ラタン街
「ついた………のか」
テイルズ・ウォルシナーヤは、ラタン街付近で足を止めた。
5年前、テイルズが10歳のときに世界が狂い、様々な種族が一つの世界に集まってしまった。そして、魔導師だった両親が戦闘民族によって死んだのである。テイルズは、世界の異変の主犯を探すため、両親が死んだ後すぐに旅に出た。その旅の中で、自分が魔導師だということを知ったのである。
そして今、一つの街、ラタン街に来たのだ。ラタン街は、占師が多く潜んでいると噂に聞いている。この占師の街に、魔導師であるテイルズは入れるのだろうか。情報収集をしてすぐ帰るという理由をのせて。
とにかく、入らなければ始まらない。テイルズは、一歩、一歩と歩き、街の入り口にたどり着いた。
のだが、入り口に近づいた直後、首筋に鉄の冷たさが伝わってきた。
「っ!?」
「こいつは魔導師か!占師以外の侵入は許さぬ!!この者の首を刎ね、我が占師の誇りを守れ!!」
テイルズは、やっぱりなと思った。占師の街に、魔導師は入ってはいけない。わかっていたのだ。だが、世界の異変の主犯について伺いたい。これが叶えばすぐ引き返せるが、無理そうだ。ここで絶え、あっさりと人生に刻まれるのだろう。
「俺は、この世界の異変について伺い来ました!!魔導師ですが、占師の皆様の街を汚すようは真似はいたしません!どうか信じてください!」
テイルズは必死に叫ぶが、首筋に当たっている槍の動きに変化はない。
「だめだ。そうやって言ったら通じるなどと思っているのではないだろうな。馬鹿言え、お前が嘘をついているなど、占いでも告げられておる!貴様は今すぐ死刑じゃあ!!」
もうだめだと、目を伏せた。世界の異変の主犯を探す旅も、情報は得られず、あっさりと死んでしまう!!!!
するとテイルズは、目を伏せながらも、近くに誰かがいることが感じられた。
「槍を収めなさい。貴方達は、占師の誇りを汚すのですか?」