お店の準備ができました。
ある日、ソフィアナは、ハスから、受信器に、お店の準備が出来たと、知らせが入った事を教えられた。
さっそく店を見に行く事に。
「私は、数日引きこもります。」
と、ソフィアナは、部屋の扉に、紙を貼り、さあ出発。
手慣れたように、テレッサは、必要な物をポケットに詰め込んでいる。
「今回は、売り物を準備しなきゃいけないから、ハスと、ラスを連れて行きたいの。呼んでくれるかしら?」
「かしこまりました。」
知らせに来たハスは、部屋からそんなに離れた所に行っておらず、すぐに捕まった。
弟のラスを探して、ソフィアナ様の部屋に来るように、言付けて、テレッサは、1人にすると、色々やらかしかねない、主人の部屋に踵をかえした。
ハスとラスは、すぐに部屋に来た。
2人がきたので、そのままクローゼットから、エスターの部屋へ移動した。
「母さんただいま。今日から、数日、俺たち泊まるから、よろしく。」
ハスは、エスターの部屋から出て、キッチンに向かい、母親に話しかけた。
「お世話になります。」
ソフィアナと、テレッサは、頭を下げた。
ハス達の母親は、「あら、まあ。ふふふ」と笑っていた。息子が、いきなり部屋から現れても、急に、人が何人も泊まることになっても、この反応。
なかなかの大物だ…。
新しい店に歩いて行く道中に、ソフィアナは、ハスに相談した。
「まず、私、冷蔵庫が作りたいの。」
「冷蔵庫?とはなんですか?」
「食べ物を冷たくして、腐りにくくするの。」
「腐りにくくですか…」
「冬の魔法陣を木の箱につけようと思ってるんだけど、人に触れていない魔法陣をどうやって発動させようかと…」
「なら、魔石ですね。ただ小さいのだと、すぐに使えなくなるのと、魔石は、一般の人には、高いですね。冷蔵庫は、貴族むけですか?」
「できれば、一般向けがいいの。」
「一般家庭には、魔力持ちはあまり居ませんから、魔石を使わずには、難しいかと…」
「ねえ、魔石って、魔物から取れるのよね?それ人工的に作れないかしら⁈」
「命の源みたいなもんですから、流石にそれは作れないかと…」
「そうなんだ…。」
そんな話をして、悩んでいるうちに、新しい店に着いた。
外見は、あまり変わりばえはないが、小綺麗な店だ。
「ようこそお越し下さいました。」
「お待ちしていました。」
と、トマスと、ニジルが店に出てきた。
店と言っても、まだ売り出す物が無いのだが…。
ソフィアナは、まず、一般の人が、行く森へ行こうと思っていた。
冷蔵庫の材料の木を切りに…。
売れないにしても、ソフィアナ自身が、冷蔵庫と冷凍庫が欲しいからだ。
木は、大きいから切るのは大変だ。
ソフィアナがやれば一発だが、それでは、トマスたちの仕事が無くなってしまう。
始めは貴族用で、ソフィアナが作った、冷蔵庫を売ればいい。ただ箱は作ってもらわないと、色々と、詮索されても面倒だから、トマス達が作れる物は、極力頼む。
屋敷から来たメンバーに、トマス、ニジルを加えて、荷車を押しながら、森へ
板になるくらいの、いい太さの木を数本、持ち帰れる分量、切るように頼む。
ラスの収納に入れたらいいが、それだと、ラスが居ないときに、木を切りった時に困る。
持ち帰れなければ、店で物が作れない。
ソフィアナは、見ているだけである。
すると、足元に、キノコが、歩いて来た。
「何これ…」
ばちん
「これは、吸血キノコです。刺されると赤く腫れて、ひどく痒みます。」
と、キノコを右足で踏んづけて潰している、テレッサが説明した。
テレッサの足を避けた下に、小さな小さな小指の爪の半分も無い石があった。
「あれ?これ魔石?」
「あ。そうですね。一般に、くず魔石とされる小さ過ぎで使えない魔石です。」
「へーこれ、いいわね。くず魔石は、このキノコだけ?」
「いえ、弱い虫の様な魔物や、魔物の草なんかからも取れます。草刈りとかしているとたまに…」
「ふふふ。これなら、子供でも、集められる⁈」
「そうですね。これなら、簡単に…。ただ、使い道が…ないんです。」
「テリー、彼らが、木を切ってる間に、私達は、これを集めましょう。」
ソフィアナが、ウロウロし始めると、木を切るのを手伝っていた、ハスから、声がかかる。
「ソフィアナ様。あまり森の奥へは行かないで下さいよ。見える範囲にいて下さい。奥まで行くと、どんな魔物が現れるかわかりません。お守りできないと困ります。」
「は〜い。」
ハスの注意を聞き流しながら、テレッサに、小さな魔石が取れる、魔物の草や、虫の様な魔物、キノコの様な魔物をウロウロ探す。
探し始めると、なんとなく、楽しくなってくる。虫は、前世から苦手だから、潰すのには、抵抗がある為、草刈り気分で、魔物の草とキノコを刈っていく。
草は手が汚れると、テレッサに止められ、テレッサが、刈る。ネックレスから、ナイフを出して…。
キノコは、踏み付けたら、灰になるだけなので、汚れることもない。
片手いっぱい拾って、袋に入れると、テレッサのポケットに入れた。
ちょうど木も、荷車に乗せ終わったので、店に帰る。
店の裏には、作業場があった。丁度いいので、ハスとラスに、大人なら、両手で運べる大きさの荷物箱を作ってもらう。
その間に、作業場に、石とレンガをつむ。
裏口から出た所に花壇があったから、そこから分けてもらった。こちらは、トマスとニジルに手伝ってもらう。
石と、レンガで、“かまど(竈門)”を作った。
手頃なフライパンを探し、濃縮、連結の魔法陣を付与した。小さな魔力で、使えるように工夫する。
そして、竈門にも、溶解と圧縮と冷却を与付する。
どうしても、火の属性持ちにしか操れないが、雇用契約した時に、トマスには、弱いが、火の属性があるとあったから、トマスが使えるのが、目安だ。
「これくらいかしら…。テリー、さっきの魔石…このフライパンに3個くらい乗せて〜。」
テレッサは、フライパンに先程のくず魔石を乗せた。
3個の、くず魔石は、見事に一つになったが、まだ足らない。1個づつ足していく。何個か作り、
10〜15個で、必要な魔石の大きさになる事が、わかった。
トマスにやり方を教え、作らせると、
トマスには、1日5個〜6個が限界の様だった。
『1日5〜6個では、商品とするには、足らないわね…。』
ソフィアナは、先程から、試しに作っていた魔石と、残りの魔石を全てフライパンに入れ、一つにした。
ついでに、ソフィアナの魔力を足して、半永久に魔力を補助してくれるような魔法陣をつけ、竈門にはめ込む。
「これで、火の属性があれば、少ない魔力でも、沢山魔石が作れるわ。」
ソフィアナの背後で、みんなが、呆然としていたのは、言うまでもない…。
しばらくして、できた箱の蓋と本体に、冷却の魔法陣を付与し、蓋が閉まると、魔法陣とカイロが完成して、魔石から、魔力が流れて冷却される様にした。
これは、錬金術が使える土の属性がある、ダーシャに頼む予定だ。
だが、魔法陣が、面倒だ…
『コピペできたらいいのに…』
そう思った、ソフィアナは、もう2個フライパンを準備してもらい、蓋、本体の魔法陣を内側から描く。
書いた場所のみ、魔法で、底に押し出す様に凸にする。すると…
「この部分を押し当て、錬金したら、簡単に箱も完成。ハンコみたいな物ね。あとは、この、蓋の魔法陣の真ん中に、紐で縛りつけて…蓋を閉めて。
魔石が光らなくなれば、買いに来てもらう。何日くらいもつか、検証しておいて下さいね。
あとは、孤児院の子供達や、仕事が無い人に、くず魔石と食べ物を交換する事を伝えて…。
利益が出たら、お金も考えるけれど、まずは食べ物ね。
あ。だと、渡す、食べ物作らないといけないなぁ。
当分の間は、渡してある資金で賄ってもらって…。
そうなると、冷蔵庫いくらで、売れるかしら…できるだけ安くしたいわ。魔石も、くずからできてるから、できるだけ安く…。貴族には、装飾して、高く売っていいわ。」
話しながら、1人考え込むソフィアナ…。
その隣では、考えを拾いメモをとるニジルがいた。
「ソフィアナ様。初めから孤児院の子供達を使うつもりで、孤児院の近くに店をと、おっしゃったのですか?」
ニジルが、静かに聞く。
「孤児院の子供達に、仕事を作ってあげたかったの。お金や食べ物を与えるだけでは、その場限りで、終わってしまうけれど、仕事があれば、自分で生きていけるじゃない⁈生きていく為に、体を壊してまで、働く子供を少なくしたくて…」
そういうソフィアナの目は、テレッサをみていた。
テレッサは助けてられたが、テレッサみたいな子供は、まだまだ、沢山いる。
少しでも、そんな子を減らしたかった…。
そんなソフィアナの気持ちが、わかったのか、テレッサは、ソフィアナの視線に、微笑みかえした。




