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雨で濡れた滑り台は危ない

3話目です!

今回も楽しんでくれたら幸いです!!

魔法が使えたらどれほど便利だろうか。

例えば空を飛ぶ。それも車より早く。寝坊してもある程度なら学校や職場に遅刻することも無いだろう。

例えば人差し指の上にぼっと火を灯す。ガス代がかからなくてすむ。

魔法とはなんて便利なのだろう。でも、魔女って魔法をつかえるのか?


梅雨前線のおかげで1週間雨続きで気分が上がらない中、豪雨の中やってきたのはクラスメイトでアニ研の成瀬 伊愛。俺と遊ぶためにやってきた伊愛は紺色のカッパを着ていて、雨の中ではしゃぐ姿は幼稚園児みたいだ。

正直言って伊愛は馬鹿だ。こんな豪雨の中遊ぶやつはそういないだろう。そんな伊愛に構う俺もどうかしてるのだが。

服を着替えてかっぱを着た俺は豪雨の中外に出る。

「かっぱ、白色なんだ」

少し不満そうに聞いてくる伊愛。

「悪いか?」

「別に悪くないけど」

バツが悪そうに言う伊愛は振り返ってわざとらしく足を大きく上げて歩き出す。嫌なら言ってくれればいいのに。

黙ったまま伊愛の後ろを歩く。どこに行くか決めているのだろうか。

「どこに行くつもりなんだ?」

「公園」

「なんか、らしいな」

「そう?」

低めの塀を歩きながらつまらなそうに答える伊愛はどうやら機嫌が少し悪そうだ。なんだよ、せっかく付き合ってやってるのに。

「何か不満があるなら言えよ」

「別にないよ〜」

「そっか。ならいいんだけど」

と、だらだらと歩きながら喋っているうちに公園が見えてきた。

「それで、公園でなにすんの?」

「何しよっか?」

突然歩き止まってこっちに振り返って言ってきた。どこかいやらしい目で覗き込んでくる。

「え、あー、なんでもいいよ」

突然振り返ってきたもんだから狼狽えてしまう。

「蓮が聞いてきたんでしょ?」

「誘ったのは伊愛だの方だ」

「む〜」

頬を膨らませてまた歩き出した。正直こんな雨じゃ公園なんかで出来ることないんじゃないか?

公園に着いてすぐ濡れたブランコに腰を掛け俺に座るように促してきた。

「遊ぶんじゃないのか?」

「ちょっと休憩」

そう言って「ん〜」と伸びをする。あとに続けて俺も伸びをする。

しばらく沈黙が続いた。先に口を開けたのは伊愛だった。

「そう言えば、こうやって2人で遊ぶの初めてだよね」

突然の質問に顔をしかめる。

「そうだっけ?」

「そうだよ。初めて」

そう言えばそうかもしれない。俺達が出会ったのは1年生の5月中旬、アニ研に入部した頃で丁度1年になる。

最初は俺は控えめのキャラでいたのだが、伊愛はその逆で直ぐに部活に打ち解け、先輩とも仲良くなっていた。今年の4月から入ってきた3人の後輩達とも仲良くやっていて、慕われている。

俺もそれなりに仲良くやっていたのだが、2人で遊ぶのは初めてである。

横で小刻みにブランコを動かしながら鼻歌を歌っている伊愛を横目に俺ものせて歌う。

「流石だね」

「当たり前だろ」

今俺と伊愛が歌っているのは「魔女っ子きらり」の第9巻に付属されていた特別アニメDVDのオープニングテーマ。俺は紛れもない「魔女っ子きらり」のファンで伊愛もまたそのファンなのだ。アニメが待ち遠しい。

「そうだ!マキマキ マキノさん、新作書いてるんだってね」

「この前の「アニケン!!」で言ってたな」

「なんだ、知ってるんだね」

つまらなそうに言う伊愛。

「先週の予告で楽しみにしてたんだよ」

今話に上がっているマキマキ マキノとは「魔女っ子きらり」の作者である。なんとも言えないネーミングセンスだが、これでもライトノベル新人賞<大賞>受賞者である。そんなマキマキ マキノは来月に新作の発売を発表した。題名は「魔女っぽくないないのは彼女で、俺は恋しただけ」という、またもや魔女物なのだ。流石はマキノさん、魔女の良さがわかってるね。

「また魔女だからなんかつまらないな」

「はぁ?何言ってんだよ。魔女は世界一可愛いんだ。俺はまた魔女物で嬉しいよ」

「え?そ、そっか....」

まるで自分のことを言われてるように顔を赤らめる伊愛。

「なんだ?自分が魔女だって思い込んでるのか?」

煽るように行ったのに対し、

「そんなことない!」

必死に答えた伊愛。

「うぉ、そんなに必死になる?」

「なる!」

と言ったところでふふふっ、と笑った。

「何が面白いんだよ」

「何も無い〜」

ブランコからぴょんっと跳び降りて次は滑り台の方へ向かった。どうやら滑るようだ。この公園の滑り台は他の遊具に見合わず特別大きい。そのためかすごく滑りやすいのだ。ましてや、雨水のせいで更に滑りやすくなっているだろう。

「おい、滑るのやめといた方がいいと思うけど」

「大丈夫だって。心配性だなぁ」

「いや、まじで危ないって!」

手すりに手をかけた伊愛をみていよいよ怖くなり、ブランコへ走って行く。

「よいしょ!」

勢いよく助走をつけてスタートを切った伊愛。最初からかなりのスピードだったのが更に加速していく。

「わぁー!って、きゃぁ!」

「おい!」

勢い余って体制を崩し頭が下になってしまったのだ。

「くそ!まじかよ!」

間に合え!間に合え!!

すざぁ!!

伊愛の着地地点に滑り込んだ。

「きゃあ!」

「ふぐっ!」

僅かだが膨らみのある胸を顔面でキャッチ。ギリギリセーフ!!

「いてて、だ、大丈夫?」

「ぶぁいぞうふだ」

「あは、あはははは」

笑い出す伊愛。

「ぶぁらうぶぁえにどいてぐれないがな」

「え?あ、ごめんって!胸!!!!」

バチン!

「いったぁ!」

「さ、最低!変態!もおいい!」

そう言い残し走り去っていく伊愛。

「お、おい!待てよ!助けてやったんだぞ?」

「そ、そんなの知らない!」

「いや、酷くない!?」

「悔しかったらここまでおいでーだ!ぶー!」

ベロを出して憎たらしい顔だな!

「この野郎!捕まえてやるよ!」

「ぎゃーーー!!!!」

公園に高校生が2人で追いかけあっている光景はそれはそれは無様だろう。だがこの際そんなこと関係ない。気にしていられない!!




3話目終了です!今回は少しだけラッキースケベ入れました笑笑

頭の中で想像して読んでいただけたでしょうか?笑笑

それでは4話目で!また!

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