救出と脱出
「どういたしましょうか?ソフィ…」
「し!名前呼ばないで。大丈夫。時間稼ぎすれば、近衛騎士様(お兄様)が、王子の迎えにくるわ。そのゴタゴタに紛れて、妹さんを迎えにいき、帰りましょう。さっき屋敷を探った時、地下の牢屋に何人か子供が居たから、そこにいるでしょう。
とりあえず、王子を殺されるわけにはいかないから…」
「え⁈」
ハンスと小声で話していると、今度は、第1王子から声が漏れた。
「⁈」
『あ。確か第1王子は、水と風…この2人優秀だわ…子供だから、まだ、使いこなせないと思ったのに…。風属性の魔法で、私達の会話聞いたわね…』
「おい。お前達、何者だ⁈名前は…⁈なぜ、われわれの迎えが来ると⁈」
第1王子が話かけてきた。
「・・・。とっとりあえず、王子様?迎えが来るにしても、時間稼ぎが必要です。魔法使えますか?」
「っつ…。われわれは攻撃魔法は、使えない。強すぎて、まだ制御できないのだ…使えは、街が半壊する…」
「半壊?でも、恐れながら、先程、魔法使われてましたよね?」
「日常魔法は、大丈夫だ。だが、それ以上特に攻撃魔法となると、制御できないのだ…。」
王子は、悔しそうに呟いた。
「防御は?」
「防御は、攻撃魔法と比例している。使えなくは無いが、制御できない。から、瞬間的にしか…持続は無理だ…」
「わかりました。とりあえず、身の危険を感じたら、全力で、防御してくだいね。あと、私達の事は、居なかった事に…。黙っていれば、大丈夫です。何も聞かれません。お城から抜け出した、事は聞かれるかもしれませんけどね…では、私達を居なかった事にしてくださるなら、お二人に、今夜のみ魔法の制御をお授けします。お約束できるなら、お2人とも手を…」
「兄上だめだ。彼女若干だが、催眠魔法を使ってる…。」
第2王子が、手を出しかけた第1王子の手を掴んだ。
「チッ。はぁー。ちょっと、手を掴みやすく誘導しただけではないですか…」
「なんだそのわがままないいわけ…。信用なるか!」
「とりあえず、私達の目的は、あなた方の護衛ではないのです。私には時間が無いし、ある程度魔法が使えるなら、ご自分の事は、ご自分でなんとかしてもらおうと、思ったんですわ。この状況も、どうせ自業自得なんでございましょう⁈風の噂では、本日第1王子様は、急病なはずです。」
「なっ。王子より大事な事だと!」
王子2人は、自分達が中心にならない事と、自業自得と言われ、息を飲んだ。
「あら、こんな小娘に、何かご期待になられてて⁈」
「いや、そんな事は…」
こそこそと、そんな話をしていると、廊下が慌ただしくなった。
扉が勢いよく開かれ、そこには、息を切らせた奴隷商が居た。
昼間みた顔より顔は、青ざめていた。
「なんて事だ…なんとしても、この事は、隠さねば。ただちに、この4人を始末しろ。今もこれからもここには誰も居なかった。わかったか?」
『4人⁈あーもー仕方ないわね。』
ソフィアナは、手をおでこに持っていくと、ふらっとふらつき、2人の王子の方へ倒れた。
反射的に、王子2人は、ソフィアナを支えた。
その瞬間、ソフィアナは、2人に今夜限りの魔力制御魔法陣を腕に付与した。
「さて、王子様方、その魔法陣がある腕でなら、攻撃魔法が、制御できますから、頑張って。朝日が出たら、その魔法は解けますからよしなに〜。くれぐれも防御を中心に。御身大事になさって下さいね。あと、お約束はお忘れなく。私達はここには居なかった。では」
ソフィアナは、2人にそっとそう囁くと、立ち上がって、自分達の周りにいる、数人の誘拐犯を風属性の魔法で、吹き飛ばした。
「な!王子の魔法か!?はやく、みなを集めろ。どんな手を使っても、この4人を殺せ!」
奴隷商はそう叫び、一歩後ろに下がる。
「ハス行くわよ。」
「え⁈でも、王子様方は…。」
「大丈夫よ。もう少ししたら、お兄様が到着なさるわ。それまでに、とりあえず、ここから逃げないと、私がすごく困るから。行くわよ。」
ソフィアナは、ハスの腕を掴み風にのり走った。先程、奴隷商が、入って来たドアから飛び出した。
その後、部屋からガシャンと、鉄柵がぶつかるような音がしたが、ソフィアナは見なかった事にした。
扉が閉まる瞬間に、目の端に見えた光景は、王子2人が、上から落ちた鳥籠のような、鉄柵に囲まれていた。
周りの男達は、後の2人はどこに行った⁈探せ…とか叫んでいたが、ソフィアナは、知らないふりをする。
『あれなら、防御し易そうね。そして、あの現場を近衛に押さえられたら、確実に言い訳はできないわね…』
頭の隅で、そんな事を考えながら、地下へ向かう。
もちろん、地下の子供達を助ける為に…
『奴隷商は、確実に死刑でしょう。子供達を全員逃しても、何も問題にならないわね…。』
ソフィアナは、力のある王子より、地下の力無き子供達を選んだ。
王子2人を囮にした事は、誰も知らない…
地下には直ぐに着いた。
見張りは、精神魔法で、眠らせ、見張りの持っていた鍵で、牢屋の鍵を開ける。
「エスター」
鍵を開けると、ハスは牢屋に飛び込んで行った。
「おっ、お兄ちゃん⁈」
エスターは、牢屋の奥の壁にもたれながら、伏せていた顔を勢いよく上げ、立ち上がった。
そして、ハスを確認すると、飛び付いていった。
「怖かったよ…お兄ちゃん…」
「ほらみなさん、鍵開けましたから、逃げて下さい。もう少ししたら、この屋敷には、騎士が雪崩れこんできます。助けを求めれば、助けてくれます。」
「あっあの⁈ソフィアナ様?みな寝てますが…」
子供達は、先程の見張り同様、みんな眠らせていた。ハスからエスターの特徴を聞いていたので、エスターのみ、眠らせていなかった。
「ああ。さっきの言葉は、私達が居なくなって、目が覚めたら、思い出すように、魔法をかけてから、声をかけたのよ。緊急時、子供は、誰が敵で、誰が味方なのかとか、どうしたらいいか、わからないでしょ?」
ソフィアナは、優しい顔で笑った。
そして、騎士達が来る前に、ハスの家へ向かった。




