流石のハンスもあきれた
「たったそれだけ⁈
いやいや、おかしいでしょ⁈国家レベルの力を隠す理由が、自由の為って…。貴族なら、国のために、働くとか考えそうなのに…」
イワンが、首を振りながら叫ぶ。
「え⁈でも、自分が、自分である事ってすごく大事だし、自由って言っても、なんでもするわけでは無いし…。ささやかな普段の幸せを守るためなんです。
それに、私みたいな小娘が、国の為に何かなんて、だいそれてますよ。」
『ソフィアナ様、結構なんでもしてる気がするのに、あれで、本人我慢してるんだ…うわわ』
と、ラスが、心の中で、思ったのは、内緒だ。
「確かに、そうなんだが…。なにか納得いかない…」
イワンはぶつぶつ言っていたが、それ以上は何が聞いてくる事は無かった。
しばらくして、ハンスひきいる兵士と騎士が、ソフィアナ達の居る洞窟内部に、到着して、氷漬け竜に、全員フリーズしたのに、ハンスのみ、ソフィアナを睨み付けていた。
低い声で、「状況説明を…」と、言われたソフィアナは、イワンに話したように、ラスが後天的に水の属性に目覚め、暴走したと説明したが、ハンスのじと目が、さらに鋭くなるばかりだった…。
救い出されて、ソフィアナは、ハンスと2人っきりで、馬車に詰め込まれた。帰り道。
もちろん、この状態は、ハンスの指示だ。
「で、説明を…」
「お兄様…。お顔が、だいぶ怖めなんですが…」
「当たり前だ‼︎危ない事をした自覚はあるのか!?おとりなんかすると言うし、連絡はつかなくなるし、連絡できたと思えば、3尾も竜を凍らせてるし…」
ハンスが、大きな溜息をついた。
「心配かけて、ごめんなさい…。
えっと…。
連絡が付かなかったのは、檻や馬車に、魔力を封じる何かがあったみたい。イワンさんから、国の牢や、護送車にも、使われているって聞いたから、お兄様も、ご存知かと…。
で、竜は…みんなを守る為には、3体とも、同時にどうにかしなきゃ、いけなくて…。
で、どうしようと悩んだら、ラスが、氷漬けにして、お兄様に渡す方がいいと言ってたから、お兄様に指示してもらおうと、氷づけに……。
そしたら、周りの人に私の魔法がバレちゃって…。
ほとんどが、平民の人だから、バレたから何かはないけど、イワンさんと、アレクさんには、口止めしました。
そして、ラスが犠牲になってくれて、水の属性を付与させてくれました。
奴隷印の上に付与したので、魔法陣は、目立ちませんし、また見た目だけでは、分からないようにできました。以上です。」
『流石に、水属性を付与ただけでは、氷は使えないから、空だったペンダントトップに魔力と、氷単品の魔法属性を付与たけど、これは、内緒。』
ソフィアナは、簡潔に、ハンスに話した。
ハンスは、頭を抱えた…。
「お前のやる事は、最近あんまり驚かなくなったけど、今回は、やり過ぎた。
父上から、お叱りがあると思うが、甘んじで受けなさい。
引きこもりで、逃げないように…。
そのかわり、あとの処理は、なんとかしてやる。
イワンは、言わないと言ったなら言わないだろう。アレクは、後でもう一度口止めしておく。
ラスと、パン屋の娘は、家の医者に見せて、治癒師が必要なら、やらせておくから、少し大人しくしていることだ…。」
はああああ。と、大きな溜息まじりに言われた、最後のセリフに、ソフィアナは、抱きついて感謝を述べた。
帰ってから、オスターにしこたま、説教され、2ヶ月の謹慎と魔法使用禁止が言い渡されたが、徐々に、今までの様に、平和な日々に戻っていった。
そんな2ヵ月が過ぎた、ある日、ハンスが、馬鹿でかい魔石を持ち帰ってきた。
話によれば、例の氷漬けした竜一体の物らしい。
仕留めたのが、ラスなので、1番いい所を褒美として、貰えたと、ソフィアナに渡した。
「ラスがもらったんですよね⁈なぜ私に⁈」
「ラスは、ソフィの奴隷だからね。奴隷の成功や功績は、主人の物。失敗は、奴隷のせいって決まってるからだよ。」
「意味がわかりません。ラスがもらうべき物なら、ラスに渡します。」
「はあ。好きにするといい。ソフィなら、そう言いそうな気がしたよ…」
ハンスは呆れたように、部屋から去って行った。
『こんな大きい魔石はじめて見た。そうだ、こないだみたいに、魔力が使えなくなった時に使える、魔道具を作っておかないと…。これは、命の危険を顧みず付与させてくれたラスのものだから、ラスに渡すにしても、魔石、欲しいわね…。』
ソフィアナは、魔石をどうやってとりに行こうか、考えた。
『腕が立って、私の魔力を知っていて、魔物や魔石に対して詳しく知っていて、ハス、ラス、だけでは、危ないかしら…?
他に。知らない事を知っていて、普段から、討伐してる…ハンスお兄様が、いいのだけど、この間の事もあり、いい返信をくれるとは、思えない…。
他に、いい返事をくれそうな、
騎士様…。騎士様…。あっ。いたかも…』
ソフィアナは、ハンスが、休みの日に、そっと、訓練所をたずねた。
「イワン様にお会いしたいのですが…」
門番に、そう告げれば、門番は、目を見開き固まったあと、青くなりながら、確認を取りに、訓練所に走って行った。
しばらくして、帰ってきたのは、さっきの門番ではなく、青い顔をした、イワン様本人だった。
開口一番に、
「僕がハンス様に、殺されますから、訓練場には、来ないで下さい」と、言われてしまった…。
これでは、話もできないと、困ったソフィアナは、時間がある時に、街のセブァセス店を訪ねて欲しいと頼んだ。
日にちや時間は、後で手紙で知らせてもらう事にして、家に帰た。
イワンからの手紙は、3日後に着いた…。




