文字とわたし
詩です。
なんとなく考えたことを文字にしました。
頭の中から生み出された言葉を文字にして連ねていくと、自分の一部をまるで鉛筆の芯みたいに削っていくような気がした。
あるいは濡れたぞうきんを絞るみたいに、中に含まれる水分が抜けてカラカラになってしまうように感じた。
でもそれは無尽蔵に違いなく、文字のラインはとめどなく描かれていく。
そしてそのラインは宙に舞い上がり、やがて空を真っ黒にしてしまうんじゃないだろうか。
だから、わたしの世界はいつだって夜なんだ!
自分の体を削ってできた文章を見て、自分の背が縮んでいないか、鏡に向かって確かめる。
ずいぶんたくさん書いたけど、どうやら大丈夫みたい。
わたしは記憶の仕組みなんて知らないけど、本当に自分はすり減っているのか、気になるところだ。
人はどのようにして物を覚え、考え、感じているのだろう。
タンパク質の構造? 何かの物質量? それとも神経回路の繋がり方?
でも、もしわたしを使ってこの文章が連なっていくのなら、なんだか素敵だなぁと思った。
例えば何年も何年も、考えていること感じていることを書き連ねて、ひょっとしたら何十年も何百年も後に、わたしの部屋が文字の描かれた紙で埋め尽くされていたら、
きっとその時わたしは文字になったんだ!
シャープペンの芯、鉛筆の芯、ボールペンのインクに重なって、わたしがいる。
なんだか少し楽しくなったけど、「コピー」って考えが浮かんだとき、削れない自分と今にも浮き出しそうな黒を改めて見つめたら、
なんだか少し寂しくなった。