洞窟
洞窟の中は、太陽の光が届かないため、肌寒いかった。
「っ…寒っ。……そうだ。」
ソフィアナは、ラスの鞄から魔法陣の本を取り出した。今日は、テレッサを連れて来なかったので、ラスの鞄に入れておいたのだ。
光魔法で、光の球体は出したから、周りはよく見えるし、本を見るのに、差し支えもない。
『イワンさんと、アレクさんどうやら、全属性持ちだとは知らなかったみたいなんだよね〜。
勝手に、バレたと、思っていたけど、魔力があるのが、バレただけだったなんて…。うっかり、うっかり。
ま。でも、それも黙っててくれてるから、全属性がバレても、大丈夫でしょ。その方が色々できて、楽だし〜。』
『着ている服に、生活魔法で使われてる、温度調整の機能を人が感じた感覚と連動して、調節できるように組み込めば〜
うふふ〜。快適〜。みんなにも…まずは、ハス、ラス…』
そう思い、手を伸ばせば、素直に2人は、されるがままだ。
『次は、まだ、固まっている、イワンさんとアレクさん…。』
肌に触れている、中の服に触れてるべく、首元の襟に手を伸ばした。
イワンさんは、固まったまま、さらにビックリして、数歩後退った、仕方ないので、隣にいた、アレクさんに、先に付与しようと、手を伸ばせば、アレクさんは、大きな目を見開き、真っ赤になって、さらに固まった。
『この寒いのに、付与した魔法陣が、保温ではなく、冷房機能で働きだしたが、大丈夫だろうか…⁈』
ソフィアナは、小首を傾げながら、一歩下がり、イワンに振り返る。
「ちょっと、快適にするだけですから、じっとしててください。大丈夫です。」
ソフィアナが、ニッコリしながら、イワンに近づく…。今度は、イワンも、後ずさらなかった。
「さてさて、時間がありません。サクッと行って、サクッと帰ってきましょう。お兄様が、帰宅する前に私は、帰りたいんです。よろしくお願いします。」
『やっぱりピクニック気分だ!』
と、イワンが思った事を、ソフィアナは知らない…。
弱い魔物は、ソフィアナが作っている、風の防御壁で、スパスパ切れている…。
『魔物が、人参が大根に見えてしまいそうだ…』
イワンはひとりごちる…。
斬られて、絶命した魔物はキラキラと魔石になる。スパスパ切れるくらいの魔物はクズ魔石から、中魔石くらいが、転がる。
それをせっせと拾うのは、ハスとラスだ。
「これでは、なかなか大物に会えそうにないですね…。魔物を呼ぶ物が欲しいですね…。」
『笛とか、音を出す⁈ニオイを出す⁈何が魔物を呼ぶかな⁈超音波みたいな奴がいいか‼︎そうだね。それなら、風の属性で空気震わせたら、なんとかなりそう〜。』
ソフィアナの目の色が水色に変わり、周りに風が吹いていく。
それから、数分するど、洞窟からドドドドと、音が響いてきた…。
無数の何かが、洞窟の入口目掛けて、移動している。
イワン、アレク、ハス、ラスが、異様な雰囲気に、身構えた。
『あれ⁈これやらかしたかな…』
ソフィアナは、自分が招いた事態に、冷や汗を流した…。
洞窟の奥から、見えてきたのは、魔物の群れだ…。
ソフィアナは、慌てて、魔物の群れのくる、洞窟の通路に、分厚い風の壁と自分達の周りには、結界を張った。
弱い魔物は呆気なく、魔石へと姿を変えていくが、中型くらいから、時々、風の壁を越えてくるのが、現れだした…。
ソフィアナの前には、ハスとラスが、構え、その前に、剣を構えたイワンとアレクが立ち、危なげなく、中型の魔物を1体づつ倒した。
だが、しばらくすると、中型でも強い魔物が数体、風の壁を越えはじめた…。
イワンやアレクでも、何体も同時には、きつい…。
ソフィアナは、イワンとアレクの取りこぼしをファイヤーボールで、倒している。ハスとラスは、2人で一体を相手にしていた。
なんとか、数体を倒した時…
大きな影が現れた。
イワンが呟いた
「岩亀⁈」
そう、岩亀が現れた。
とにかく大きく硬い亀だ。
「ソフィアナ嬢あれは、ダメだ。剣では倒せない。硬過ぎて、あれは魔導師が何人も必要なやつだ!」
「どうしたらいいんですか⁈私がやります。」
「何人もの魔導師が、同時に色々な魔法で仕掛けて首をとるんだ。いくら、ソフィアナ嬢でも無理だ!逃げよう。」
「硬い、岩なんですよね⁈一度だけチャンスを下さい。いけると思います。
『ではでは、理科の実験です。熱した石は急に冷却されたらどうなるでしょ〜』
ソフィアナは、岩亀を炎で包んだ。ドンドン炎の温度を上げていく…。
周りも熱いが、先程の体温調節機能のお陰と、ソフィアナの結界のおかげでみな無事だ。
さて、グラグラに熱した、そこへ一気に氷水をかけた。
ぶしゅーーーーー
と言う水蒸気が一気に洞窟中に、息苦しいほどに充満した。
そして、ピキピキッと音をたて、岩亀を覆っていた岩の甲羅が崩れだした。
「エアカッター。」
スパン。
と、景気良い音と共に、岩亀の頭が地面に落ちた。
しばらくすれば、大きな魔石へと、姿を変えた。
「岩亀…だったよな…あれ…。いつも、みんな、苦労してる奴だったよなぁ…あれ…」
イワンが若干涙目で、何か呟いているが、ソフィアナには、聞こえていなかった。
「油断するな‼︎もう一匹なにかくる‼︎」
1番風の壁に近かった、アレクがそう叫ぶと、同時に、四つ足の魔物が、飛び出てきた。
「アーマーラビットだ!目を見るな‼︎」
アレクと、イワンはすぐに目を閉じたが、ソフィアナ、ハス、ラスは、事態を把握しきれず、目を開いたままだった…。
「ソフィアナ嬢大丈夫ですか⁈僕の手を…。アーマーラビットは、幻覚を見せたりする状態異常系の魔法を使ってきます。目を見なければ大丈夫なんですが…」
アレクは、片手で、上から目を覆いながら、手の下からソフィアナ達をみた。
ソフィアナ、ハス、ラスは、しっかり、アーマーラビットと目があっている。
「イワンさん、大変です。みんな目を開いたままです。」
アレクは慌ててイワンに声をかけ、ソフィアナを逃す為に手を引いたが、その手は、するりと、すり抜けたのだった。




