馬車の中
改まして、今年もよろしくお願いします。
今、私は、馬車の中。カルマイヤ国に向かっているの…。
笑顔のゲラ様が、怖くてずっと外をみてる。
ドミニク様め!許すまじ!!
セヌッシュ様の第一印象を褒めた事をゲラ様に告げ口した…。
それにより、嫉妬心が湧いたらしいゲラ様は、事あるごとに、自分を褒めろといいよってくる…。
さらに、セヌッシュ様と比べようとして…。
正直鬱陶しい…。
でも、そんな事言ったら、また何言われるか…。
ここは、黙ってニコニコしてるに限る!
小さなため息が出そうだ。
先程休憩した場所から、馬車に、ハンスお兄様が乗った。
いや、護衛として、先頭に居た、お兄様に、念を送って、呼び寄せ、一緒に乗ってもらった。
「ハンス…、一緒に乗らなくても良かったのだぞ。」
「いえ、ソフィアナに、少しばかり、話を聞きたいことがありまして…。道中長いのです。長い休憩中くらい妹と居てもいいでしょう。」
「ふん。休憩が済んだら降りろよ!」
「心得ました。」
「お兄様…。私は、一緒に居たいですわ…。」
「ソフィ…。私も仕事できてるんだよ。毎回、殿下から君を庇う盾ばかりやってられないよ。」
「そんな…。」
「それはそうと、セヌッシュと、思い人は、どうなったんだ?」
「はい。上手くいったみたいです。」
「何の話だ?」
セヌッシュの名前に反応した、ゲラ様が、話に割りこんできた。
「はい。実は…。セヌッシュ様は、マリー様の侍女のサラ様と、相思相愛でしたが、お二人とも互いに気持ちを隠して、すれ違っていたんです…。
だから、先日、お兄様に、協力頂いて、2人きりになる様にして差し上げたんです。」
「2人だけにしただけでは、関係なんて変わらないだろう?」
「はい、だから、少し芝居と言うか…嘘も方弁言うか…」
「芝居?嘘?」
「はい。侍女達に、その日は、好きな色のリボンを使った、指定の髪型をさせました。私とマリー様もです。」
「それは、なかなか異様な風景だろうな…。」
「はい。私や、マリー様までなので、違和感だらけかと…。」
「で?」
「お兄様に、指定の場所の書いた紙と、宛先のない手紙をセヌッシュ様に渡してもらいました。
セヌッシュ様が、指定の場所に行く時に、偶然を装って、話しかけて、髪型について、指摘してもらい、髪型の意味を少し違えて教えました。」
「まて、指摘されなかったらどうするのだ?」
「いえ、朝からやたらと同じ髪型をみていれば、何かを感じて居ましたでしょうし、貴族の男性は、女性を褒めるのは、礼儀とされています。となると、あまり知らない女性を褒めるなら、まず、髪型やドレスが1番褒めやすいので、目には確実に入ると思っていましたし、指摘もすると思っていましたから…もし、指摘されなくても、こちらから話を振るつもりでした。」
「では、違う意味とは?」
「この髪型は、ちょっとしたおまじないで、今度の旅の無事を願うためにやっていると…。
“相手は誰でもいい”と、前置きして、皆思い思いに、大切な人の無事を祈っています。と、印象付けました。
そして、マリー様は、黒のリボンを編み込み、“ソフィアナ様のご無事を願って、黒のリボンを髪に編み込みましたわ。”と、いい、さらにリボンで、人を連想させました。
マリー様の金髪に近い薄い緑の髪に、私の黒が混ざったように編み込まれれば、余計に印象にのこります。
あとは、
「相手の色が自分の色に、埋れることで、自分が、相手を抱きしめているみたいじゃないですか?守っているように…」
とかなんとか、それっぽく理由を付け加えて…。
「もしかしたら、セヌッシュ様の事を祈って居る人が、いるかもしれませんね?
深い緑のリボンをしている子を探してみたらいかがですか?」
とか意味深に言っておきました。
ちなみに、深い緑は、サラ以外は誰もしていません。
その色だけは、誰もしない様に、言いつけておきました。
あとは、セヌッシュ様が、サラの髪型を見てどう思い、どう行動するかでしたが…。
幸せそうに、帰ってきたと、マリー様は、言ってみえたので、上手くは、いったんだと思います…。」
「今回は、デバガメはしなかったのかい?」
「流石に、マリー様と一緒に居ましたから、できませんでした。」
「上手くいったなら、良かった。だが、また、長旅で離れ離れだな。」
「はい。きっとお二人とも切ないでしょうね…。」
「ところで、ソフィアナは、何色のリボンをしたんだ?」
「え!?私は、さぁ…。侍女に任せたので、何色かは、わかりませんわ…ほほほほ…」
「あとで、セヌッシュにでも聞くか…」
なんと!?ゲラ様…物騒なこと言わないで下さい!!!
「まあ、ですから、セヌッシュ様を褒めた事には、他意は無かったのですよ。どちらかと、言えば、マリー様や、サラさんの目線でみていたので…」
「ふ〜ん。でも、褒めた事は嘘ではないのだろう?僕は君に褒められた事などないぞ…!」
「褒められるような事をなさってないからでは?」
きゃーお兄様、火に油を注がないで!!!!
「はっ恥ずかしい事は、口に出すものでは、ありませんよね。ほほほほ…。」
「どう言う意味だ?」
「え?あっ。褒め言葉を口に出さない理由は、3種類有ると思うんです。まず、何も思わないから、出さない。出す言葉が無いから出てこないのは、仕方ないですよね?
二つめは、思っているけれど、どう話したらいいかわからない。言葉にできない。出てこない。これも、言葉に出ないのでは、仕方ないではないですか。
三つ目は、褒め言葉を思い、頭の中に、あるけれど、相手にそれを伝えるのが、恥ずかしい場合があると思うんです。これも、恥ずかしいので、仕方ないと思うんですよ。」
なんとか適当に、言葉に出さない事を仕方ない事にすり替えてみた。
「で、アナは、どれなんだ?」
「え…!っと…そっ想像にお任せしますわ…。」
特に何も思ってないなんて、いったら、えらいことになる〜。
「ふ〜ん。」
なんですか!?その疑いの目は…。なんかわからないけど、地雷でしたか?逃げようとしたのに、地雷を踏み抜きましたか?私!!
「仕方ない。恥ずかしいからって思う事にしよう。」
と、ゲラ様が、ニヤリと笑った。
あ!だめな奴。なんか、私適当な事を言って、自分で、穴を掘って落ちた気がする。あああああ…。
「うん?何かな?ああ。僕への褒め言葉が沢山出てきて、恥ずかしいんだね。ふふふ…」
きゃーちがーう。
「違います!」
「ああ。恥ずかしいから、否定するんだったよね。わかったよ。」
なんか、生優しい目で見てくる!
違う!違うのに!
さらに違うって言う方が、肯定して聞こえる奴だ!!
これ、適当に揶揄われるネタを提供しちゃったんじゃ無い!?私!
あう。
その後は、馬車で、ハンスお兄様が、乗る前より項垂れる事になった…。
お兄様は、次の休憩場所に着くと、やれやれと言わんばかりに、自分の仕事に戻っていき、馬車には、ゲラ様と、私と、アマニになった…。
アマニはずっと空気と化している。
そのスキルは何!?私にも教えて!




