ソフィアナ16歳 冒頭です。
第二章です。
こちらのページは、冒頭と丸っと同じです。
下のラスト数文だけが違うだけなので、そこまで飛ばして読んでもらって、大丈夫です。
「お父様、私、私、行きたくありません。」
公爵家のブランバード家。その執務室で、歳のわりに若くみえる父オスターに、私は、懇願していた。
「何を言っている。ソフィアナ。お前も、もう16だ、社交会デビューは、14なんだぞ。
2年も遅らせて、もう待てん!今年こそは…」
「お父様…私、どうしても、人前が嫌なのです。動悸で、倒れてしまいます。そんな事になれば、ブランバード家の恥になってしまいます。
お願いします。お父様…。お父様…。」
「ダメだ。今年のデビュスタンスのパーティーには、お前も出るんだ。欠席は許さん。」
「こっ、こんなに、こんなにお願いしてもダメですか?」うるうるの上目づかいに、胸の前で、手を組みおねだりポーズで、父親を見つめる。
早くに母を無くして不敏に思ったのが、父親は、娘の私には、砂糖より甘かった。だから、だいたい、このポーズで、お願いすれば、願いは聞いてもらえるのだが…
今回はなかなか聞き届けてもらえないらしい…
その証拠に、出席を言い渡し、もう知らんとばかり、後ろを向いた父親は、こちらを見ない。
お願いポーズに、弱いのは、父親も承知している。だから、見ないようにしているのだ…。
「お父様…お父様…」か弱い声で、呼んでみるが、オスターは、振り返らない…
「お願いです…お父様…
そんな…そんな……ソフィーは…ソフィーは、お部屋にひきこもらせていただきます。」
と同時に、私は、執務室を猛ダッシュで、かけ出た。
「な!いかん!!ジョセフ!ソフィーを捕まえろ!」
オスターは、慌ててそう叫ぶが、ソフィーは、その声を背中で聴きながら、廊下の角を曲がり、脚の筋肉を魔法で強化し更に加速して、自分の部屋に向かった。
誰に捕まる事なく、部屋に駆け込むと、部屋に、強化と施錠魔法を施した。
「必殺!天の岩戸。
ふぃー危なかった…。これでよし」
「お帰りなさいませ。ソフィアナ様。旦那様のご用事はもうよろしいのですか?」
ソフィアナつきの侍女、テレッサは、猛スピードで、部屋に駆け込む主人にも、動揺せず、姿勢をただし着こなした侍女服で、冷静に挨拶している。
「ただいま。テリー。今から引き篭もりだから〜」
「また、で、ございますか?承知いたしました。」
テリーと愛称で呼ばれたテレッサは、主人の一言に、己の今後の仕事を理解した。
ソフィアナの引き篭もりは、いつもの事なので、4歳の頃から、12年使えている彼女には、いつもの事であった。
テレッサは、動きやすいドレス…というよりは、ワンピースに近い服をドレスルームから持ってきた。
ソフィアナは、何も言わずに、さっさとそれに着替えて、部屋の隅にある観音開きのクローゼットに向かう。
そのまま、クローゼットの扉を開け、エスターの家に…しばらくは、帰る気は全く無い。
だが、この、1週間後、ソフィアナは、否が応でも王宮へ行かなければいけなくなるのだった…。




