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孤独な老人の終生
自分は晩年、人生を振り返り嘆いた。
厨二を患い、オタクになり、伴侶を得ずにここまで歩んできた。
それを哀れまれたく無いという一心のみで今際の際までは誇ってきたが、
強がりも死の直前までは続けられなかった。
「この状況で、転生とかに期待してしまう俺は最早どうしようもないな」
親は既にこの世にはなく、狭い住居に親族は誰もおらず、看取ってくれる者はない。
当たり前なのに寂しく感じてしまうのはなぜだろうか?
「まあ、後悔は止まぬが悪くはない人生だった。……と思わんとやってられん」
しかし、結局は己の矜持でそれを笑い飛ばす事を選択する。
最後の力を使い果たし全身か力が抜けていく。
指先すらもはや動かせそうにない。
いよいよ終わりの時が来たようだ。
(今度は異世界で冒険とかしてみたいものだ)
これが、一人の老人がひっそりと迎えた最期。