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神殿の洞窟

苦行の歓迎パーティーを終えて…

『洞窟だ、魔物だ、魔石だヤッホーイ。』


と、ちょっとおかしく焼けくそ気味なのは、ソフィアナのテンションだ。


モリーンからの依頼のぬいぐるみは、条件付きでベルンゲラから許可がでた。

誰が作ったのかバレてしまった時点で、拒否は難しいだろうとの事と、拒否しない代わりに、普段なら、自分達は、拒否される神殿の洞窟や神殿への詳しい見学を条件に取り付けたと言ったのは、ベルンゲラだ。


だから、ぬいぐるみに使う魔石を取りに今回洞窟に来たわけだが…


しかし、ソフィアナは現在、昨夜のパーティーでの、あの衣装を思い出すだけて、赤面が止まらない。

『早く忘れたい…!』状態であるため、とりあえず、テンションがおかしいなことになっている。

早く意識を洞窟に持って行ければ、いいのだが…



パーティーでは、抵抗虚しく、ソマリを腰に巻き、上半身は、ビキニもビックリな面積の服…。


なんとか、かんとか、モリーンに泣きついて、透けてはいるが、ショールをかけてもらえたかが、恥ずかし過ぎて、誰の顔も見れなかった。


『あの衣装…侍女たちは、みんな褒めてくれたけど、近衛騎士達は、こぞって、みんな目を逸らしていたし…はぁ…。

唯一、カリトラム様だけは、褒めてくれたけど、ゲラ様が、やたらと視界を遮っていた。


しかも、いつもは、何を着ても褒めてくれる、ゲラ様すらも目をそらしていたのよね…。

ハンスお兄様は、目を押さえて、ため息をついてたし…

きっと見苦し過ぎたんだ…。

見てられないほど似合わなかったに違いない…。


民族衣装だから仕方ないから、みんな何も言わなかったけど、似合わないのに、着たくないのに…着ていなきゃならない…なんて…。

もーどんな拷問だよ…!あううう…』


ど、ブツブツグルグル思考が昨日を回るソフィアナ…。


今は、洞窟で戦闘がある事が前提であるため、

普通に動きやすい服である自分に、ソフィアナは、安堵の息をついているのだが…


「おはよう…昨日は、ゆっくり休めたかな?ソフィ、今日は、ソマリじゃ無いんだね、残念だ。」


とは、カリトラムだ。


「おはよう御座います。カリトラム様。私は、もうソマリは、お腹いっぱいです。」


ソフィアナは、昨日の惨事を思い出し、温度のない目で、否定する。



「おはよう。アナは、何を着ても素敵だけど、あんな周りを惑わずソマリより、今の格好やドレスの方が、安心して見ていられる。もう、着なくていいよ。」



とは、ソフィアナの後ろから現れたのは、昨日とは違い、ラフな騎士服のベルンゲラだった。


「え⁈本当ですか?もう着なくていいって!」


ソフィアナは、先ほどまでとは、打って変わりキラキラした笑顔で、ベルンゲラを見た。


「うん。着なくていい。」


優しい笑顔で、答えるベルンゲラ…。


「やだね。独占欲が強過ぎる男は…」


カリトラムは、ボソッと呟く。もう、ソマリを着なくていい!と、喜んでいるソフィアナの耳には、その言葉は、届かず、ソフィアナから、キラキラ笑顔を向けられている、ベルンゲラには、しっかり聴こえていた。


無言の笑顔で、2人が睨み合っていたが、ソフィアナは、もう、ソマリを着なくていいと言う事で、憂がなくなった意識は、周りの音より、目の前に洞窟がある事で、魔石にすり替わり、それだけに頭がいっぱいなりつつあった。





そして、こう言う時の切り替えも早かった…。


「さあ。行きましょう。」


ソフィアナ、ベルンゲラ、ハンス、イワン、セヌッシュ、カリトラムと、カマトリヤの兵が20人程で、洞窟の中向かい、出発した。


ちなみに、モリーンは、カリトラムから厨房を許可された事で、厨房にこもって、昼ご飯の準備をすると意気込んでいた。


ソフィアナも、厨房に残りたかったが、魔石の魅力に抗えなかった…。




神殿の洞窟内部は、ロジェスチャー国の洞窟とあまり変わりは無かった。

もちろんソフィアナ達は、昨日イワンからこっそりもらい快適シャツにした物を着ている。


快適シャツは、別に、最奥を目指すわけではないので、魔力を隠す為にも、あえてカマトリア国の人には、提供していない。

カリトラムには提供しようと思っていたが、ベルンゲラが、反対した為、シャツの事は、秘密にした。



洞窟の内部は、あまり変わらなかったが、出てくる魔物が、違った。

熱い地域柄なのか岩や、砂など、無機質に近い魔物が多く出てきた。サソリのような魔物もいたが、すぐに逃げてしまう。

硬さと力強さに驚いたのは、ゴーレムだった。

岩亀と、大きさは変わらないが、岩亀より硬かったのだ。

まあ、ベルンゲラとハンスで、ちゃっかり倒して、参加できなかった、カリトラムに2人が怒られていたが…。


後は、闇魔法を使うアンデント系の魔物が出た。

スカル騎士と言う、骨だけの騎士は、何度倒しても蘇り、剣士としての太刀筋もいいから、カリトラムのお気に入りらしい…。


「無限体力勝負」


と、カリトラムが叫びながら、嬉々として戦っていた。

終了したい時は、魔道具の光り玉を投げこんで、アンデントが消えているうちに、帰るらしい…。

なんかそれ、魔物ですか?って感じの危機感なんだけど…、まあ、カリトラムだから、出来ることだ。

普通は、体力が保たずに、やられてしまう…。だろう…。


兵士20人は、どちらかと言えば、護衛と言うより、加減を忘れる、カリトラムを止める専門だと、この時、ソフィアナは気が付いた…。


ただ、残念なのは、アンデント系は、倒しても魔石にならない。

アンデント系は、魔石を壊せば蘇らないらしい。

だが、魔石を壊したら、魔石は、アンデントと共に灰になった…。

ちなみに、ベルンゲラが試したのだが、カリトラムに叱られた…。なぜって、壊したら無限体力勝負ができないから…

カリトラムは、あえて、魔石を避けて切っている。


軽く戦い、昼には洞窟から出ていた。


取れた魔石は、ゴーレムの物と、細かな砂の魔物の物だけだったが、ぬいぐるみ一体に使うなら、だが、まあ、充分過ぎるものだった。



城に戻れば、モリーンが、すき焼きと、あんパンを作っていた。

料理名がわかるのは、ソフィアナだけなのだが、もちろん、ソフィアナの瞳は輝いていた。


「モリーン様、このあんこって、簡単に作れますか?」


「ええ、作り方さえ知ってれば、誰でも…!

昔はよく子供に、アンパンとかメロンパン作ってたのよ。」


と、耳元で呟かれた。


『おお!リサさん達に教えてあげなきゃ。』

「後で、レシピと手順教えて下さい。」


「見返りは?」

モリーンが、片眉を上げて、ニヤリと笑いながら、ソフィアナに聞く、


「常時動いている、例のぬいぐるみなんていかがですか?そのかわり、もう少し色々レシピください。」


「ふふふ越後屋…そちも悪よのう…」


「いえいえ、殿にはかないませぬ…ふふふふ」


なんて、小声で2人が戯れあっているのを会話は聞こえていないが、カリトラムとハンスは、兄の顔で微笑ましくみていた。


ベルンゲラのみ。何か嫌な予感がしていた…。

『アナまたなんかやらかす気じゃないよね…⁈』


楽しいランチを済ませて、ソフィアナは部屋に、ぬいぐるみを作りに行った。


希望を伝えるため…

いや、盛り盛りに盛り込むためモリーンは、ソフィアナについて行き、監視の為にベルンゲラもついて行った。


興味があると、カリトラムも付いてこようとしたが、モリーンの自分ほどの興味が無い人には、見せたくないとの変な独占欲に、午前中の公務の遅れを指摘され、ついてくるのを拒否されていた。



部屋に着いて、魔法陣の本と先程の魔石を準備したソフィアナは、

「じゃ、まずは…」と、モリーンに話しかけた。



いつも読んで頂きありがとうございます。

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