛が整った顔に、少し影をつくっていた。どこか懐かしい優しい微笑みをのせて、ソフィアナの目の前に立っていた。
「………手を…」
ドレスのまま跪いていたため、立たせてくれるのかと、何も不思議に思わず、ソフィアナは、右手を差し出されている手に乗せた…
手は、優しく握り返されそっとその場に立てるように支えられた。そして…
ガシャ
何か金属音が、響き、ソフィアナの腕に、細くて、魔石のついた、一本の銀の腕輪が、飾らせていた。
「?」
「オスター殿、彼女は、承諾してくださいました。このままお連れしても⁈」
『え⁈承諾⁈してない‼︎違う‼︎何⁈どういうこと⁈』
驚きに声が出ず、目を見開いていたら、
「そうか、ソフィアナが、いいなら…。娘との約束では、娘が望まない結婚や、婚約は、させないはず、だったのです…、本人が望むなら、私は、なにより、嬉しいです…。」
オスターが目を潤ませながら、うなずいている。
『え⁈違う。何言ってるのお父様⁈』
「では、双方同意により、この婚約を成立させる。」
国王が、玉座から、高らかに言い放った。
「まっ…」
『同意してない!!!!!』
ソフィアナは、大パニックで、声がでない。ただ、口をパクパクさせているだけである。
「拒まれるかと思ったけれど、手を取ってくれて嬉しいよ。これからよろしく。私のソフィアナ嬢」
ベルンゲラは、その甘いマスクに似合う笑顔をソフィアナの耳元に近づけて、そっと、耳打ちした。
言葉の甘さと、驚きの事実に振り返れば、ありえないほど近くに、ベルンゲラの綺麗な顔があり驚き真っ赤になる。
のぼせた頭で必死に考えた。
『そうか!手か!あの時、手を取ったら同意の意味だったのか‼︎‼︎しまった!!!!!聞いてなかった‼︎しまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
ソフィアナの迂闊さから、婚約がきまった、瞬間であった。




