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降神巫  作者: オリーブオイル
1/4

三葉とおしゃべり

「よちよち~。今日もごきげんでちゅねえ」

私は膝に乗った三葉の頭を撫でた。


私の気持ちにこたえるように彼はゴロゴロと喉を鳴らす。


三葉。なんて可愛いんだろう。


金色の目。黒く艶やかな毛並み。

でも。なんといってもこの子のチャームポイントは尾の先が白い事だ。


ほんの数センチだけだけど。


そこがまた可愛い。

可愛すぎると言っても過言ではない。


「三葉。ずっと私と一緒にいてくれる?」


私は三葉の背中に顔を埋めた。


「いいですよ。ご主人様」


私は瞬間息が止まりそうになった。いや。実際止まった。

気のせい?


いや。

誰かこの部屋にいる?


私は顔を上げ、耳をそばだてた。

お兄ちゃんの部屋のテレビから聞こえた?


そうだよね。きっとそうだ。


それにしても・・・・・・「いいですよ。ご主人様」だなんてセリフがあるテレビ番組ってなんだろう?

それともいつものようにアニメでも見ているのかな?


私はひとつの結論をつけた。

お兄ちゃんは萌えアニメを観ているのだと。


「ああ。びっくりした」

「なにがですか?」


目が合った。


三葉と。

「え?」

「え?」

三葉が首を傾げる。


「ええええ????」

「ご主人様は何を驚いているんですか?」


「え?だって?え?三葉!喋れるの?」

「喋れませんよ」

「噓!?喋ってるじゃない」

「ああ。ご主人様には喋ってるように聞こえるだけです。私の声帯は人間のように複雑にはできてませんから」

「え?なんで?私、頭がおかしくなったの?幻聴?フラれたショックで幻聴まで聞こえるようになったの?」


そう。

今日、私はフラれた。

先輩に。

17歳の誕生に私はフラれたのだ。

スタートダッシュで出遅れるどころではない。

17歳。

今日から私は生まれ変わると心に決め、彼氏をつくるという目標を定め。そして撃沈した。


「ご主人フラれたんですか?」


三葉かだらりと尻尾を下げる。

私に同情してくれたのだろうか?


「え?三葉。私がフラれたら悲しい?」

「それはもちろんです。好きという気持ちを伝えるのはとても勇気がいります」

「そうよね・・・・・・伝えるまで胸が高鳴って苦しかったのに。フラれたら胸が痛くて苦しい。恋愛ってなんでこんなに苦しいのかしらね」


ふさぎこむ私の髪に三葉はぺたんと肉球を乗せる。

「私はご主人様の事が大好きですよ」



「惚れてしまうわ!!」


それが本当の私の誕生日であった。

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