神殿の開かない扉
1日遅れですが…。
鬼は外〜福は内〜福は家。
ウイルスは滅!健康は内。免疫は家。
はやく世界が、前の普段の生活に戻れますように…
福の神様〜今年は、大忙しですよ〜。頑張って〜。
今日は、ベルンゲラとソフィアナ、カリトラムと神殿研究の責任者と神殿の見学日だ。
神殿の中は、神聖な場所とされており、本来お祈りに来る事が目的だ。
そして、一般の人は、建物の中でのお祈りのためにも、色々な手続きをこなした後に入るのが普通だ。
だが、そうまでしても、一般の人が入れるのは、講堂の様な広い場所のみに限られていた。
しかし、今回入るのは、神聖な神殿の講堂よりもさらに奥だ。
中に一緒に入るのは、ベルンゲラとソフィアナ、カリトラムと神殿研究の責任者この4人だけとなった。
ハンス、イワン、セヌッシュ達護衛は、神殿の講堂で、待機だ。
当初は、反対していたハンスだが、神殿の中には、カリトラムの護衛も入らないことから、渋々頷いた。
よって、カリトラムの護衛は、神殿の外出入口付近で、同様に待機している。
ちなみに、モリーンは、城で、ソフィアナからもらったぬいぐるみと格闘中だ。
(戦っているのでは無く、錬金の神秘を追究し、せっせと我が子同然に世話をしているらしい。)そのため、今回は、不参加だ。
まあ、彼女的には、王族であるためいつでも入れると、部屋にこもっている。
ソフィアナは、初めてみる物ばかりで、楽しくてしかたなかった。
それに、神殿の中は、神秘的で空気も澄んでいて、なんとも美しかった。
案内役で、一緒に神殿に入った、神殿の研究者であるスペンサーは、壁画や造りについて、目を輝かせながら、饒舌に語っている。
実は、カリトラムのいとこで、王族だ。
しかも高い継承権があったのだが…。
しかし、研究に没頭したいのを理由に、それを放棄した、変り者であると、モリーンから昨日、情報を得ていた。
はじめに、挨拶した時は、どちらかと言えば無口で、必要最低限のことしか話さない気難しい学者…という、印象だったのだが…
神殿に入ってから、説明がはじまれば、その印象は、一気に吹き飛んだ。
カリトラムも、神殿には、興味があり、詳しいが、どちらかと言えば、神殿の洞窟の方だ…。
そう、主に魔物が出てきて戦う方に、興味は偏っている…。
そんなスペンサーの案内で、開かずの扉の前にやってきた。
「こちらの壁が、アーチ状になっている、柄の下は通路になっていると、文献や、壁画からは読み取れるのですが、ご覧の通り壁なんです。
そして、この通路の奥に、神秘の扉がある。とされているのです。この壁から通路を実現させ、神秘の扉をこの目に見れるのをどれほど夢にみているか…」
スペンサーが、壁に手をつきながら、そんな熱のこもった説明をする。
それを聴きながら、ソフィアナは、眉を寄せていた。
『壁…?』
ソフィアナは、スペンサーの掌をみる。
確実に何かを触っているその動きに、さらに困惑する。
『神秘の扉…?アレが?』
ソフィアナには、逆に壁が、見えていなかった。
そして、通路の先にある、扉が見えていた。
言い表す言葉が見つからないほど、忌々しく、赤黒く変色し、苦しんでいるかのように刺々しく歪んだ扉を…。
『神殿全体が白を貴重として、神秘的に、美しく作られているから、余計にあの扉が忌々しくみえる…。怖い。』
普段物を見ただけで、そう感じる事はない。
だが、今その恐怖をヒシヒシと感じ、ソフィアナは、熱弁を振るうスペンサーの話より、恐怖に打ち勝つために、扉から、目が逸らせなかった。
実は、扉を見た瞬間から…。
目を逸らした瞬間に、全てを奪われるような、言い知れない不安や感覚があり、もう動かずにじっとしているしか出来なかったのだ。
そんなソフィアナの異変に気がついたのは、ベルンゲラだった。
整った顔を心配の色に変えて、ソフィアナの耳に近づけ、話の邪魔をしないように、静かに問いかける。
「アナ?どうかしたの?顔が真っ青だよ。」
ソフィアナも、周りには聞こえないような小さな声で、答える…
「ゲラ様…。本当に、そこに壁が?」
「うん?ああ。傷一つないキレイな白い壁があるよ。どうかした?」
「わっ私……。には、
無いんです。見えないんです。
壁…。しかも奥にある扉が…
見えて…ます。
あれはダメです。勘ですが…
あの扉は、見つけてはダメなんやつです。絶対…。
だから、壁に実体のある幻影で隠されて………あ!」
「アナ?どうした?」
《みつけた》ソフィアナの頭の中に、形容し難い、恐ろしく低い声が響いた。
「みつかった!ダメ!イヤ!」
ソフィアナは、首を振りながら、真っ青な顔で数歩、後にさがる…が、
壁の方から、
ブォーン!
と言う、風圧が円を描くように襲いかかり、その風圧が通り過ぎたと共にソフィアナは、その場に倒れた。
「何だ?今の風は?ここは地下で、風が通る場所など無いんですが…」
スペンサーは、周りをみわたす。
ベルンゲラは、それどころではない。
急に、何かに震え出したソフィアナは、何かに怯え、あの吹き抜けた風とともに、そのまま力なく倒れた。
ふらりと力を無くし、倒れかけたソフィアナの体を慌てて抱きとめたのは、それまで側で様子を見ていたベルンゲラだ。
ベルンゲラは、支えたソフィアナの顔を覗き込み、息を飲んだ。
意識を失って倒れているソフィアナの、意識を失ったその顔は、生命力が感じられない。
「どういう事だ?息をしていない…?アナ?
アナ!アナ!アナ!アナ!まって!どうしたの!?」
ベルンゲラは、腕の中のソフィアナの状態に、一気に蒼白になる。
慌てるベルンゲラの声に、周りも異変に気付く…。
そんな中、慌てて、スペンサーが近寄ってきた、
「…まって…。
確かに息はしていないが、これは…
仮死状態だ…魂を抜かれた状態になっている。
ここを…。
これは、この神殿の文献に出てくる、魂を離脱させる魔法陣だ…。
どういうことなだ…?………う〜ん。
はっ!それより、はやく魂を戻さなけれは、本当に死んでしまう…。」
スペンサーは、ソフィアナの額を指差してそう言うと、考えこむが、今はそれどころではなかったと、慌てて思考を現実にもどした。
「死んでない?どっどうすればいい!!!!!?」
「どうもこうも…わっわからない…!
文献にあるこの魔法陣は、開かずの扉の向こうにある…、本当なら扉が開き使えるようになるものだ…
なぜ今、彼女に…?」
「待て、扉の向こうには何があると?」
「扉の向こうには、昔に失われた古の魔法や魔法陣が、あると我々は考察ている。」
「アナは、気を失う前に、見つけてはダメだと言った。我々は、ここで、こうしていていいのか?
あれは、研究して、いい物だったのか?」
「なっ……。」
スペンサーは、ベルンゲラの言葉に、言葉を失った。
《見つけた…。見つけた…。失いし私のカケラ…。これで、私は、復活できる…》
怪しく響く声は、誰にも聞こえて居ない。
「アナ…必ず助けるから、死なないで…」
人形のようになってしまった、ソフィアナの体をそっと抱きしめて、願うようにベルンゲラは呟いた。
「ベルン、とりあえず、落ち着け。一旦、城に帰り、ソフィを仮死状態でも、大丈夫なように治癒魔法師達に、保護してもらおう。どちらにしても、そのままでは彼女の体が、もたない。」
カリトラムが、冷静にベルンゲラを諭し、肩に手をかけた。
ベルンゲラは、ソフィアナの魂を抜き取ったであろう、開かずの扉を睨みつける。今すぐにでも、目の前のあの壁をぶち壊し、扉を見つけて…、なんとかして、ソフィアナを…と、壁に向かい走り出したい気持ちを抑えて込んだ。
そっとソフィアナの体を抱き抱え、カリトラムに言われた通り、城に帰った。
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