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ソフィアナ保護

バタン!と、扉に体当たりする勢いで、すごい音をたてながら、現れたのは、モリーンだった。


「これは…これはどういうこと!?」


モリーンは、ベッドで、透明なふよふよした球体状の膜に包まれているソフィアナをみながら、カリトラムに詰めよった。


「落ち着きなさい。どうも、こうもないよ。」

カリトラムは、やれやれと、肩をすぐめる。とりあえず、目に涙を浮かべて胸ぐらを掴み、凄む妹の頭を優しく撫でながら言い聞かせるように、説明する。


「神殿の開かずの扉があるとされている、壁の所で、スペンサーが、説明をしている時に、突風が吹いたんだ。

その後、気が付いたら、彼女は、既に意識は無かった…。

“魂離脱の魔法陣”が、おでこにあるから、何者かに、魂を離脱させられ、魂だけ攫われたと考えているが…。」


「考えているが…では、あらやませんわ!早く助けませんと!このままでは…」


「だから、落ちつきなさいと、言っている…。」


カリトラムは、ひとつ溜息をつくと、珍しく取り乱したモリーンをなだめながら、どうしたものかと、天井を見上げた。


「カリトラム…。」


そんなカリトラムに、静かに話しかけて来たのは、ずっとソフィアナのベッドサイドで、落ち込んでいたベルンゲラだった。


「あっ、ああ、どうした?」


「僕達にも、神殿への出入りを許可してくれ、神殿の中に、何かヒントがあるかも知れない…。何かできるかもしれない……!頼む!」


「いや、いや、許可したら、あの壁を壊すべく、神殿の壁を攻撃するたろ…お前…。

そうしたいのは、わかるが、我々には大切な神殿なんだ、確信が無いのに、そんな許可出せないからな…。


今スペンサーが、全力で調べている。もう少しだけ、我慢してくれ…」


「お兄様…。私も、何かお手伝いできませんか?」


「では、モリーンは、スペンサーを手伝いに行ってくれ…。なんとか…ベルンが、暴走する前に、手段を見つけてくれ…」






その頃…、ハンスは、今は封鎖された神殿の前に立ち、鬼の様な形相で、神殿を睨み付けていた。


護衛を許されず、講堂で、待っていれば、血相を変えて、中に入ったベルンゲラ達の影が出てきた。

何事かと、目を凝らせば、ソフィアナは、ベルンゲラに力なく抱き抱えられている。

大切な妹をあんな姿にした、神殿…その元凶に、ハンスは、今まで、味わった事のない怒りを覚えていた。


何かできないかと、ベルンゲラ達を城に送り届けたあと、神殿に来てみたが、スペンサーにより、神殿は一時閉鎖されていた。

さすがに、他国だ…。

いくら妹の命がかかっていようと、他国で、勝手に封鎖された場所に入ることはできない。

講堂はおろか、敷地内にも踏み込めず、怒りに震えながら、神殿を睨み付けるしかないハンスは、奥歯を噛みしめ、拳をきつく握りしめた。




「はあ。困りましたね。閉鎖されてます…!あれ?あの人は…。」


わずかに聞き覚えのある不快な声に、ハンスは、目だけを向けた。

少し離れたその場所には、小鬼討伐で、一緒に戦った、いけすかない、勇者達3人の姿があった…。


ハンスは、わざと聞こえない振りをして、その場を立ち去るべく歩き出した。


うしろからは、

「あれ?違ったのかな?そうだと思ったんだが…。

あの人が居るなら、あの王子様も居るだろうと思ったのに…。王子様に、一言もらえば、神殿に入るのも、容易になるのに…チッ」


「まあ、しかたないさ、閉鎖までされちまってる。コレが、反応してるのが、どこにある“なに”にか確認したいが…。」


「急な閉鎖だ。ますます、神殿の中が怪しいですがね…。」


そんな、三人の会話を聞き、ハンスはふと、あの時の三人に会話を思い出し立ち止まった。


【「我々は、魔王討伐の為、旅しています。

南の端にあるランカー国から、来ました。その途中で、こちらの村が、小鬼に囲まれていたのを見つけ…。」

「魔王?だと…?」

「はい。わが国には、ランカーの巫女と呼ばれる、神託を賜る巫女が居ります。

その巫女が、16年前に魔王の器が産まれたと宣言なさいました。そして、7〜8年ほど前に、力に目覚めたと神託をなさいました。同時に、勇者ミトについても、神託が為され…

我々は、ミトに勇者の修行をさせながら、魔王の器…」

「神託では、魔王の器は、七つ全ての属性と莫大な魔力を自在に操り、原理、原則なく魔法を駆使して、理りを覆えし、世界の均衡を揺るがし、知識ある魔物を従える。世界を破滅させうる存在…。」


「では、どうやって見つける!?」


「人間であるなら、魔力を隠して生きて居るとは考えにくいので、噂を頼りに探していきます…

人以外だった場合は、こちらの魔導具を使い、魔導具が反応するかしないかで、判断いたします。

まあ、こちらは、人間にも使う事は可能なのですが…。頻回に使えれば、いいのですが、厄介なことに、使うのに、なかなか大量の魔力が必要なんです…。」】


ハンスは、彼らとの会話を断片的に思い出した


『魔王の器を見つけ出す魔道具…だったか…?それが反応したのか?』


ハンスは、気になり、後ろを振り返り盗み見た。


三人が手にして居るのは、あの時に見せていた、魔道具ではなかった。


『あれは…なんだ?だが、魔王の器検索の魔道具ではない…関係ないか…』


ハンスは、煩わしい3人に、また声をかけられる前に、カリトラムの城へ戻るべく歩みはじめた。







「これ、魔王本体の魔力に反応するんだよな?

ここに近づくにつれて、色は濃くなるし、針は全てここを指してるし…。やばいんじゃないか?」


「ああ、やばいだろう。だが、誰も信じちゃくれないだろう。まずは、神殿に入って調査して、証拠をつかみ、確実にしなければ…。相手にされないさ…。」


「ふん。俺がいれば、大事になる前に、倒してやるから、わざわざ騒ぎたてる必要もないさ…。中にさえ入れば、なんとかなるさ…。オレは勇者なんだぜ。」


「そうですね。ミトあなただけで、何とかなるならいいのですが…。

ただね…、なんとかなるなら、ランカーからわざわざこんな物送られてきませんよ…。」

カクヤは、背負っているリュックに目線を向けながら、ミトの楽観的過ぎる考えに、ため息混じりに呟いた。


「ま、もう1人の勇者様とやらも、何処にいるかわからんのに、こんな物を送り付けてくるあたり、巫女さんが“なにか見た”のは、確かなんじゃないか?

魔王本体の魔力に反応する魔道具といい…、まだ見ぬ勇者用の魔道具といい…。嫌な予感しかしないな…。」

珍しくスケンが、苦虫を潰したような真面目な顔で、カクヤの呟きに、こたたえた。



そんな3人の会話は、立ち去った、ハンスには、聞こえていなかった。



ソフィアナさん居ないと、暗くなる…。

しばらく説明?な感じ?になってしまいます。

極力サクサク進むよう、頑張ります。暖かい目で見守りお待ち下さい。


いつも、読んで頂きありがとうございます。

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