ただいま〜
ハスの家で、エスターに、出してもらったお茶を飲みながらハスを待っていると、父親を背中におぶったハスが、扉から帰って来た。
「ハスお帰り〜」
ソフィアナは、ハスに駆け寄り、扉を支えた。エスターもそれにならう…。
ハスは
「父を寝かせてきます」と、奥のベッドルームへ、エスターと共に行った。
少しして、父親をベッドへ寝かせてハスとエスター
は、ソフィアナの元へ戻ってきた。
「ソフィアナ様ありがとうございました。」
ハスは深々とソフィアナに、頭を下げた。
「ハス、そんなことはいいの。
とりあえず、エスターに、私のことは内緒という事と、お金を渡して、あと、この髪飾りをお金に代えなさい。それで今後について、話あったら、明日帰って来なさい。エスターの働き口に困ったら、私に言いなさいね。あとは…帰りに、スアズランの花を一輪買ってきて。家の者には、その、お使いに出したことにするから。わかった?本当は、ラスも居させてあげたいけど、それは、また、時期をみてね。悪いようにはしないから、帰ってらっしゃいね?」
ソフィアナは、早口にそう言うと、自分が付けていた髪飾りをハスに手渡した。それから、念を押すように小首を傾げた。
「ソフィアナ様を一人で返すわけには…」
「大丈夫。だって、私は、今、ここには、居ないのよ。じゃ、お兄様が、テリーに、接触する前に、テリーに会いたいから。またね。」
ソフィアナは、そう言うと、さっさと玄関の扉を開け空に舞い上がった。
それをハスとエスターは、呆然と見送るしかなかった。
ブランバード邸の自分の部屋の窓から、入ってソフィアナは、
「テリーただいま〜」
と、ソフィアナのベッドサイドに座る、侍女に声をかけた。
「ソフィアナ様。」
侍女は、慌てて立ち上がり、ソフィアナに駆け寄り、抱きついた。
「ご無事でよかった…。あんな連絡をなさるから、すごく、すごく心配いたしました」
半泣き状態のテレッサに、ソフィアナは、罪悪感を感じながら、背中をさすった…。
テレッサの言う、あんな連絡とは、
『王子が奴隷商に捕まっていて、正体がばれ、殺されるかも知れないから、お兄様に、テリーの力で、そんな会話を聞いたと、報告して欲しい』と、ソフィアナの風魔法を使っての連絡のことだ。
会話は途切れ途切れと、曖昧さを出せば、優秀なお兄様が、あとは、なんとかするだろうとも言われ、テレッサは、主人の為とは言え、近衛騎士のハンスに嘘をつかなければならない事に、青ざめながら、報告に行ったのだった…。
逆に、その態度が、ハンスの信頼を得たのたっだが、テレッサが知る由はない。
それからテレッサは、事の成り行きもわからず、ずっとハラハラしてソフィアナの帰りを待っていた…。
「お兄様は、まだお帰りではないかしら⁈
もし帰ってきて、何か聞かれても、あれからは、何も聞こえていない。で、いいからね。」
ソフィアナは、テレッサを慰めながら、そう言った。
結局、ハンスは、それから7日間、帰ってこなかった。
王子のお忍びでの、城の抜け出しの事実揉み消し…。
しかしながら、王子2人の殺害未遂犯の奴隷商。
抜け出していない、王子の殺害未遂後始末(事実を捻じ曲げた書類の辻褄合わせなど)に、とても時間がかかったらしい。
ハスは、ソフィアナに言われたとうり、翌日の朝には、一輪の花を持って、妹のエスターを連れて、ソフィアナのところまで、戻ってきていた。
エスターは、ソフィアナに、深く感謝しており、直接お礼が言いたかったと言って、ハスについてきていた。
すかさず、ソフィアナは、エスターに侍女になる気はないかと、スカウトした。
彼女は、水属性の魔力もちだった事と、
ソフィアナの専属の侍女は、テレッサしかいない。
テレッサ1人では、何かと大変だろうと、考えていたが、テレッサは、元々が市民、公爵令嬢のソフィアナに、もし専属の侍女を探すなら、男爵家などからの令嬢が選ばれる。
それでは、テレッサの立場が無くなる。
同じ、市民なら、テレッサも遠慮なく今まで通りいられると、ソフィアナは考えていたからである。
ソフィアナからの申し出に、はじめは、困り、固まっていたエスターだったが、恩を返す為と、思い直し、通いの侍女をする事にした。
住み込みでないのは、体の弱いハスたちの母をソフィアナが、心配したためだった。
そして、何より、ソフィアナは、街に、エスターの家という、今後、引きこもっている間の活動拠点が、できた事を喜んでいた。




