着いた。
ロゼスチャー国の東側に位置するカルマイヤの国。
太陽が、ギラギラと照り付けていて、暑い。
が、まあ、熱いけど、私は、内緒でエアコン付き快適なドレスを着ているから問題ない。
ゲラ様や護衛のイワンやハンスお兄様も、あの洞窟で快適にしたシャツを常時使ってるから、まあ、私がドレスにその機能を付けていても、怒られはしないだろう。
カルマイヤ国の気候は、どうやら、アラブの様に熱帯で乾燥している。もっと東の奥地には砂漠が広がっているらしい。
東に移動しているだけで、これほど気候が変わる事に驚きが、隠せなかった。
西側にある、マハルニア国とロゼスチャー国は4〜5日移動にかかるのに、それほど気候が、変わらなかったから余計にだ。
馬車で揺られて7日。
カルマイヤ国に着いた。
先に帰国していた、カリトラム皇太子とモリーン皇女は、カルマイヤ国の民族衣装になって出迎えに来てくれている。
カルマイヤ国の民族衣装といっても、私には、どうしても、某有名作のアラ○ンの装いにみえる。
余りに陽射しが熱いと、痛すぎて肌を出せないのは、わかる。中は、薄着で、マントの様に体を覆う布…。うん。やはりアラ○ンだ。
女性用は、アラ○ンというより、サリーと言った方がわかりやすいだろうか…。
モリーンが着ているのは、白地に金の刺繍が成された、民族衣装だ。なんとも美しい布で、見た目も手触りもビロードのようだった。
口元を隠す、同じ色の薄い布と小さな飾りが、キラキラと光を反射して、モリーンの妖艶さが、増したように思う。
モリーンが、ロゼスチャー国に居た時は、ロゼスチャー国の装いをしていたのだと、この時初めて知った。
「ソフィ。いらっしゃい。待ってたわよ。
さあさあ、こっちに。そんな格好では、暑いでしょう?
わざわざあなたの為に、この衣装…ソマリというのだけど、これを作ったの。着てみて頂戴。」
と、待機の為に建てられたであろう、カルマイヤ国のテントに連れ込まれた。
私の為に準備されていたのは、絹の手触りが気持ちいい、濃紺色のソマリだった。
濃紺の中に散りばめられた純白と金を混ぜた色が、様々な模様を描いてこれも、また見事な物であった。
ソマリの中は、ビキニもビックリな可哀もないもので、どうしても心許無い…。
「風でめくれたら、恥ずかしくて死ねる」
と、モリーンに言えば、
「確かにね。」と言いながら、笑われた。
「そうならないように、下に重石になる金貨のような物や、宝石がつけられているんだから、大丈夫よ。城や、屋敷の中では、ソマリを腰から下に巻き直して、上はそのままよ。今からそれじゃ、城や、屋敷には入れないじゃない?」
と、笑われてしまった。
そして、ゲラ様のアラ○ン服…もとい、ソマリも、私とお揃いの布を使ったものであった。
頑なに、快適シャツだけは、脱がすに、マントの様なソマリを頭から羽織ったゲラ様は、いつもより、ミステリアスな感じになり、ついつい見惚れてしまった…。
が、私の装いを見たゲラ様に、赤面され、中まで見透かされるはずがないのに、見透かされているようで、恥ずかしくてしかたなく、そそくさと、モリーンの後ろに隠れたのは仕方ないことだ。
そして、恥ずかしくて(実際には熱くて)たまらないから、ドレスを返してと頼むのだが、モリーンは、受け入れてくれなかった。
しかたないから、こっそり騎士が鎧の下に着る、薄いシャツを一枚イワンからもらった。
そして、こっそり快適に改造して着た。
可哀もない下着姿が、安心できる面積になって、少し心が落ち着いた。
身長差から、ちょっとしたミニワンピースの下着だ。ハンスお兄様のでは、大き過ぎて、肩が落ちてしまうから、小柄なイワンの物はベストだったのだ。
快適、安心で余裕が出た私は、周りに目を向けた。
従者や騎士達、護衛、侍女も、軽くソマリに着替えていた。
これからカリトラム様達が住う城に行くのだが…。
ハンスお兄様…。
かっこよすぎじゃないかしら…。
真っ赤なソマリをマントのように翻し、馬に跨るお兄様。
絵になるなぁ…。
と、ぼーと、見ていれば、
「ハンスは、なんであんな派手なのを選んで着ているんだ?」
と背後から声がした。
振り返れば、お揃いのソマリを着たゲラ様だ。
「さあ…。なぜでしょう。
皆様、灰色か緑の様な色を選んでみえますが…。
侍女達は淡いピンクや淡いオレンジ、淡い黄色などの淡目な色合いが多いですね…。
あの様な、真っ赤な赤は………。
お兄様どうかしたのかしら…?まあ、お似合いだから、いいんですが…」
「まあ、確かに…。似合ってはいるな…」
「何、言ってるんですか、お二人とも…。
ここ他国ですよ…。
目立つものは、だいたい高い地位の者です。
暗殺者なんかが、迷った時、標的にするなら、目立つ者でしょう。ベルンゲラ様が、濃紺をお召しになっていますから、ハンスさんは、あえて目立つ色を選ばれたんだと思いますよ。」
と、こっそり告げてきたのは、イワンだ。
なんと!護衛の為の忠誠心からなる行動だった。
『お兄様どうかしたの?』なんて思ってしまったことが、申し訳ない。
「そうか……。」
と、呟いた、ゲラ様も、きっと同じ事を思ったはず…。
一行の着替えや準備が終了して、これからカリトラム様達の城へ向かい、夜には、歓迎パーティーに出席する。面倒な行事だが、出席さないわけにはいかない。
何か美味しいものあるかな?
くらいの楽しみしか、ないことが悲しいが、後日からは、モリーン様と錬金の話や、神殿の話、洞窟に行く予定もある。
やる事は沢山あり、楽しみも沢山ある。
歓迎パーティーくらい、なんとか無難に、我慢で乗り越えようと、心に決めたのだった。
さてさて、同じ頃、
場所は変わり、カルマイヤ国の城下の一軒の酒屋に…。
「はははは。こりゃーいい国だな。女はみんなこんな格好なのか?わはははは。」
品のかけらもなく、豪快に笑い女達を両脇に侍らせている体格のいい男に、
「あまり飲み過ぎないでくださいよ。みっともない。数日して準備できたら、神殿の洞窟とやらを調べに行くんですからね。」
神経質そうな、学者風情の男が、その様子を眉をひそめてみながら、苦言を呈した。
そんな様子に、慣れたものだと、我関せずな態度の魔導師風情の男性が、酒を傾けながら学者風情の男に問いかけた。
「その神殿だか、洞窟だかは、誰でも入れるのか?」
学者風情の男は、面倒そうに、
「いや、国から許可を取らなきゃならない。」
と、昼間調べてきたことを告げれば、
体格のいい男が、横柄な態度で、
「はははは。大丈夫だ。この勇者様が、直々に調べに来たと言えば、すんなり許可は下りるだろう。」
と、あまり頭のよろしくない発言をする。
「まあ、こちらの国は、勇者信仰がある国ですから、動きやすいとは思いますが…」
そう簡単に行けば、苦労しないと言わんばかりに、学者風情の男は、ため息混じりに言い返す。
「酒と、女にばかりうつつを抜かさないで下さいよ…。
勇者ミト…」
「残念だな。もう、ミトは酔っちまってるぜ、カクヤ。クククク。」
「スケンそうなる前に、なぜ止めないのです…。」
「まあ、カルマイヤ国に着いたばかりだ。いいじゃないか。」
強いが、態度と頭が残念な勇者のお守りに飽き飽きしているカクヤは、協力体制のないスケンを軽く睨んで、ため息をついた。
さっさと食事を済ませて、明日の手続きやら聞き込みやらの準備をしようと、目の前にある食事に集中しようと座り直した。
その拍子に、置いていた荷物が目に入った。
それは、今朝方に、特殊な魔道具で、国から届けられた荷物と手紙…。届けられた荷物とそれに対する指示…を思い出し、先程よりも、大きな溜息がでたのは、仕方ないことだった。
なんだか、厄介な者たちも、来ていることをソフィアナ一行は、まだ知らない。
いつも拙い文章を読んで下さり、さらには、ブックマークして下さっている方々ありがとうございます。




