三角関係?
「ふふふ…。女性同士のお話に入ってくるなんて、不粋ですわよ。ベルン様。」
モリーンは、皇女の顔を取り戻し、妖艶な流し目を向けながら、扇で口元を隠し、ベルンゲラに微笑んだ。
「ゲラ様…。先程は、失礼しました…。」
ソフィアナは、ベルンゲラの顔をみるなり、先程の肉体美が、胸筋が…腿の硬さが…。
モリーンに、思考を持って行かれていた、さっきよりも、何故か記憶として思い出す方が、リヤルに艶かしいのが、脳裏にチラつき、右手の感触まで思い出せは、もー顔を赤めずに居る事なんて無理だ。
そんなソフィアナにつられて、ベルンゲラもついつい赤面する。
そんな2人を見比べると、モリーンが、
「あー若いっていいわね〜」
と、ボソッと呟いた。
年齢的には、ベルンゲラが18、ソフィアナは16、モリーンは、17歳だ。
中身の年齢を知っていて、中身が29歳なソフィアナには、そのニュアンスは、よくわかるのだが…。
他からみれば、
「君も、充分に若いじゃないか…。何を言っている⁈」
と、ベルンゲラが、今この空気を紛らわせるように言うが、それは、正しい反応だ。
「あ〜。え〜っと。私達、とっても仲良しになりましたのよ。ほほほほ。
ソフィアナ様が、正妻なら、まあ、側室でも、私、構いませんわ〜。ふふふふ…。」
「だから…」
ベルンゲラが否定しようと、口を開くよりはやく、ソフィアナが、食い気味に、声をあげた。
「え!?お待ち下さい。モリーン様は、皇女様です。
ベルンゲラ様と、ご結婚となれば、正妻となるのは、当たり前でございます。
公爵家より、下に見られたと、モリーン様のご家族様さらには、お国から、こちらがお叱りを受ける事になります。それはダメです。
大丈夫です。安心なさって下さい。
モリーン様が、正妻となられるなら、私が、身を引かせて頂きます。ベルンゲラ様から、婚約破棄していただきますから。」
『やった。婚約破棄のチャーンス!』
ソフィアナは、胸ね前に手を組んで、祈るような格好で、目をウルウル?……キラキラ、させながら、モリーンに、訴えかけるように、語りかける。
そんなソフィアナに、嬉しそうに、扇をたたんで笑いかけたのは、モリーンだ。
「まあ。なんと、物分かりのいい!」
意気込んで、モリーンの話に乗っていくソフィアナに、青くなるのは、ベルンゲラだ。
「まて!まて!まて!まて!まてーーーい!」
「あら⁈ゲラ様どうなさいましたか⁈」
珍しい大声に、ソフィアナが、わざとらしく驚く。
「そうですわ。何か?せっかく、全て丸くおさまるお話しをしていましたのに…。」
呆れたように、呟くのは、モリーンだ。
「全然丸くおさまってないからな!!
まず、私は、モリーン殿とは、婚約も結婚もしない!いいな!しないんだ!いいか。大事だから2回言ったぞ!
それでだ!アナ!!君との婚約は、破棄しない。いいな!破棄しない。2回言ったからな!大事な事って事だぞ!婚約続行だ!わかるかい!?君は、僕と、僕は君、ソフィアナと結婚するんだ。」
肩で息をするように、大声で、一つ一つの言葉を叫ぶように、ベルンゲラが、言い放った。
「そうなんですか…⁈この間から、ずっと、モリーン様と、イチャイチャなさってるから、やぶさかでもないのかと…」
「どう見たら、イチャイチャに見えるんだ!僕は、離れようとしてたではないか!?」
『あっ。ゲラ様が抱きつかれていたあとは、面倒だと、挨拶して頭と目線を下げたまま、部屋から出たんだったわ…』
「そんなこと言いつつ、お好きになるかも…」
ソフィアナは、そっと目をそらす。
『やだ、私…。なんか、こんな言い回し…まるで、拗ねてるみたい…』
「ならないからな!!アナ!!
いい加減おこるよ。僕が好きなのは、いつも、君だけだと言っているだろう!」
ベルンゲラは、ソフィアナに、近づいて肩を掴み自分の方へ顔を向けさせる。
ソフィアナが、顔をおずおずと向ければ、ベルンゲラの綺麗な顔が、すぐそばまで近づいている。
『きゃ、イケメンのいきなり真剣告白、至近距離は、反則です。赤面とまりません。』
ソフィアナは、一気に顔が火照るのを自覚する。
「いえ、私は…」
なんせ、顔は好みなんだ。仕方ない。
『チョー好みのイケメンに、真顔で、口説かれたら、好き嫌い関係無く赤面しますよ。
それをあしらえる程の恋愛経験は、ございません!』
「まだ、言うの?このまま、そのつれない唇を奪いたくなるなぁ…」
『ぎゃーあぁぁぁぁぁぉーーーーーーー。ブラックゲラ降臨!?顔が怖い!!まてまてまてまてまて…』
ソフィアナは、必死な思いで、背後から黒いオーラが立つ、ベルンゲラを両手で押し返している。
「ふふふふ…あらあら。ベルン様は、ソフィアナ様に、片思いですか⁈ふふふふ…なんか、そう言うのは、ツボりますね。ふふふふ…」
と、2人を見つめるモリーンの口元は、ニヤリと上がっている。
赤くなった顔を伏せながら、ベルンゲラを押し返すソフィアナ。
半分やけになり、真剣にソフィアナに、言い募るベルンゲラ。
「まあ、とりあえず。私、気が変わりましたの。
あのぬいぐるみは、なんとか、手に入れるにしても、お2人がお似合いなのは、わかりますもの。
応援しますわ。
そうと決まれば、お兄様とお話ししてきますね。
ソフィアナ様あなたが居るうちは、うちの国と、こちらの国が、戦争することは無さそうね。ふふふふ。
だって、私の話がわかる方は、そうそう居ないでしょ⁈お互いに…。ねぇ?ふふふふ…!お友達は大切にしなきゃね。
また、明日、お茶会でもいたしましょう。不思議な布の件も、伺わないとね。ふふふふ。では。ごきげんよう。」
モリーンは、そう言うと、そそくさと部屋からでていった。
一方的に、言いたい事を言って出て行った、モリーンに、2人して、呆然と閉まるドアを見つめた。
その後、冷静を取り戻したベルンゲラが、口を開いた…。
「とりあえず、全面戦争には、ならなさそうだ…。アナのおかげか?何の話をしていたか知らないが…。
不思議な布とは⁈」
「あっ。」
ベルンゲラの顔から表情が抜けていく…。そして、目が、細められ、何かを疑うように、
「不思議な布とは?」
そう聞くベルンゲラの顔には、「何をやらかした!?」と、ソフィアナには、書かれてみえる…。
「ぬっ布…。はい…。こちらです。」
早々にごまかしをあきらめた、ソフィアナは、アマニに合図して、布をベルンゲラに渡す。
「で、これは何⁈」
「これは…その…。マハルニア国の転送陣を刺繍柄に隠して刺繍した、物でして…」
「な!?」
「これで、部屋に、出入りしていた時に丁度、モリーン様に見られてしまい。困った私は、逃げようと思いました。逃げた先は、ご存知の通りお風呂場です。」
「なぜ、風呂場に逃げたのか⁈その選択が不明だが…。」
『助けてくれそうな人の条件で、転送したからですが、恥ずかしいので、いいませんけどね〜。』
「いや、まず、そもそも転送陣とは⁈
聞いてないぞ!作ったものは、知らせるように言ったではないか!」
「作ってもらったのは、私ですが、実際、作ったのはマリー様なんですけどね…。」
ソフィアナは、ひとり、プチパニクッているベルンゲラに聞こえないような小さな声で呟いた。




