マリー様の部屋へ
マリー様と約束した夜。
皆んなが寝静まったのを魔法で確認して、窓からマリー様の部屋のいくつか隣の空部屋のベランダに、風魔法を使ったジャンプで移動した。
ベランダから、窓の鍵を開けると、中に入り、慎重に廊下に出た。
マリー様の部屋の前の護衛には、魔法で、睡眠を促しておく…。
直ぐに寝たので、その隙に、部屋に入る。
マリー様は、奥の寝室に居るようだ。
コンコンと、ノックをすれば、静かに扉が開いた。
「ソフィアナ様、すごいですね。護衛はどうやって?」
「ちょっと差し入れに睡眠薬を…」
と、ごまかしておく…。
部屋に入って、ソファーに座るなり、前のめりに聞いた。
「マリー様。マリー様。昼のセヌッシュ様と、サラさんの事、教えて下さい。」
「ふふふ。やはり、気付いてみえたのですね?」
「だって、セヌッシュ様…あからさまに、熱い目してましたよね?」
「あれで、本人達は、隠してるんですよ。お互いに…」
「まあ!!!」
「私が、昔セヌッシュ様をお慕いしていたことは?」
「はい、噂でですが…」
「あれは、サラの、影響なんです。
サラとは、幼い頃から皆一緒に育ちました。
サラとセヌッシュ様は、同じ年で、私より仲が良かったんです。
姉の様に慕う、サラからいつも、セヌッシュ様のいいところばかり聞かされていたので…、私も、セヌッシュ様が、好きでした。
でも、年頃になり、気が付きました。
サラもセヌッシュ様を好きなんだと。
ですが、サラは、私が、セヌッシュ様を好きだと知り、私との婚約話しが出たころから、身を引き、セヌッシュ様に会わなくなりました。
それに、サラは自分が、男爵家の出である事から、身分を気にして、気持ちを隠しています。
セヌッシュ様は、セヌッシュ様で、急に自分を避けるようになったサラに、自分が何か言えば、命令に成りかねないと、一歩引いてしまい…。
私が、お城に来る時に、サラが来る事を知った、セヌッシュ様は、会いたくない自分が居るせいで、サラがいずらくならないように、サラがお城になれるまででもと…。自分が、修行に出る形で、出て行ったのです。
お互いに、思いあっているのに、私が邪魔してしまったようなものです…。
サラは大事な姉のような存在なのに…。
幸せになって欲しいのに…。」
「ですか…。ふー。それは、じれったいですね…。」
「ソフィアナ様…どうしたらいいと思いますか?」
「うーん…。どっかに2人閉じ込めてみます?」
「え!それはちょっと…。」
「では、こんなのはいかがでしょうか………」
マリー様と、悪巧み…ではなく、相談したあと、部屋に戻る為に、廊下に出た。
空き部屋まで行く、ほんの少しの間に、いらない物を見つけてしまった…。
見なかった事にしていいかな…。
うん。見無かったことにしよ…う…。
とおもったのに…しっかり、ガッシリ肩を掴まれた。
「こんばんは。ドミニク様。こんな時間にこんな所でどうされましたか?」
「こんばんは。ソフィアナ嬢、君こそこんな時間に、こんな場所で、何をしている?」
「散歩よ。」
「では、僕も散歩だ。」
嘘つけ!絶対マリー様の様子みにきたんだろ!
護衛にでも、様子を聞くつもりだったか!?
あ!!!
やば!
護衛!起こさないと!
ドミニク様に気づかれる前に、起こさないと!!
慌てて、睡眠を促していた魔法を解く。
護衛は、何が起きたか分からない様子で、瞬間的に、居眠りした様に、錯覚したらしく、頭を振ったり、顔を叩いている。
「散歩なら、少し付き合ってもらって、いいか?」
珍しくしおらしく聞いてきた。どうした?と不敬にも思ってしまう。
「えっええ、こんな時間ですし、あまり長くは、外聞が悪いので、庭を横切る間(偶然すれ違った)、と言うのはいかがでしょう?」
「ああ、それで、かまわない。」
「で、お話と言うのは?」
「………」
おーい。無言ですか?話があるって言ったのは、ドミニク様ですよ〜。なんも言わないなら、私、部屋帰りますよ〜。
「ドミニク様…私、お部屋に…」
「待て…。見捨てるのが早すぎるぞ!」
「え!?私に助けを求めてたんですか?」
ドミニク様は、罰が悪そうに、フイッと横をむいた。
この人マリー様に関連する事だけは、必死よね…。
「しかないですね…!で、マリー様の何が聞きたいんです?」
「なぜ!!?」
「え?ドミニク様が、私に話かけるなんて、マリー様関連以外無いですよね!?」
「たったしかに…」
「で?」
「………。あ。マッマリーが、昼に、そなたとお茶会をしたと聞いた…。」
「はい。しましたが、何か?」
ははーん。わかったぞ。私達のお茶会中に、セヌッシュ様が、挨拶に来た事を誰かから聞いて、マリー様と、セヌッシュ様が会った事が不安なんだな…!
何を問いたいか、わかったが、あえて、無視する。
「いや、その。変わった事はなかったか?」
「特には。ございませんが?」
「うそだ!」
「変わった事と言われましても、何がどうしたら変わった事なのかと?」
「くっ……!」
「ああ。そう言えば、騎士が挨拶にきましたよ。」
ニヤリと笑いながら、そう言えば…。
「それだ!!」と、顔を上げるドミニク。
分かり易すぎである…。
「どっどうだった?」
「とても、真面目で、見た目も麗しく素敵な方でしたね。あれは誰もが、惚れてしまうタイプですね。」
「そなたの感想など聞いてない!マリーの反応だ。」
「ああ。そう言えば、マリー様の初恋の方だったんですよ。あれだけ、素敵ならうなずけますね。」
「マリーが、そう言ったのか?」
目に見えて、ドミニク様が落ち込む。
「ええ、初恋の方だった。と、過去形で、仰いましたよ。」
「え?」
「もう少しマリー様を信じてあげては、いかがですか?」
ついついジト目で見てしまう。
「あ。いや、マリーの事は信じているが…。自分に自信が無いんだ…。」
なんか、言い返して来ないドミニク様は、調子が狂う…。俯いて、小さい声でなんか言ってる…。
「では、では、マリーが、大好きと言ったのはなぜだ!?」
「大好きですか?」
「ああ。お揃いとか…嬉しいとか…」
大好きね…、嬉しい…、お揃い…
お揃い…
今日のお茶会で、そのワードは、リボンの話よね…。
「はあああ。」
私は、大きなため息をついた。
「今日の、お茶会で、確かにマリー様が、大好きと言う言葉と、お揃いと言う言葉を仰いましたが、セヌッシュ様に対してではありませんよ?
セヌッシュ様が私達、皆に、下さったお土産のリボンに対してです。そしてお揃いなのは、マリー様と、サラさんです。ちょっとした、私の悪戯で、セヌッシュ様もお揃いですが…まあ、それに他意はありません。」
「そっそうなのか?でも…お揃いなんだな…」
うわ面倒臭。
「後は、ご自分で、マリー様に聞いた方がよろしいですよ。お茶会を覗き見して、勘違いしましたって!」
「!!!!!!」
「のっのぜきみなど…しっっていない。たまたま前を通っただけだ。」
「はいはい。話の内容がピンポイント過ぎて、バレバレです。心配なら、心配と、マリー様に仰ればいいのに!」
「な!そんなかっこ悪い事言えるか!」
「うわ!今充分カッコ悪いですけどね!」
「く!口の減らない…。ふん。覚えてろよ!」
「すいませんね〜。ニワトリより馬鹿なんで、3歩歩く前に忘れます。では、ヘタレなドミニク様、おやすみなさいませ。」
「な!!!」
私は、ドミニク様の返事が来る前に、さっさと、この場から離れた。
この後、この時の意地悪を根に持った、ドミニク様による復讐が成功するなど知りもしなかった…。
カルマイル国に出発する寸前に、事もあろうにゲラ様に、私が、セヌッシュについて、
「とても、真面目で、見た目も麗しく素敵な方でしたね。あれは誰もが、惚れてしまうタイプですね。」
と、評価していたと、告げ口したのだ。
ドミニク様を煽るため、少しいや、だいぶわざと褒めた言い回しにしたから…。
それを聞いたら…。
ゲラ様は…。
笑顔が、怖くて、
馬車に乗りたくない…。
と、出発直前になるのでした。
いつも、読んで下さる皆様に、感謝を込めて…Merry Xmas




