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命〜mikoto〜 Director's Cut  作者: 黒羽 ジュコウ
5/9

(5) 熱帯夜



入院二日目。


その日の夕食の後、広人と古世の二人はそれぞれのベッドに座り、話をしていた。

その話が一段落着いたとき、時計を見た古世が口を開いた。


「じゃあそろそろ寝ますか」


ただ今PM8:30・・・。

古世の言葉に、広人はとりあえず聞いてみる。


「さすがに早いよ。今の学生ってこれからが活動時間だぞ?」

「なぁに言ってんの!ここ小児科だよ?小さい子の生活リズムに合わせてあるんだよ」


納得である。

古世の話によると、他の病棟でも就寝時間は早いのだが、小児科の病棟はさらに少し時間が早いらしい。


まだ暗くなったばかりの空を見ながら広人はボソッと呟いた。



「やっぱ無理。こんな早く寝れるかって・・・」



「気持ち分かるよ。私もはじめは慣れなかったもん」


古世が、パジャマの胸元をパタパタしながら言った。



「それにしても何か暑くない?」

「今日は熱帯夜です・・・とか言ってたような」

「まじで?」

「まじで」

「ヤバイ、聞いただけで汗かいちゃったよ・・・」

「着替えれば?」


古世は「そうする」と言って、カーテンをひいた。


「覗くなよ〜v」


「見ないよ」


「本っ当やめてよ?自信ないんだから!」


(そっちかよ!!)



ズッコケそうになった・・・。

カーテンを引いたとき、やっぱり女の子だから恥じらいがあるのかと思いきや、”自信がない”・・・。


「あ!今の撤回。自信あっても見せないからねー!」

「やっぱり・・・」

「え?見たかったの??」

「いや、そんなことは・・・」


突然カーテンが開いたと思うと、カンペキに着替えた古世がそこにいた。

「ウソだv異性の身体に興味ない人なんていないからね」

「そりゃそうだけど・・・」

「やっぱり!ヒロのエッチ!スケベ!変態!!」


広人は、そこまで言われる筋合いは無いと思った。




「あれ?まだ二人起きてるの??」

病室に、看護士の星谷が見回りにやってきた。

「あ、星谷さん。ゴメ〜ン」

「すいません」


「いいよいいよ。高校生に早く寝ろって言うほうが間違いだもん」

「そうだよね〜v」

「二人ともさ、22時ごろまではプレイルーム電気つけてるからさ、そこでしゃべってきたら?ここで話すと小さい子が起きちゃうから」


「いいの?星っち」

「無理はしないでね」

「はーい!」


「行こっ!」

古世は広人の手を握ると、思いっきり立ち上がった。

「え、あ・・・えと・・・・・・」

広人は少し戸惑う。





初めて女の子と手をつないだ・・・。






やはり命ある者の手はフワフワと柔らかく、温かかった。



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