トマスを助けよう
ハスに相談したら、呆気なく答えが出た。
まず、借用書を無理やり奪ってくる。
でも、これは、犯人が借用書の人物だと直ぐにバレるから、おすすめはしない。という事だ。
2つ目は、借金をソフィアナが、肩代わりしてやる。だが、ソフィアナは、現金をさほど持っていない。
500万グコもの大金を一括で払えない。
だが、どうやら、金では無く、物でも、借金と同等以上の物ならば、帳消しにできるようだ。
そこで、ハスが言うには、
貴族には、毒殺を恐れて、毒を中和する道具や薬が良く売れるため、そう言う物なら、高値で引き取ってくれるだろうとのことだ。
「じゃぁ、毒が入っている物を食べたら、毒を中和してくれる、腕輪か、指輪なんかいいかしら?」
「いいと思います。一般的には、マドラーの様な棒で、高い物なら、スプーンや、フォークです。
指輪や、腕輪なんて、相手に、毒を疑っていると、気がつかれないので、失礼にならないし、高く引き取ってもらえるかもしれません。
あとは、男性でも、女性でも持てるデザインにして…
…できたら、使い切りじゃ無く、2度くらい使えたら、より高く売れるんですけどね…。」
「え⁈私、それを着けてたら、無限に、毒が大丈夫な物を想像してたんだけど…。」
「それは、ダメです。出所を疑われます。なんせ、一般的な物は、一度だけの使い切りです。それに棒の様なものでも、1本10万グコします。」
「う…。困ったわ…。私には、逆に、一回だけが難しそうよ…」
「私が、作ります。ただ、材料をそろえて作らないと、疑われますね。私でも、ソフィアナ様のペンダントのおかげで、何にでも、魔法陣を付与できるようになりましたが、それでは、異色過ぎて、出所を探られます。ですから、一般的な物の作りを少しだけ工夫したくらいが、丁度いいかと…。」
ハスは、そういうと、腕輪や、指輪を作るのに必要な、材料を調べてくるといい、部屋を出て行った。
「ハスが戻ってくるまで、暇ね…。
せっかく良い物を思いついたのに、自分に作らないのは、無いと思うのよ…」
鼻歌混じりに、クローゼットの中の装飾品コーナーに行くソフィアナの後ろをテレッサは、そっとついて行った。
「みんなが、装飾できるとなると…。ペンダント同様登録制アンクレットにしようかしら…。あとは、毒だけじゃ無くて、状態異常とか麻痺とか、幻影なんかも効かない方がいいわよね…。う〜ん。チェーンは、ネックレス同様、紐でいいわ。錬金すれば切れないし。あとは、魔法陣を付与する場所ね…。足首だし、あんまり丸い物は、痛いわよね…。なんか薄い板みたいな物がいいわね…。う〜ん。あ。この辺のネックレスの部品いいわ。あと、こっちのバックのこれ〜あとは…。テリー、テリー魔法陣が載ってる本、向こうの部屋に出しといてね〜。」
ぶつくさ言いながら、また、得体の知れない装飾品を作るソフィアナ…
『ハス早く帰ってきて…私には、止められない…』
「かしこまりました。」
「あの…ソフィアナ様…。伺っていいですか?」
「ハスなにかしら?」
「これなんですか?」
「私のみんなへの護身用アイテム?」
「あっありがとうございます…。ですが、バレたらまた、旦那様に叱られますよ…」
ハスは、遠い目をしている。
毒を中和するアイテムを作るのに、必要な物を調べに行った間に、また国宝級のアイテムをつくり、自分達の足につけてくれる、貴族のお嬢様がどこにいる…。
何をどう、突っ込んだらいいかわからず、ハスは、考えるのを放棄して、話を変えた。
「必要な物は、小さめな魔石と、毒草のツタと、解毒薬草それを浸透させる、ボーンフォックスの骨と、ムーン貝の殻です。」
「それは、それぞれどこで手に入るのかしら⁈」
「基本は、ハンターギルドです。魔物を退治するハンター達が、魔物討伐証として、色々素材を持ち寄るので…。あとは、ちまたの防具屋や、薬屋ですが、これらももとは、ハンターギルドから買っているので、ハンターギルドに無ければ、ちまたにも無いかと…。あとは。ハンターギルドに物を依頼して、ハンターに取ってきてもらったりします。」
「依頼すると時間がかかり過ぎるわ。数日で、何十倍にも借金が膨れてるのよ。時間はかけれない…。」
「ハンターギルドで、ほぼ全て直ぐに揃うと思いますが、ボーンフォックスの骨はなかなか、無いかと…。」
「それは、なぜ⁈」
「ボーンフォックスは、とても強く大きな魔物で、だいたい、ハンター達が個人で討つより、精鋭の騎士様が、騎士団として出向かれます…。すると、討伐した魔物は、騎士団の物となりますので、一般には、流れていかないと…。まあ、騎士様なら、手に入れれるかも知れませが…」
「騎士様ね……。居るわね…1人手に入れてくれそうな人…。なんて、お願いしようかしら…。」
その夜。
うちの騎士様の帰りを待っていた、ソフィアナは、兄ハンスの部屋を訪問した。
「お兄様、ソフィアナです。少しご相談したいこっが…。」
部屋をノックし、そう声をかけた。
「開いているから、入っていいよ。僕の天使。」
「お兄様お帰りなさい。お疲れのところすみません。」
「どうしたの⁈改まって。ソフィアナの顔をみれば、僕は疲れなんかすぐに消え去るから、気にしなくていいよ。」
部下からは、冷徹と言われるハンスは、その綺麗だが、日頃無表情な顔をほこればせながらソフィアナを部屋に招き入れた。
「あの。お兄様にお願いがあって…」
手は胸の前で組み、下から見上げるように兄につめよる。
「なんだい⁈ソフィアナの願いなら、なんだって叶えてあげるよ。」
妹に甘いハンスは、にっこり微笑む。可愛い妹の稀なおねだりが嬉しいのだ。
「私、ボーンフォックスの骨が、欲しいのです。できれば、多目で…」
ハンスは、笑顔のまま固まった。
「まって、ソフィアナ。それは何に使うのかな⁈」
「私、お兄様達や、お父様が、心配なんです。だから、毒を解毒できるアイテムがあると、本で知り、作ってみようかと…。もうすぐお父様の誕生日ですし…。
だから、できたら、お父様には、秘密で…。
アンクレットにしようと思うんですが、錬金を禁じされたので、効果は秘密にして、渡そうと思ったのですが、ボーンフォックスの骨が、手に入りそうになくて…。
でも、でも、近衛騎士のお兄様なら、不可能はないかと…。
だって、私のお兄様は、すごいですから…。
それに、こんなこと秘密で、頼れるのは、ハンスお兄様しかいないじゃないですか…」
「なるほど、まあ、父上の為ならいいか…。でも、何で多目に必要なんだい⁈」
「えっ…えっと、失敗したときの為と、お兄様たちにも作りたいからです。」
「仕方ないなぁ。明日、騎士団にあるのを買ってきてあげるよ。僕とソフィアナ2人からって言えば、父上にお金の出所を突かれないだろう。」
「わーい。お兄様ありがとう。大好き。」
ソフィアナは、ハンスに抱きついた。
『お兄様チョロいな…。悪い女に騙されないかな…』
と、心配しながら…。
ソフィアナに抱きつかれ、頼りにされた、ハンスは数日間、機嫌が良かったのは、言うまでも無い。




